時は昭和から平成、そして令和へと移り変わる中、デジタル化への波が押し寄せ、そして多くのものがデジタルに移行し、世の中を席巻しています。
可能な全てのものをデジタル化することによって、効率化をはかる目的です。
その中でもデジタルサイネージは、ディスプレイを使用し、その設置箇所を増やしさえすれば媒体の移動や販売、設定をしに行くこともなく運用可能なため、生活のありとあらゆる場所に設置され、人々生活の一部として当たり前のように進出してきています。
今回はそんなデジタルサイネージの広告市場規模について記述していきます。
そもそもデジタルサイネージとは
この、デジタルサイネージという言葉を皆様ご存知でしょうか?
昨今はどんなものでもカタカナにする風潮があるので難しく考えがちですが、要は電子機器を使用した看板のこと。
年配の方はご存知のように、以前は紙や木の上に情報を書いてそれを看板として使用していました。
その看板も、まずは手書きのものから文字を打ち込み印刷したもの、パソコンを使用したカラーのもの、そして写真付きのもの、と進化してきました。
手書きから印刷へと手間は減ったものの、印刷では内容の変更や印刷物が古くなってしまった場合交換の必要があったり、さらに印刷をする上での紙、インクなどのコストがかかっていました。
デジタルサイネージの利点
デジタルサイネージでは今まで行っていた印刷や、紙などが必要ありません。
内容もパソコン上で、必要があった際に都度変更が可能。後はディスプレイやプロジェクターなどの映し出す媒体がありさえすれば、運用可能なのです。
そしてディスプレイに通信機能があれば、変更した内容を送信可能なのでその場に行く必要さえありません。
ディスプレイのコストはかかりますが、紙などど比べ、作業の大幅な高効率化さらには環境に配慮した運用が可能です。
加えて、情報量も格段に上がりました。デジタルのディスプレイを使用したことにより、カラーの動画や音声、音楽などを再生することも可能で、印刷のものでは不可能だったより一層利用者に伝わりやすいコンテンツも作成可能になりました。
文字ばかりの情報では掴みにくい内容でも動画や音楽、音声があれば理解し易いですよね。
そして情報がいつでも更新できることによって、最新の情報を保つことが可能。
変更や表示の時間指定もでき、店舗のオープン時間や、人々の多く通るときには異なる内容を流す、などのコントロールも可能です。
さらに表示できるディスプレイが大きければ大きいほど、人々の目につきやすいというのも特徴の一つで、特に、広告としての機能で活用されている場合が多くなるため、情報量の多さとわかりやすさという点では広告に最適な媒体として使用されることが多くなっています。
新型コロナウイルスの影響で市場規模が縮小
デジタルサイネージ広告は人々の目につきやすく、動画や音声などの多くの情報量を発信できる媒体として拡大の一途を遂げてきました。
しかしここへきて昨今の新型コロナウイルスの蔓延により状況は一変。
緊急事態宣言やまん延防止法などの影響により人々が自宅から出る機会が大幅に減少するという事態に陥りました。
働き方にもテレワークや、ズームでのミーティングを行うなど、できる限り人と接触しないようなスタイルも普及してきています。
自宅でできる仕事を、わざわざオフィスに行ったり、会議に出向く必要がなく、仕事をすることが可能なため、仕事の効率は向上しました。
しかしデジタルサイネージ広告市場にとっては大打撃。
人々が外出しなくなり、街中のデジタルサイネージ広告を見なくなってしまったのです。
市場も新型コロナウイルスの発生以前の2019年には760億円の規模であったものが2020年には516億円と、約30パーセントも減少してしまいました。
しかしながら、新型コロナウイルスへ対応は、ワクチン接種などの対策により直に収束することが考えられます。
前述のような利便性と高効率さ、情報量の多さにより、収束後には再び市場は回復していくと予想されています。
運用場所
