オーラルケア市場の最新トレンドとは?アメリカマーケットの特色をご紹介

歯磨きは、毎日行う重要な習慣の一つです。歯自体が虫歯にならないために行うということもありますが、ケアを怠ると歯周病や歯肉炎の原因や、口臭による人とのコミュニケーションに支障が出ることもありますよね。 

さらに口内環境の悪化は口内の疾患だけにとどまらず、身体のさまざまな病気の原因となることも知られています。いったん口腔内に異常が発生すると、歯医者に行く必要が出てきますが、歯医者で治療をするには長く期間がかりますし、何より痛かったり、嫌な音がしたり、検診以外にはあまり行きたくないものですよね。そのため、自宅でできる効果のあるオーラルケアは何か、新製品はどんな効果があるのかを消費者は日々求めています。 

その要望にも応える形で、新しい形のオーラルケアの商品も絶えず発売され、消費者としてはその中で自分に合ったものを探して購入するような形になっています。コロナ禍でお家時間が増え、外出する際にはマスクを着用するとはいえ、口内を毎日ケアすることは大変重要です。健康や体に関することを考える人々がさらに増加する中で、現在注目されているオーラルケアとその変化について記述していきます。

オーラルケアとその発展

歯ブラシとオーラルケア

まずオーラルケアとはどんな事を指すのでしょうか? 日本語に訳すと「口腔内の管理」です。通常では起床後、食後、就寝前などに歯磨きをしますね。その歯磨きのタイミングも食後すぐなのか、少し時間が経ってからがいいのか、などさまざまな説が存在します。 

歯磨き粉自体も、虫歯予防にフッ素がより多く含まれていると良いといいますが、虫歯だけではなく、歯をより白くしたい場合や、歯だけではなく歯茎の腫れや出血を防ぎたい、口臭を防ぎたい、知覚過敏を治したい、など利用者の用途に合わせた商品が販売されてきています。 

そして毎日のケアで、歯磨き以外にもマウスウォッシュも使用している方が多いのではないでしょうか。これも歯磨き粉と同じように、1つの機能に特化し殺菌に重きを置いたり、口臭除去であったり、ホワイトニングに特化しているなどバラエティーに富んだ商品が販売されています。  

効能の違いや成分の進化により、歯周病ケア、ホワイトニング、知覚過敏、さらには環境や体に優しい成分が使用されている商品が発売され、それぞれの成分だけではなく、新たなオーラルケア商品である高機能歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、ホワイトニング用品、電動歯ブラシなど多種多様な商品も販売されてきています。将来的には口腔内に必要な新たなケアメソッドの発見や、それに対する成分の使用、そして新たなツールなど、まだまだ機能的にも進化する可能性のある市場です。

歯を磨いている女性

日本のオーラルケア市場

国内のオーラルケア市場は2020年で、4096億円と、前年に比べて100.2パーセントの増加率です。さまざまな分野で消費が落ち込む中、売上高をキープしているのは高機能な商品が多く発売され、単価が上がったことによるともいわれています。加えて新型コロナウイルス蔓延のため、うがい薬の販売も好調に。前年比167.9パーセントの89億円を売り上げ、オーラルケア商品販売額増加の手助けをしています。 

さらにオンラインでショッピングする機会も増加し、ショッピングの機会自体が増えることや、店頭では販売していないような、より高機能なものを選択することも可能になりました。そしてこのコロナ渦で、消費者が出歩くことによる感染を防ぐため、すぐに病院に行くのではなく、自ら予防処置を取る、セルフメディケーションの意識が高くなる流れになってきています。 

うがい薬の販売自体は、新型コロナウイルスがワクチン接種の拡大などで収束することがあれば以前の売上額に戻ることが予想されていますが、この間に、日常のケアの大切さを認識したことと、オンラインショッピングの利便性の認識、さまざまな高機能や消費者の希望により特化した商品が発売されることで、販売額はキープまたは、拡大されていくことが考えられます。  

このように日本でも広がりを見せるオーラルケア商品ですが、日本より格段にオーラルケアへの意識が高く、それに合わせて消費も高いのが北米です。日本では普及していない商品等も存在しています。北米のオーラルケア市場はどのような様相なのでしょうか?

北米のオーラルケア市場

各オーラルケア製品のイラスト

まず、アメリカでは日本のように国民全員の健康保険のようなものがなく、個人で医療保険に入る必要があります。 個人の医療保険の掛け金は高額で、特に歯科保険はより高額になるため、虫歯の発生を予防するために日々のケアと予防歯科が欠かせません。そのためアメリカのオーラルケア市場は大変活気のある状況です。 

アメリカの2019年のオーラルケア市場はなんと、49千億円。 2020年は5兆円の大台に突入する勢いがあり、将来的にも年々増加すると考えられています。 この金額は日本と比較すると単純に10倍となり、人口も二倍有するとはいえ、相当な規模の市場が存在しています。  

アメリカには日本で知られる多くの口腔ケア製品を販売する企業があり、中でも下記の8企業は中心的なキープレーヤーとなっています。 

  • 歯磨き粉で長年人気のある「Colgate」で有名な「コルゲート・パーモリーブ」。
  • 「ポリデント」「アクアフレッシュ」で有名な「グラクソ・スミスクライン」。日本名「シュミテクト」で販売している「Sensodyne Pronamel」は2019年アメリカで歯磨き粉販売2位の約2億ドルを売り上げた。
  • Dove」や「Lux」などシャンプーやボディーソープ、「クノール」の食品など様々なブランドを所有する「ユニリーバ」。「シグナル」というブランド名で歯磨き粉を販売。
  • 日本での正規販売はありませんが、歯茎の腫れや、歯痛用のペースト「オラジェル」を販売する「チャーチアンドドワイト」。 
  • 日本発の企業で大阪に本社がある「GUM」や「Ora2」で日本でも知られている「サンスター」。
  • ドイツ出身で歯磨き粉のほか接着剤などの工業製品を販売する「ヘンケル」。 
  • 「リステリン」などのオーラルケア用品から医薬品まで、日本でも多くのブランドを有する「ジョンソンアンドジョンソン」。 
  • アメリカでベストセラーの歯磨き粉「クレスト 3D ホワイト」で2019年にアメリカで26000万ドルを販売し、日本でも数多くの種類の商品を有する「P&G」。

