コロナ禍でも積極投資した企業。金融情報サービスからオフィス家具・即席ラーメン企業まで。NEXT1000から分析

ベンチャーエンタープライズセンターがまとめた2020年上期のベンチャーキャピタルによる国内向け投資額は、前年同期比26%減の747億円でした。新型コロナウイルスの影響で投資意欲の減退につながったと見られており、上期として見ると7年ぶりの減少となり、投資件数も583件と前年を20%下回りました。

しかし、このような不況といえる状況の中でも、積極的に投資した企業があります。

ここでは、日本経済新聞が売上高100億円以下の上場企業「NEXT1000」の中から、コロナ渦でも積極投資した企業を紹介します。

 

投資CF

※2020年4~9月期の投資キャッシュフローと研究開発費の合計額が大きかった企業

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD2868N0Y0A221C2000000

 

1位 モーニングスター

東京都港区に本社を置くモーニングスター株式会社、投資信託の格付け評価を中心として、アナリストによる世界規模の金融情報の提供する企業です。同社は20年6月に上場20周年を迎えたタイミングで、東証ジャスダックに上場しました。

モーニングスター

https://toyokeizai.net/articles/-/387993

 

利益の推移

 

上記の連結当期利益推移を見ると、連結当期利益は11期連続で増益。09年以上着実に業績を伸ばしてきました。また、提供社数も急激に伸びており、18年の提供先127社に対して20年は458社まで増え、この2年間で約3.6倍伸びています。

朝倉社長は「弊社は早いうちからサービスにITを取り入れてきた」と語ります。今となってはSNSを活用した宣伝がスタンダートですが、モーニングスターがSNSを使って金融情報を発信し出したのは09年からでした。

スマートフォンやタブレット端末を使用して投資信託や株式などの金融情報提供も、10年から開始と他社に比べ手先駆けました。同社の先見性と新しい技術の導入による安定した経営基盤が、コロナ渦で底力を発揮し、次の戦略に向かう積極投資ができたのでしょう。

 

2位 ドラフト

DRAFT

2008年、デザイナーの山下代表が株式会社ドラフトを創業し、2020年3月に東証マザーズに上場しています。同社は、オフィス内装、ビルや建物全体、住居の内装を行っています。

設計士やデザイナーに個性があることや、表彰の受賞歴などを売りとしています。

DRAFT2

http://fs.magicalir.net/tdnet/2020/5070/20200316479761.pdf

 

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オフィス内装は00年代まで効率性を重視した間取りやデザインをしており、部署ごとに座席をまとめて配置、管理職が全体を見渡せる位置に座るのが一般的でした。しかし、スタートアップ企業を中心として、働きやすさやオフィスのデザインにこだわる企業が広がり、ドラフトもこうした案件を中心に担当していきました。近年手掛けたオフィスの企業には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)やサイバーエージェントがあります。

 

新型コロナウイルスによって取り巻く社会や環境やIT技術は一変しました。下記は、「住空間も応急処置的に対処するのではなく、抜本的変えなくては日本は豊かになれない」と考えた同社が提案する「W PROJECT~ 暮らしを再定義する食寝働分離の住空間」です。

DRAFT4

https://draft.co.jp/news/20200514

 

このような新しい生活様式がもとめられる時代において積極的な新サービスのために、4~9月期に投資が増えたと言われています。

※詳しいYouTube動画もご覧ください

 

3位 ミダック

MIDAC

株式会社ミダックは、静岡県浜松市に本社を置く産業廃棄物行う静岡県大手の廃棄物処理会社で、1952年に創業されました。社名の由来は、「水・大地・空気」の頭文字を取ってます。優良産廃処理業者認定制度に基づき、優良確認・優良認定を得ています。

 

MIDAC売上

ミダックの強みは、同業の多くが収集運搬業や中間処理業しか対応していないところを、様々な設備を有して収集運搬から最終処分までを一貫して請け負う処理体制を構築している点です。これによって排出事業者は安心して廃棄物を委託できるという同社ならではの強みを持っています。

https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?scode=6564

 

6位 マルタイ

マルタイ

https://lohaco.jp/product/1314876/

 

マルタイの棒ラーメンは新型コロナウイルスの影響により追い風を受け、需要が66%増えました。 同社が8月に発表した2020年4~6月期決算では、売上高が前年同期比28.4%増の25億2000万円、純利益は前年同期の約5.8倍の2億7200万円に達したと発表されました。国内だけでなく中国など海外も好調で、「巣ごもりで家で料理する機会が増えた」ことが要因だったと同社担当者は述べています。

