はじめに
日本では近年、少子高齢化が社会問題になっておりますが、この原因は未婚化による少子化にあるとされています。
この問題は日本だけでなく、先進国を中心に進んでいます。
中国では2019年の出生数は前年比で4%近くも減少し、ここ3年連続で出産数は低下しています。
米国でも2018年の出生率は史上最低値を記録し、少子化が進んでいます。
このように少子化を防ぐためにも、自分に合った人と出会い、結婚後まで真剣に考えてられる相手かどうか見極める力が必要になってきます。
「結婚に向けて早くパートナーを探したい」と考えている人は世界でも沢山存在するのですが、忙しくて時間がなかったり、気軽にそして簡単にパートナーを探したいという声が世界的に増えています。
そこで活躍するのが「婚活・恋活アプリ(マッチングアプリ)」です。
マッチングアプリはグローバルレベルで大きな市場となっており、2025年には日本国内において1060億円規模に成長するといわれております。
2019年のモバイル市場では、米国における非ゲーム系アプリ上位250の消費支出の9割以上がサブスクリプションによる課金であり、その多くをマッチングアプリと動画ストリーミングアプリが占めていました。
また、2019年には非ゲーム系アプリのサブスクリプションにおける世界消費支出ランキングで、前年1位の「Netflix」を抜いて、マッチングアプリの「Tinder」が首位を獲得していました。
インターネットの普及やライフスタイルの変化によって、 近年ではオンライン上で恋人や結婚相手といった将来のパートナーを見つける人が増えています。
欧米諸国では独身の人々のうち約半数がマッチングアプリを使っており、特に出会いに対して本気度が強ければ強いほど、様々なアプリを利用して出会いのチャンスを増やしている傾向にあります。
今回は海外でよく使われている様々な婚活アプリの機能面・利用者形態などについての比較をお伝えしていきます。
マッチングアプリに人が集まる理由
オフラインの出会いの場がオンラインに移った
1つの理由として挙げられるのは、オフラインの出会いの場がオンラインに移ったことがあげられます。
従来までは、友達の紹介などで相手に会うことが主流でしたが、インターネットの普及によりオンライン上でメッセージをやりとりしてから会うことが可能となりました。
そして昨今ではコロナウイルスによる3密を避ける社会に変わり、全体的にオンラインのマッチングアプリサービスの需要が増加しています。
スキマ時間でできる
2つ目の理由は、スキマ時間でできる点です。毎日仕事で忙しい人には、従来のようにわざわざ約束の場所へ行くことは時間的、体力的にも一苦労です。
日程を調整せず、その場でアプリを開くだけでスキマ時間に婚活・恋活できる点がアプリの利用率を上げています。
また、何回もお店を予約する手間が省けることもメリットです。
効率よく自分に合った人を探せる
3つ目は、効率よく自分に合った人を探せる点です。マッチングアプリでは、相手の写真やプロフィール内容を事前に選別し、メッセージで連絡をとりあい、気が合いそうなら会う、という流れになるため、その相手を選ぶ時間が十分に取れます。アプリの無い時代では相手に会うまで、このように十分な時間をとって選別することはできませんでした。
本当に自分に合った人かどうかよく判断するためにも、このように効率よくパートナーを探せる点は大きなメリットです。
最後の理由は、社会全体的に「婚活・恋活アプリを通して知り合った、または結婚した」と周りに話すことに抵抗がなくなってきていることです。
日本ではまだ抵抗感があり、「友人の紹介で出会った」というような嘘で話を流してしまう傾向もあるのですが、海外では婚活アプリへの抵抗感は比較的ありません。
そのため、周りにも勧めやすいといった点などから今後もかなり早いペースで婚活アプリが浸透していくと考えられます。
以上、マッチングアプリに人が集まる理由について、利点を交えながら説明しました。
それでは、いったいどのようなアプリが世界で使われているのでしょうか。
代表的な海外の婚活アプリ
Tinder
これはアメリカ発祥で、Matchグループという大きな組織が運営しています。
このTinderは米国を中心に多く利用されており、一般的には 男性の方が女性よりも2倍近くマッチングアプリを使っているという傾向があります。
