突然ですが、サブスクと聞くと何を思い浮かべますか?
「動画・音楽・漫画などのアプリ」
「サプリメントや美容用品の定期通販」
上記をイメージされたのではないでしょうか。
このようにサブスクは、どのような商材を提供するのかに注目されがちですが、既存商品のターゲットを変えることで大きな成功を収めたサービスがあります。
それは「日本のお菓子の海外向けサブスク」です。
日本人には購入しやすいお菓子でも、海外ユーザーには購入しにくいため、多くの支持を集めています。
本コラムでは、日本のお菓子の海外向けサブスクについてお届けします。
そもそもサブスクって何 ?
そもそもサブスクとは、「サブスクリプション」の略で、日本語で「定期購読」を意味します。
サブスクの歴史は古く、17世紀か ら始まったビジネスモデルといわれ、国内でも「富山の置き薬」や「新聞紙」などが有名です。
昨今のデジタル技術の発達により、デジタルコンテンツを中心に拡大しており、Netflixなどの動画配信サービスがサブスクの代表例といえるでしょう。
通信販売とも相性の良いビジネスモデルで、美容用品やサプリメント、コンタクトなど様々な商材でサービスが展開されています。
海外のサブスク状況
国内では「自動車」や「家電製品」のサブスクなど、続々と新たなサービスが登場しています。
一方、海外のサブスク状況については、なかなか伝わってこないため、知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで、海外のサブスク状況について、その中でもアメリカで人気のサブスクサービスの事例をご紹介します。
■アメリカのサブスク事例
サービス名 | 特徴 |
---|---|
Dollar Shave Club | 男性用のシェーバーに特化したECサイトで、替え刃のサブスクを提供している |
Chewy | ペット用品のECサイトで、ペット用食品やグッズを定期購買できる |
Thive Market | オーガニック商品専門のサブスクで、カスタマイズしたボックスを注文できる |
Kiwico | 知育玩具のサブスクで、年齢に合わせて9つのプランが用意されている |
BirchBox | 美容用品のサブスクで、選択した美容用品に加えてお試し商品がついてくる |
このように、サブスクはビジネスモデルとして定着していましたが、コロナ禍がさらに市場を拡大させる要因となりました。
自宅で過ごす時間が増えたことで、動画配信サービスが多くのユーザーを集め、ネットショッピングが盛んになったためです。
現にNetflixは、会員数が世界で2億人を突破する巨大企業に成長を遂げています。
海外のサブスク市場は今後も拡大を続けていくと予想され、Report Ocean調べによると、世界のサブスク市場は2027年までに100億ドルを突破すると見込まれています。
サブスクは国内・海外ともに、大きなビジネスチャンスが眠っているといえるでしょう。
日本のお菓子の海外向けサブスクとは?