予期せぬ売上増から同社は積極的な投資に乗り出すことを決定し、投資額は約43億円佐賀県唐津市に22年新工場を建設することを発表しました。

 

 8位 リーダー電子

リーダー電子は、映像信号発生器、HDTV用信号発生器、ベクトルスコープ、波形モニター、テレビ電界強度計、地上デジタル放送用変調器/受信器、カメラテストシステムを主力商品とする会社です。特にテレビ、映画等の高精細画像を始めとし、映像関連分野を強みとしています。

リーダー電子

https://www.leader.co.jp/products/

 

日本ではようやく4Kが浸透し始めた衛星放送の超高画質映像規格ですが、海外ではすで8Kが注目されており、2020年の東京オリンピックでは8K放送による超高画質中継が目玉となっていました。

同社にとって、新型コロナウイルス感染拡大によるオリンピックの中止の流れや展示会の中止は大きな痛手となっています。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大が終息後には、4K放送への設備投資が再開され、8K放送への設備投資も順調に回復すると見込まれてているため、今まさに耐え忍ぶ時期と言えるでしょう。

リーダー電子海外

https://www.leader.co.jp/company/overview/bases-list/

 

海外における4K市場は活況です。欧州・中国において、4K映像フォーマット対応関連設備、映像信号のIP化への関連設備需要が引き続き伸びを見せています。北米・中南米でも主力の放送関連機器の販売も経済活動の再開に伴って堅調に推移すると見込まれているため、同社は「将来必ず回収する」ための積極投資をしています。

 

9位 リバーエレテック

リバー

「水晶振動子」と呼ばれる電子機器の動きを制御する電子部品を製造するリバーエレテックは、21年3月期の連結業績は前期比24%増の55億3600万円の売上高、純利益は3.5倍の3億700万円を見込んでいます。自動車や医療機器などで使われるこの電子機器は、高単価の小型品に強みがあり、高速通信規格「5G」向けの需要が増え製品単価も上昇しています。

20年10月、高単価5G向け製品に注力し収益を一段と伸ばす計画で6億3000万円を投じ、青森県に製造ラインを増設することを決定しました。この工場は21年6月に稼働する予定で、需要増に対応します。

 

12位 AI inside

AIインサイド

https://inside.ai/

 

AI insideは、請求書などの手書き書類をデジタルデータに変換する人工知能のベンチャー企業です。事務処理の効率化、働き方改革の商機を得て、2021年3月期の単独営業利益は前期の4倍超を見込んでいます。

読み取り精度、手ごろな料金、安心感の3つの強みを打ち出し、顧客数を拡大しています。手書き伝票をスキャナーに通すと、手書きの文字が自動でデジタルデータになる仕組みで、AIによる読み取りの精度は一般的には8割程度と言われる中、手書き特有のクセがあっても判読する精度の高さも高評価を得ています。

 

16位 レアジョブ

https://www.rarejob.com/

レアジョブ

レアジョブは、フィリピン人講師との1対1のレッスンを提供するオンライン英会話を運営しています。コロナ渦で在宅時間が増え、企業が研修をオンラインに切り替えたことで需要が伸びました。2020年4~9月期の売上高は、前年同期比28%増え、特に4~5月、緊急事態宣言中は有料会員が伸びました。英語をしゃべる力を人工知能で自動採点できるシステムも開発、外部に提供しています。今後は、レッスンデータ録音によってデータ分析をし、「成長の可視化のサービスを展開したい」と同社は述べています。

 

 

 

19位 カオナビ

社員の顔や名前、経験、評価・スキルなど人材情報を一元管理できるシステムを提供するカオナビは、2020年4~9月期の単独税引き利益が8600万円の黒字となりました。企業がテレワークを導入する中、生産性を引き上げたコミュニケーションを充実させたいと感じる企業が増え、採用社数は1900社を超えた。本社オフィスを拡充し、地方企業の取り込みに向け従業員も増やしています。

カオナビ

同社のサービスの特徴は、アンケートや人事考課などの社員情報をデータベース化できる点。

このことで企業は人材の最適配置や離職防止につなげることができます。利用している複数の企業のデータを集めて、従業員の配置や意欲の引き出し方などノウハウを共有する座談会も開催しています。