当たり前のことですが、デジタルサイネージの技術を使用する場合は、使用する場所があり、伝えたい情報、設置箇所で行き交う人々が知りたい情報がありさえすれば可能です。運用場所は様々なものがあり、街中でも多く見かけることができます。
駅周辺地図、電車内のドア上部にあるディスプレイ、店舗前に置いてあるディスプレイ広告、空港、ジム、などあらゆる場面で使用されています。
鉄道
公共施設の情報があるデジタルサイネージは市民にとって非常に必要な情報となるため、利用者の多い場所では活用が広がっています。
駅構内では運行情報や、出発時間などの情報があるディスプレーに、デジタルでかわるがわる情報が表示されています。
電車内には出入りドアの上方にディスプレイが設置され、現在地、次の停車駅、路線情報、運行情報、ドアの開閉位置などあらゆる鉄道情報がかわるがわる表示されます。さらにディスプレイが複数ある場合は、片方は鉄道関連情報、片方は広告や天気予報、ニュースなどの情報を流しているものもあります。
都心、特に利用者の多い山手線では中吊り広告が大幅に減少し、釣り戸棚の上にもディスプレイを設置し、中吊り広告の代わりにテレビコマーシャルや、社内専用広告を流しているほどです。
エレベーター
最近防犯用に、エレベーター内にディスプレイが設置されているのをよく見かけます。背後の様子を利用者がディスプレイで確認できたり、監視用の防犯カメラと連動していたりします。中にはディスプレイ上に、ビル内の情報や天気、広告などを表示させるものもあります。
利用者に安心で安全な情報を表示するとともに、広告も表示できるというデジタルサイネージです。
街中
最近では店先にスタンドに乗せた広告用ディスプレイがあるのをよく見かけます。スーパーでは本日の特売品や新聞用広告を載せて消費者への利便性を高めています。家電量販店や衣料品店でもセール情報を赤く目立つように表示し、集客を促しています。
飲食店でも、全メニュー、店内の様子、営業時間などを表示し、わざわざ中へ入って確認する必要が無いようなコンテンツが表示されています。
有名なデジタルサイネージ広告
世の中には多様なデジタルサイネージがありますが、多くの人が知る巨大な物もあります。
渋谷のスクランブル交差点、新宿アルタ前にある大型ディスプレイもその中の一つ。
特に渋谷スクランブル交差点には複数のディスプレイが設置されており、巨大なディスプレイに映る映像、光、そしてそのサウンドには圧巻。海外からその様子を見に来る人もいるくらいです。
特に渋谷のスクランブル交差点にある大型ディスプレイは複数存在し、日本で一番有名なものになるのではないでしょうか?
- 一番左側のスクエアなディスプレイは「渋ハチヒットビジョン」。
- 隣の湾曲したディスプレイは、「渋谷駅前ビジョン」。
- 左側、別ビルの青文字でDHCと書いてあるものが「DHCビジョン」。
- 中央のスターバックス上にあるディスプレイは、「Q’S EYE」。
- 右手の109の下部の赤枠のディスプレーが「グリコビジョン」。
- 一番右側のディスプレイが「109フォーラムビジョン」。
この5台のディスプレイは連動可能で、緊急事態宣言時に「緊急事態宣言 発令中」の文言を連動して表示し、その後20時に一斉消灯したことで話題になりました。
海外マーケット市場
アメリカ
デジタルサイネージといえば世界中の人々が集まる世界有数の街、ニューヨーク。昔はネオンや看板だったものが次々にデジタルサイネージへと変更されています。特に有名なニューヨークのデジタルサイネージといえば、20タイムズスクエアに2017設置されたばかりの巨大なディスプレイ。
このディスプレイは、正面と左側の壁に連続した滑らかな画面が設置されています。なんとこの画質は8Kの超高精細画像を表示可能な優れもの。
大型のディスプレイに高精細画像を組み込むにはかなりの技術が必要となるので、さすが大都市ニューヨーク、と言えるものとなっています。
韓国
韓国のサムソン電子では自慢のディスプレイ技術を活用し、バスケットボールコートの4倍のサイズの大型ディスプレイを、韓国の有名芸能事務所、SMエンターテインメントのビル上に設置しました。全面に横長のディスプレイと、左側に連続し湾曲したディスプレイを設置し一体化させています。