それぞれの企業で強みを生かし、新たな商品を販売し販売競争にしのぎを削っているような状態です。なおこの中で、歯磨き粉の販売1位はP&G社の「クレスト 3D ホワイト」。この商品はホワイトニングに特化した歯磨き粉として人気があり、アメリカでは特にホワイトニングに関して注目されていることがわかります。それは、アメリカでは笑う時の口元が綺麗であることが重要視されているというところにあります。より白く、歯並びの揃った綺麗な歯でスマイルするのが常識。 そのため、手軽に毎日のケアで歯の白さを維持する製品に人気が集まっています。そして歯磨き粉以外でも、本格的なホワイトニングを行う製品やサービスが多く存在し人気を得ています。 

ホワイトニングというと、日本でも自宅で自分で行う「ホーム・ホワイトニング」と、歯医者で行ってもらう「オフィス・ホワイトニング」が存在しますが、北米では自宅で簡単に行えるホーム・ホワイトニングが普及しています。一旦歯形を取って歯に装着するマウスピースを作成してしまえば、家にいながら手軽にホワイトニングを継続して行うことが可能です。 

通常は歯の漂白用のジェルをつけマウスピースをしてホワイトニングをするのですが、青色LEDを使用し歯の表面を照らし、よりホワイトニング時の効果を上げるという商品も存在します。さらにクレストの「3D ホワイトストリップ」はマウスピースが無くても、歯の表面にシートを貼るだけで手軽に使用することができるという商品もあります。 

このようにホワイトニング1つでも、人々の使い方や要望によってさまざまな商品が産み出され普及しています。 

そして、日本ではあまり馴染みがない製品では「ウォーターピック」と「口腔洗浄器」が普及しています。これは簡単に説明すると口腔内や歯間を水のジェットで洗浄する機械のことです。 日本での歯間ケアは主に歯間ブラシやデンタルフロスを使用することが多いですよね。しかし歯間ブラシを使用しても、歯と歯の間の汚れを除去するのみで、歯と歯茎の間の歯周ポケットの汚れを除去することは難しくなります。歯周ポケットに残った汚れは、口臭や歯周病の原因となるため、それを効率よく手軽に洗浄可能なのがこの口腔洗浄器なのです。これは、ノズルから出るジェット水流の勢いで、歯と歯茎の気になる部分の汚れを除去してくれる装置です。 

アメリカで多く普及しているのは、十分な水量を使用可能にするため、ジェットノズルの横に水を溜めておくタンクが付属している形で、北米のような大きな洗面所のある場所では多く使用されています。 水の勢いや温度も調整でき、個人に合わせた快適な水流を選択可能です。水流を当てることによるマッサージ効果で、歯肉の血行を改善、歯磨きのし過ぎによる歯の摩耗も防止してくれる優れものです。 

実はアメリカで人気のあるこの口腔洗浄器は、日本でも販売されています。代表的な製品だと、オーラルケア製品にも力を入れている「Panasonic 」の「ジェットウォッシャー ドルツ」シリーズ。北米で普及しているもののようにタンク式の仕様もあれば、ノズルとタンクが一体化して電池式で携帯可能なコンパクト仕様も販売しており、使用方法に合わせた種類を選択することができます。 

このように口内のセルフケアにとても敏感な北米市場。さまざまなのホワイトニング周辺商品や口内洗浄器など、まだそれほど日本では普及していない製品も存在します。多くの商品は、以前日本では普及していなかった商品でも、後に北米や海外から日本に持ち込まれ、そして日本市場にも溶け込み販売を拡大をしてきたという事実が頻繁に存在します。口腔洗浄器のような新しい製品も将来日本、そして世界でも普及することが考えられます。 

^パナソニック口腔洗浄器 ジェットウォッシャードルツ

まとめ

新型コロナウイルスでのステイホームが行われたこともあり、セルフメディケーションの意識が高まり、口腔ケアについてさらに注目が集まっています。 口腔ケア用品は進化を続け、今まで使用していた商品でも、さまざまな機能が追加され、新しい口腔ケア商品も生み出されています。 

これからも日本のオーラルケアマーケットは北米に追随するように拡大し、北米のように更なるホワイトニング商品の普及や、口腔洗浄器のような新しい製品の普及も拡大するでしょう。 

可能な限りセルフメディケーションを行い、病院にかかることのないように自分に合ったオーラルケア製品をうまく活用できるといいですね。 

日本のオーラルケア市場 
https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=21032.pdf&nocache

アメリカのオーラルケア市場 
https://www.statista.com/statistics/326389/global-oral-care-market-size/

Crest 
https://crestwhitesmile.com/crest-3dwhitestrips-vivid-gentle/

パナソニック口腔洗浄器 ジェットウォッシャードルツ 
https://panasonic.jp/teeth/products.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=teeth-jetwasher_ME_S_G_202106-gn&utm_content=teeth-jetwasher_ME_S_G_202106-gn_oral&utm_term=responsive_n_n_products_n&gclid=EAIaIQobChMIjoawiZzH8gIVChBgCh2GAw2pEAAYASAAEgLNQfD_BwE#jetwasher

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