ホワイト国とは何か?海外進出に有利なホワイト国と非ホワイト国との違い

2019年に韓国がホワイト国から除外されたことをきっかけに「ホワイト国」というワードを知った方も多いのではないでしょうか。ホワイト国とは、海外への輸出において規制を緩和しても問題ないとして、日本政府が定めている国のことです。

具体的には、兵器や武器などの危険物を他国へ輸出する可能性のない国をホワイト国として認定しており、安全保障上において輸出管理で優遇を受けられる制度を設けています。2019年に韓国がホワイト国から外されたあとに、「グループA」という名称に変更されました。

海外進出を考えている企業にとって、進出先における国との貿易は重要な取引になるでしょう。進出先がホワイト国か否かを把握しておくことも大切です。

本記事では、ホワイト国の概要・メリット、非ホワイト国のデメリット、韓国が除外された理由、ホワイト国の選定方法を詳しく解説します。海外進出先を検討している場合はぜひ参考にしてみてください。

ホワイト国の概要

ホワイト国とは日本政府が定める、安全保障上における輸出の規制を緩和した国のことです。2019年に韓国がホワイト国から除外されたことをきっかけに「ホワイト国」の名称は廃止され、現在では「グループA」と呼ばれています。

ホワイト国(グループA)の概要について、定義や背景などを解説していきます。

ホワイト国の定義

世界各国において、大量破壊兵器や武器が所有されていますが、それらが国境をまたぎ、世界各地へ拡散・軍事転用される事態はなんとしても防がなければなりません。現在では貿易取引に関する条約や規制が厳しく定められていますが、もともとは国際的な取り決めで1つずつ輸出入の規制をおこなうことは難しく、輸出国側が輸入国に対してきちんと管理する体制が必要とされてきました。

日本政府は輸出管理を実施するために、輸出先をホワイト国として認定する次の3つの基準を設けています。

  • 大量破壊兵器等に関する条約に加盟している国
  • 輸出管理レジームに参加している国
  • 輸出品が他国に流出し、大量破壊兵器として拡散されるおそれがない国

つまりホワイト国とは、自国でも輸出管理や武器の管理を徹底しており、日本から輸出されたものが第三者の手に渡り危険な武器や兵器の製造に使われていないことが保証されている国のことです。

言い換えれば、世界の平和を脅かす恐れのない国であり、日本が信用をおいている国ともいえます。日本がホワイト国へ輸出をおこなう際は、他のホワイト国以外との取引よりも規制が緩和されているのが特徴です。

しかし、規制が緩和されていることを理由に、ホワイト国以外の国へ輸出する際にホワイト国を経由すること(迂回輸出)は禁止されています。ホワイト国との貿易は、規制を緩和しても安全に取引できるよう厳しくルールが定められていることに留意しましょう。

なぜホワイト国と呼ばれていたの?

ホワイト国というフレーズに馴染みのない場合、なぜそのような名称が使用されていたのか気になる方も多いでしょう。もともと「ホワイト国」は正式な名称として使用されていたわけではありません。

実際に法律上においてホワイト国という記載はなく、経済産業省や産業界が呼び始めたことがきっかけとされています。日本では「ホワイト企業」「ブラック企業」という言葉に馴染みがあるように、ホワイト国も「平和や秩序を尊重した国」というイメージから来ているのでしょう。

ホワイト国の対象となっていない国の名称はブラック国ではなく「非ホワイト国」と表現されることが一般的です。非ホワイト国については後ほど解説します。

ホワイト国の名称がグループAになった背景

ホワイト国の名称が「グループA」に変更されたのは、2019年8月2日。韓国が非ホワイト国になると同時に経済産業省から名称変更の発表がありました。経済産業省は、これまで「ホワイト国」と「非ホワイト国」の2名称を用いてきましたが、ホワイト国は「グループA」に、非ホワイト国は「グループB~D」の3つのカテゴリーに分けることを表明。韓国はグループの改正に伴い、グループAからグループBに変更されました。 経済産業省によると、4つのグループに分類した理由として、これまで非ホワイト国の中でも輸出規制によるチェック項目や対象品目など実務上の扱いが異なる部分があったことが挙げられています。より実態に即した分類となるよう、非ホワイト国は3つの段階に再分類されました。グループAは韓国以外の米国や英国などのホワイト国に位置づけられていた国が対象となっています。他のグループについては後述します。