高精細なディスプレイにより立体的な画像が表示されるということで話題になり、インスタグラムやネット上でも評判のデジタルサイネージです。
イギリス
イギリス、ロンドンにある有名な観光地、ピカデリーサーカス広場にも巨大なデジタルサイネージがあります。
有名な映画のハリーポッターやワイルドスピードにも使われた有名な場所。このディスプレイもビルに沿って滑らかに湾曲した形になり、複数のデジタル広告を一度に表示することが可能。
夜の街に一斉に光る大画面の中のいくつもの広告が、ビルの3階という人々から近い位置に映し出されという圧巻の光景です。
デジタルサイネージのマーケット価格相場
デジタルサイネージにも活用方法が様々に異なってきます。例えば公共の場所にあるディスプレイには、様々な企業の広告がながれ、長さや時間帯により価格が決まってきます。そして広告であれば費用対効果を踏まえて設置場所を考える必要があります。
自社用に設置から行う場合に気をつけなくてはいけないことは、室内用か、屋外用かを選択すること。室外用は防水設計のものが必要なため、その分価格は高額となります。
ディスプレイそのものの価格
10万円ほどの物から大型の物だと数百万円になるものまで。
ディスプレイそのものも、通常の小型液晶ディスプレイから、4K8K画像などの高画質タイプ、有機ELを使用した薄型・軽量タイプなど。
さらに、屋外用には防水設計のディスプレイもあります。
設置費用
設置する場所や大きさによりかなり差があります。スタンド型、壁掛け型など。その他設置場所を借りる場合は、その場所のレンタル費、場合によっては買取り費用が発生します。もちろん人々の往来が多い場所、人口の多い場所ほど高額になります。
通信費用
数万円ほど。(SDカードにコンテンツを書き込み再生するという使用方法のみの場合はかからない)
STM費用
内容をコントロールすることのできる設備。数万円から10数万円ほど。
CMS費用
作成したコンテンツを管理することのできるソフト。1万円弱。
電気代
ディスプレイの、大きさにもよるが数100円から1万円前後。
コンテンツ制作費
社内作成であればもちろんかかりませんが、専門業者に依頼することも多いでしょう。これも業者によりかなり価格が異なってきます。画像と、スライドショー程度であれば2〜3万円。数分の動画コマーシャル作成となると数十万ほどとなります。
広告用の有名人の起用や、ナレーターを入れるなど、コンテンツの内容によってさらに価格は加算されていきます。
このように設置場所やディスプレイタイプ、コンテンツなどで価格が大きく異なってきます。
まとめ
このようにデジタルサイネージはあらゆる場面にて活用されています。
情報をデジタル化し、多くの情報を、動画や音声を活用して様々なコンテンツを載せることができるようになりました。
今後さらに発展が見込まれ、音や動画だけではなく様々な試みしてただ情報を流すだけではなく、人々の心に訴えかけるようなコンテンツへと内容が充実化していくでしょう。
コロナ禍で外出することも少なくなりましたが、立ち止まって街中のいろいろなデジタルサイネージを見てみるのも面白いかもしれません。
<参考>
デジタルサイネージ広告市場
https://www.cci.co.jp/news/2020_11_25/01-29/
エレベーター内のスマートディスプレイ
https://www.ktrend.jp/product/maker_926/pi_6059/
タイムズスクエアの大型ビジョン
https://led.led-tokyo.co.jp/news/ny8k/
韓国の大型ビジョン
https://led.led-tokyo.co.jp/news/coex_0330/#「coexartium_SMTOWN」とは
ピカデリー広場のLED
https://led.led-tokyo.co.jp/news/pc_0402/