 

 

Next 1000 以外で投資を積極的に行った企業

次に紹介する3社はNext1000の企業ではありませんが、コロナ渦で積極投資をしています。

ローランド

https://www.roland.com/jp/categories/pianos/

ローランド

1972年に設立されたローランドは、2008年のリーマン・ショック後の低迷で経営が悪化し、創業者が米系ファンドと組んだMBOの立て直し手法に反発する中、2014年、東証一部上場を廃止しました。

その後、構造改革、事業の選択と集中、不採算部門の整理、新製品開発で企業価値を高めてきました。コロナウイルス感染拡大の巣ごもり需要で、電子ピアノやドラムなどの販売が好調となり、調達した資金を新規事業に積極投資しています。かねてから再上場を目指していましたが、この好機を逃さぬよう再上場を狙い、2020年12月、東京証券取引所へ再上場を果たしました。

 

NEC

PC、携帯電話、半導体などで一世を風靡したNECは、事業の整理や人員削減などの厳しい構造改革を経てようやく海外へ積極投資する前向きな動きが出てきています。感染拡大は、NECが得意とするITサービスにはまさに追い風だったため、このまま好機をさらなるビジネスチャンスにつなげることができるかが重要です。

NECは、スイスの大手金融ソフトウエア会社のアバロックを2021年4月までに買収することを発表しました。約2300億をかけた大型M&AはNECにとって最高額になると言われています。

アバロック者は、金融資産管理向けソフト市場で欧州トップシェアを持ち、アジア太平洋地域でも2位の地位に着いています。NECはもともと政府系機関のデジタル事業に強く、アバロック社のM&Aを通じて金融DXサービス(SaaS型の利カーリング事業)やAIを取り入れた事業にも参入したい考えです。

NEC

コカ・コーラ

最後の企業はコカ・コーラです。日本を始めとし、世界各国では飲食店の営業時短短縮や廃業を受けて、飲料水やジュースが過去最高の落ち込みを見せています。このような特にダメージを受けている業界であるにも関わらず、コカ・コーラはなぜ積極投資しようとしているのでしょうか。

 

コカ・コーラは、2019年、統合時の619億円の減損損失を計上し、最終赤字に転落しています。

構造改革に乗り出したドラガン社長は、コロナ後の飲料需要について「2020年は変革の年」とし、様々な投資計画を発表し、投資のスピードを緩めるつもりはないとしています。「今こそ未来のために投資をするべきだ。この影響は永遠に続くわけではない」と述べ、このコロナ禍にも関わらず、2018年に被災した広島工場の代わりとなる工場を同県内の跡地近くに立ち上げています。

 

「現在起きている損失の原因は、自販機やコンビニエンスストアでの需要が減少していることで、自販機やコンビニに根本的な原因はない。新型コロナの感染収束後には戻ってくる。

24時間営業も、自販機であれば関係ない」と述べ、同社は自販機への積極投資を貫いています。

 

 

最後に

コロナ渦においても積極投資した企業は下記4つのタイプに分けられるのではないでしょうか。

  1. 巣ごもり需要で追い風を受けて売上を上げた企業
  2. パンデミックが発生する以前から経営基盤が安定していた企業
  3. 今は冷え込んでいるけれども経済が再開すれば改修できると考える企業
  4. AIやDXなどの成長業界にある企業

 

アーサー・ディ・リトル・ジャパンの花村氏は、「コロナウイルスの疫学的な収束は2022~23年、経済の回復には今後3年はかかる」と収束シナリオについて述べています。

今後すぐには収束する見込みのないこの危機に直面している企業は、投資を控えるべきか、積極的になるべきかの経営判断は非常に難しい部分と思われます。

大きな失敗を防ぐために、まず何パターンかの収束シナリオをに沿って経営計画を立てている企業も多いようです。今必要な投資と必要でない投資を見極めて、優先順位を付けていくことも重要になるでしょう。

 

<参考>

https://www.sankeibiz.jp/business/news/201005/bsc2010051922012-n1.htm

https://marketpress.jp/company/101210/

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201203/k10012743121000.html

https://toyokeizai.net/articles/-/368521?page=2

https://www.at-s.com/news/article/economy/shizuoka/830048.html

https://maonline.jp/articles/vec2020_2q

https://toyokeizai.net/articles/-/284561

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