ホワイト国のメリット

日本国内では安全保障貿易管理にもとづいて、経済産業省が貿易規制をおこなっています。この安全保障貿易管理で定められている制度は、ホワイト国にとって有利なものです。

ホワイト国(グループA)として認定された国には、主に次の2つのメリットがあります。

  • キャッチオール規制の対象外となり輸出規制が緩和される
  • 一般包括許可を受けられる

下記で詳しく解説します。

キャッチオール規制の対象外となり輸出規制が緩和される

ホワイト国に認定されることで得られるメリットの1つ目は、キャッチオール規制の対象外となり、輸出規制が緩和されることです。そもそもキャッチオール規制とはなにか、という観点から説明します。

日本における輸出規制には「リスト規制」と「キャッチオール規制」の2つがあります。それぞれの説明は次のとおりです。

リスト規制貨物または技術を輸出する際、武器や軍事提供として利用される可能性のある特定項目に該当する場合、経済産業大臣に許可を得なければならない制度。
許可が必要な項目がリストに記載されていることから「リスト規制」と呼ばれています。貨物以外に技術も規制対象となることに注意しましょう。
キャッチオール規制リスト規制に該当しない輸出品目であっても、軍事転用される恐れがあることを輸出者が認識した場合(客観要件)、または経済産業大臣から許可申請要の通知が来た場合(インフォーム要件)、経済産業大臣に許可を得なければならない制度。
許可が必要であるかどうかは、大量破壊兵器として利用される恐れがあるか、通常兵器として利用される恐れがあるかの2つの観点からチェックします。

貨物または技術などの輸出品は、まずリスト規制に該当するかどうかをチェックします。もし該当する場合は経済産業大臣の認可を受けなければ輸出できません。また、リスト規制に該当しなかった場合はキャッチオール規制に該当するかどうかを確認します。もし認可が必要と判断された場合、経済産業大臣の許可が必要です。

ホワイト国であれば、対象となるのはリスト規制のみで、キャッチオール規制の対象外となります。ホワイト国であれば規制なくなんでも輸出できると勘違いされがちですが、リスト規制の対象に該当する場合は、経済産業大臣の許可が必要であることに注意しましょう。

一般包括許可を受けられる

ホワイト国は、一般包括許可を受けられることもメリットのひとつです。輸出管理規制の中には、特定の相手国や、特定の期間の間であれば、輸出条件を限定的にすることで経済産業大臣からの個別許可が不要となる「包括許可」制度があります。

包括許可にはいくつかの種類があり、その内訳は次のとおりです。

一般包括許可輸出する貨物または技術の機微度が比較的低い品目は、電子申請することでグループAの国を仕向地として輸出することに限定して包括的に許可する制度。
特別一般包括許可輸出する貨物または技術の機微度が比較的低い品目は、グループA以外の国を仕向地として輸出することを包括的に許可する制度。
 
輸出管理内部規程の提出と実地調査の事前実施が許可をもらう上での必須条件となっています。
※2019年4月以降は電子申請が可能となりました。
特定包括許可継続的に貿易取引をおこなっている相手国に限定して、輸出することを包括的に許可する制度。
 
輸出管理内部規程の提出と実地調査の事前実施が許可をもらう上での必須条件となっています。
特別返品等包括許可日本国内において使用することを目的に輸入した武器を返品するための輸出に限り、包括的に許可する制度。
 
輸出管理内部規程の提出と実地調査の事前実施が許可をもらう上での必須条件となっています。
特定子会社包括許可日本企業の海外子会社(50%超資本)向けの特定品目の輸出に限り、包括的に許可する制度。
 
輸出管理内部規程の提出と実地調査の事前実施が許可をもらう上での必須条件となっています。

グループAは「一般包括許可」、その他のB、C、Dグループは「特別一般包括許可」または「特定包括許可」によって輸出許可を受けられます。一般包括許可は「統括責任者及び該非確認責任者に関する登録書」を提出するだけで許可が降りる条件をクリアできますが、他の方法では許可をもらうために必要となる書類や手続きが多いことが特徴です。

非ホワイト国とは

非ホワイト国とは、文字通りホワイト国以外の国のことであり、現在はグループBからグループDまでの3つのカテゴリに分けられています。

グループBは「輸出管理レジームに参加しており、一定の要件を満たす国や地域」と定められ、韓国の他にリトアニアなどが当てはまります。輸出管理レジームとは、兵器や武器などを他国へ拡散しないために、特定の輸出入品目や技術などを制限する体制や制度のことです。