利用者は米国だけでなく、世界196カ国でも使われ、26ヶ国言語対応できるという、世界でシェア率が最も高くなっている婚活アプリとなっています。会員数も5000万人以上を保有しています。
このTinderが世界で一番のシェア率を誇っている背景には、コミュニティ形成機能に力をいれている開発側の狙いがあるからです。
Facebookやインスタグラムのアカウントと連携させているため、ユーザーは自分の写真をいろいろな人に見てもらうことができ、逆に相手の投稿された写真を見て、趣味や好みなどを把握することができます。
こうしたところからマッチングが生まれやすくなり、人気となっているようです。
また、有料のプランでは無制限のLike機能や自分のいるエリアで自身のプロフィールを30分間優先的に表示させることができるブースト機能が搭載されています。
無料会員の方が圧倒的に多いですが、有料プランを利用してでもこのような機能を使って、結婚相手を探したいと考えている人も一定数います。
アメリカのオンラインデーティング市場規模は2000億円にもなり、アメリカ国内におけるTinderのシェア率は、全体の約10%で、人口に換算すると約3,300万人にも上ります。
因みに「Coffee Meets Bagel」や「Bumble」といったサイトもアメリカ内でシェアされていますが6%程度にとどまっており、やはりシェア率ではTinderがトップです。
米国では、ここ10年のうちに オンライン上で出会った夫婦はたった3%から35%にまで上昇していることも調査で分かっています。
こうしたことから、米国での婚活市場拡大が今後も進み、多言語対応で世界各国にも利用者がいることからも世界規模で拡大していくことが考えられます。
Pairs
このアプリは日本、韓国、台湾、タイで主に利用されています。
日本発で株式会社エウレカというベンチャー企業が開発しました。
2012年10月にリリースされて以降、現在ではユーザー数はアジアを中心に1,000万人を越え、日本国内の 利用率No.1になっています。
このPairsが人気の理由は、豊富な検索機能があること、そして 10万以上のコミュニティを通して 条件や趣味・価値観の合う相手を見つけることができる点です。
コミュニティの中でも他社に先立ってFacebookと連動したことが現在も高い人気を保っている理由です。
また、業界初の24時間365日いつでもオペレーターが画像、テキスト投稿を監視しているため、セキュリティ対策は勿論 安心・安全にユーザー同士が交流することができる点も利点です。
日本人は国内のアプリを使いたがる傾向があるため、シェア率の多くは日本ですが、2013年には台湾で「派愛族」、2017年には韓国で「페어즈」というアプリ名でリリースされ、海外でもその人気は高くなっています。
Pairsが市場を拡大させている日本・台湾・韓国の3カ国でPairsの累計会員数の集計をとったところ、1,000万人を突破していることが明らかになりました。
Pairsをきっかけに交際・結婚をした人数は累計20万人以上にも上ります。成功率の高さもアプリが利用されやすい理由の一つです。
아만다(アマンダ)
Pairsの他、韓国ではその国独特の文化がうかがえる面白いマッチングアプリが人気になっています。
それは「아만다(アマンダ)」という名前のアプリです。この意味は「誰とでも絵うわけではなく、こだわりを持っている」という意味が込められているそうです。
この名前の通り、このアプリでは顔写真を使って審査を受け、5点満点中3点以上で審査が通れば登録でき、落ちてしまえば登録すらできないというシビアなアプリなのです。
美容整形大国で容姿を重視する韓国ならではの婚活・恋活における価値観に合わせていることが分かります。
年齢制限ならオフラインでもオンラインでもありますが、顔制限は珍しいです。
人によって好みは異なりますが、厳しい審査によって利用者は美男美女がそろっていると好評なようです。
しかし、審査に通らなかった人がこうしたマッチングアプリを使うことができないといった問題もあるため、Pairsのような様々な分野において相手の特徴を把握することができるアプリのニーズがあるようです。
Tantan