「日本のお菓子の海外向けサブスク」とは、国内で手に入るお菓子を詰め合わせて海外ユーザーに向けて定期的に発送するサービスのことです。
日本国内で実際に流通しているお菓子を届けることで、日本らしさを海外ユーザーに提供できるのが強みです。
ここでは「日本のお菓子の海外向けサブスク」を提供している企業の成功事例を紹介します。
成功事例:ICHIGO
引用:ICHIGO
ICHIGOは2015年に設立された、海外向けに日本のお菓子のサブスクを提供している会社です。
以下の3つのミッションを掲げ、複数の事業を展開しています。
- 海外ユーザーが日本にいるような「臨場感のある」サービスを提供すること
- 世界中のコンビニのような存在になること
- 日本の小さなメーカーが世界ブランドになる支援をすること
具体的な取り組みとして、「TOKYO TREAT」と「Sakuraco」の2つのブランドがあります。
TOKYO TREAT(トーキョートリート)
引用:TOKYO TREAT
「TOKYO TREAT」は、創業者の近本あゆみ氏の「日本のお菓子は海外の幅広い人に受け入れられる」という思いから2015年に開始したサブスク型越境ECサービスです。
当初は近本あゆみ氏とデビッドアシキン氏の2人で始めたサービスですが、今では世界180ヵ国・会員数200万人を超えるまでに成長しています。
「TOKYO TREAT」では日本のお菓子やソフトドリンクなど、15から20点の詰め合わせを月額37.5~32.5ドルで販売しています。具体的な特徴は以下のとおりです。
■TOKYO TREATの特徴
- お菓子の内容はICHIGOが選定
- 限定商品など、ユーザーを飽きさせない工夫
- 海外にいながら、日本のスナックを味わえる体験の提供
このような「日本の生活を味わってもらう」というコンセプトが受け入れられ、2020年には昨年対比3倍を実現するなど、急拡大を続けています。
Sakuraco(サクラコ)
引用:Sakuraco
Sakuraco(サクラコ)は、2021年に開始した和菓子専門のサブスク型通販ECサービスです。
立ち上げたきっかけは、TOKYO TREATユーザーの「日本の伝統的なお菓子を食べたい」という声からで、2年でTOKYO TREATに並ぶほどのブランドに成長しています。
和菓子や雑貨、お茶などの20個詰め合わせを月額37.5~32.5ドルから販売しています。
■Sakurakoの特徴
- 和菓子を紹介するガイド付きで日本文化を知れる
- 抹茶やほうじ茶など、日本茶と一緒に和菓子を楽しめる
- 毎月和菓子のテーマが変わる
- 日本の伝統的な陶器や箸など、家庭用品もセットに含まれている
- Sakurako限定の和菓子が入っている
このように、和菓子だけではなく日本の文化を楽しめるのが海外ユーザーに受け入れられている理由でしょう。
また、TOKYO TREATやSakuracoのお菓子をもっと食べたいユーザーのために、「JAPAN HAUL」という別サイトを用意して、個別に商品を購入できる仕組みも構築しています。
地方のお菓子を世界に
ICHIGOではTOKYO TREATやSakuracoを活用して、地方のお菓子を世界に届ける事業も積極的に展開しています。
クールジャパン官民連携プラットフォーム主催の「クールジャパン・マッチングアワード 2022」において、リーディングエクスポート特別賞を受賞したほどです。
具体的には、日本の地域のお菓子や特産品をセット内容に含めて世界に発信し、その後はJAPAN HAULにて販売するといった流れを作っています。
最新のお菓子の海外向けサブスク情報
引用:Ginza Sweets
日本のお菓子を世界に届けるサブスクは、次々と新たな企業が参入しています。
例えば、「Cake.jp」や「amechan」です。
- Cake.jp
Cake.jpは加盟店舗数が1,700店舗を超え、国内の会員数が150万人以上の洋菓子専門のECプラットフォームです。
2023年5月31日よりシンガポールでの販売を開始し、お菓子の単品販売だけではなく、「OMAKASE BOX」という名のお菓子のサブスクも提供しています。
また国内でも、「Sweecho(スイーチョ)」というサブスサービスを運用していることから、海外向けのサービスとしてどのように発展するのか注目されています。
- amechan(あめちゃん)
amechan(あめちゃん)は、ビーマップ・ベルク・Y&N Brothersの3社が共同で立ち上げた、タイ向けのサブスクサービスです。
タイは親日国としても知られ、日本食を食べる機会も多く、日本の食や文化とのつながりが濃い地域です。
そのタイにターゲットエリアを絞ることで、シェア獲得を狙った地域特化型のサブスクサービスといえるでしょう。
まとめ
日本のお菓子の海外向けサブスクは海外ユーザーに受け入れられており、多くの利益を生み出しています。
今後もますます市場が拡大すると予測されるなか、最近では提供する地域を絞ることで、ビジネスチャンスを模索する動きが広がっています。
これから「越境ECに取り組みたい」や「新規事業を立ち上げたい」という方は、海外向けのサブスクに取り組んでみるのも面白いかもしれませんね。