グループDは懸念国として指定された北朝鮮やアフガニスタンなどが分類されます。グループCはA、B、Dのいずれにも当てはまらない国で、分類される国の数はいちばん多いです。 非ホワイト国は輸出品が兵器や武器に利用される可能性が少しでもある国であり、前述の通り、貿易において手続きや時間がかかることがデメリットです。

韓国が非ホワイト国となった理由

2004年に韓国がホワイト国に指定されましたが、ムン・ジェイン政権となった以降は、輸出ごとに密にとりあっていた連絡がとれなくなったことなどが原因として、輸出管理体制が不十分であることから2019年にホワイト国から除外されました。

実際に韓国との貿易で起こった事例には、日本から4万キロにも及ぶ高純度フッ素を輸入した際に、不良品として返品を受けたにもかかわらず4万キロのうちわずか120キロしか返品されなかったことがあります。残りの高純度フッ素のありかも不明であり、輸出における管理体制に対し、厳しい批判が殺到しました。

除外がささやかれた当初、韓国側はホワイト国から除外されることに猛反対しており、WTO(世界貿易機関)の協定違反なのではないかという声も挙がっていました。しかし、ホワイト国はもともと「貿易取引において特別待遇をする国」として定めており、ホワイト国から除外されても「普通の国」に戻るだけであるため、協定違反ではないことを日本政府は主張し、結果的に韓国はホワイト国から除外されています。

韓国が非ホワイト国になったことで受ける影響

韓国が非ホワイト国になったことで、今まで受けていた特別な優遇措置が適用されなくなり、キャッチオール規制の対象にもなります。

具体的には、食料品や木材などを除く全品目の輸出について厳格なチェックの対象となり、対象品目は1つずつチェックされます。また、輸出における許可を得るまでの期間は長くて3ヶ月ほどです。

この通り、非ホワイト国になれば輸出における手続きなどが煩雑にはなりますが、実際にはそこまで大きな影響があるわけではないという見方もあります。手続きは増えても全ての品目が個別許可の対象となるわけではなく、さらには一般包括許可を利用できなくても特別一般包括許可や特定包括許可によって輸出することは可能だからです。

海外進出に有利なホワイト国の選び方

海外進出を考えるうえで、ホワイト国(グループA)を選択したいと考えている事業者も少なくないでしょう。海外進出国に必要な要素と、進出先の選び方を解説していきます。

海外進出に必要な要素

海外進出先として重要なのは、その国の人口やGDP、マーケットの大きさ、インフラ設備などがあります。

他にも、海外進出先で発生する壁として、言語スキルの不足、商習慣や宗教・文化の違い、人手不足、専門知識不足、現地パートナーの模索などさまざまあり、どれも乗り越える必要のある重要な要素です。 海外進出先を検討する上で、自社にどのようなスキルや要素が足りていないのかを洗い出す必要があります。

ホワイト国の選定基準

ホワイト国として認められている国は、GDP率が高く、インフラ設備もある程度整っている国が比較的多いです。そのため、自社の課題として洗い出した要素を一緒に解決できる国かどうかを選定基準の優先項目として持っておくと良いでしょう。

たとえば、はじめての海外進出の際は、日本企業の文化をすんなり受け入れてくれる国のほうがビジネスが進めやすいです。他にも、なるべく時差が少ない国を選定することで日本と現地間でのやりとりもスムーズに進みます。 ホワイト国だからどこでもいいというわけではなく、海外進出における弊害をどう乗り越えていくか、そのためには相手国に必要な条件はなにかをじっくり検討しましょう。

まとめ

本記事では、ホワイト国や非ホワイト国の内容やそれぞれのメリット・デメリット、海外進出時のポイントなどを紹介しました。

ホワイト国と非ホワイト国という名称は現在では廃止され、グループAからDまでの4つのカテゴリに分類されています。グループA(韓国を除く旧ホワイト国)は貨物や技術の輸出によって軍事的な転用がなされる心配が少なく、輸出時における手続きが少ないメリットがあります。

反対に、グループBからD(旧非ホワイト国)との取引においては煩雑な手続きが多く、輸出の許可が降りるまでに時間を要します。海外進出先を検討している場合は、ホワイト国を選定したほうが輸出面では大きなメリットを受けられるでしょう。輸出における規制について、ホワイト国か否かによる違いを把握し、海外進出時にお役立てください。

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