中国で2014年にリリースされたマッチングアプリで、使い方はTinderとほぼ同じです。
背景としてはTinderを運営するMatchグループの傘下にある企業ということがあります。
そのため、よく「中国版Tinder」とも言われています。
中国はグレートファイアウォールという政府が厳しいインターネット規制をかけているため、Youtube やFacebook、Tinderといった世界でもよくつかわれているSNSアプリを利用できません。そのため、中国独自のアプリを開発する必要があったのです。
この業界で世界に影響力を持っているアメリカのMatchグループはこうした理由でTantanを開発し、リリースしました。
リリースから6年後の2020年5月にはSencerTowerというアプリのランキングなどがデータ化されているツール上で「世界デートアプリ売り上げランキング」第4位を獲得しました。
Tantanには、世界で約3億人の登録者がいます。タイやインドネシアといった他国の人も利用していますが、3人に1人の割合で圧倒的に中国人が多いです。
Tantanは、Tinderと同じで完全無料で相手を探すことが可能ですが、中国国内の利用者の中には、どうしても早く結婚相手を見つけて親を安心させたいという人が一定数います。
有料にすると、どのような人が自分にLikeをしてくれたのか明確に確認できるといった機能がついているため、有料プラン料金を支払い、より利便性を上げたうえで使用する需要が増えていることも事実です。
VIP会員は1ヶ月 1,900円から始められるようになっています。
因みにこうした婚活のデジタル化が進んでいる一方、アナログな婚活をしている中国人も多いです。
中国の婚活事情では、子供に代わって親同士がお見合いの交渉をするのが主流です。
実際、結婚適齢期の本人より親の方が真剣になっているという独特の文化があります。
中国のネット婚活市場規模は2021年までには1,000憶円を超すとも推測されており、こうした人々もアプリ市場に移行させることができるかどうかが今後成長のために重要なカギとなります。
Beetalk
このアプリは、台湾で一番人気となっています。
台湾人全体の25%が利用経験があるとも言われています。
その他ベトナム、中国、韓国、インドネシアでも使われています。
2015年頃はタイでも絶大人気を誇るマッチングアプリとして利用されていましたが、TinderやPairsの利用者がタイ国内で増えたことから、競争激化に負け、2019年に撤退しました。
そんなBeetalkですが、一番利用されている台湾ではもともと通話やメッセージのやりとりを行う日常的なコミュニケーションツールとして利用されていました。
ところが、連絡先を交換していなくてもアプリをダウンロードしている誰とでも連絡をとれるといった点で出会い系・恋活・婚活の諸段階として利用する人が多くなりました。
また、位置情報をオンにすると近くにいるユーザーを探すことができます。
この点はFacebookに非常によく似ています。
そのほか機能面として特徴的なものは、マッチングしなくても、気に入った相手にメッセージを送信することができる点です。
多くの恋活・婚活アプリはお互いマッチングしないと連絡交換ができないので、この点はセキュリティ面では不安を抱える場合もありますが、気に入った相手と恋愛・結婚できる確率は上がります。
利用している年齢層は、台湾人の中高年層が多く、出会いをオンラインに求めている割合も他国と比較しても多いことが分かっています。
Beetalkは台湾を中心に高いシェア率を維持しているので今後は、そうした年齢層の需要に合わせて恋活・婚活市場をさらに展開させていくと推測できます。
まとめ
今回世界で高いシェア率を保持している恋活・婚活アプリの特徴と地域での需要などを照らし合わせながらお伝えしてきました。
結婚のために良い出会いを求めている点では世界共通していますが、使用しやすい機能や求めたい相手によって利用するアプリには国・人それぞれ違いが出ていることも明らかになりました。
IT技術、デジタル化が進化する中、今後もこの婚活市場における恋活・婚活アプリの需要は確実に伸びていきます。
今回取り上げた現状を理解してどのように今後恋活・婚活市場を拡大できるか考えてみてはいかがでしょうか。