オーガニックフードの海外進出方法と海外輸出取り組み事例紹介!

世界でオーガニックフードの需要が高まっており、2029年の世界市場規模は47.6兆円に拡大する見込みです。日本企業にとっては、世界市場が拡大している今こそ世界進出のチャンスといえます。

そこで本記事ではオーガニックフードの海外展開方法と、日本企業の海外輸出の取り組み事例を紹介します。

オーガニックフードの世界市場規模

農林水産省の調べによると、世界の有機食品売上の推移は以下のとおりです。※有機食品とは農薬や化学肥料を使わずに、自然の恵みを利用した栽培方法で作られた食品で、オーガニックフードと同じ意味です。

出典:農林水産省「有機食品市場 世界の状況

上の表より、オーガニックフードの世界市場規模が年々拡大しているとわかります。2022年は1,574億ドル(約20.4兆円)に達し、2029年には倍以上の3,666億ドル(約47.6兆円)にまで拡大すると見込まれています。※1ドル=130円で換算

また同調査によると、2018年時点の世界各国の有機食品売上額は以下のグラフです。

出典:農林水産省「有機食品市場 世界の状況

アメリカの売上は5兆円、ドイツ・フランスは1兆円を突破しています。日本は中国に次いでアジア2位ですが、世界でみると13番目の市場規模です。

日本は1,816億円であることから、アメリカだけをみても日本の28倍もの市場規模があります。今後、ますます海外の市場規模の拡大が予想されていることから、日本企業にとってオーガニックフードの海外市場は、チャンスの多い分野といえます。

日本のオーガニックフードの輸出動向

近年、世界市場規模の拡大を背景に、日本のオーガニックフードの輸出量が増えています。

出典:農林水産省「有機食品の輸出拡大に向けた各地の取組事例集

また2018年の主な輸出品目は以下のとおりです。

品目輸出数量
しょうゆ1,109トン
754トン
こんにゃく99トン
味噌84トン
梅加工品48トン

出典:農林水産省「有機食品の輸出拡大に向けた各地の取組事例集

このように、有機しょうゆや有機茶の輸出量が多く、日本らしいオーガニックフードの需要が高いことがわかります。

オーガニック先進国

海外へ進出する際は、どの国をターゲットにするかが重要なポイントです。検討の際の参考として、ここではオーガニックフード先進国の5カ国を紹介します。

・デンマーク

デンマークは世界トップクラスのオーガニックフード大国です。2021年のオーガニックフードの売上高は3,700億円に達し、市場シェアの13%を占めるほどです。また、2022年にはイェール大学のEPI(環境パフォーマンス指数)で1位に選ばれるなど、高い評価を得ています。

・ドイツ

ドイツは「オーガニック発祥の地」といわれるほど、古くからオーガニックフードと関わってきました。1920年代からオーガニックが注目され、現在では全国にオーガニック専門スーパーが700軒以上あります。

・アメリカ

アメリカは約5兆円という世界最大のオーガニック市場を有しています。

・オーストラリア

オーストラリアは、世界のどの基準よりもオーガニック認定が厳しいことで有名です。例えば、「95%以上が認定された原料を使っていること」や「残り5%は基準を満たす天然由来成分であること」などがあります。

・フランス

フランスでは、1980年に有機製品に関する法律が制定されました。1985年にはオーガニック認証を取得した商品にABマークをつけています。なおフランスではオーガニック製品のことをBIO(ビオ)と呼び、ABはフランス語の「Agriculture biologique(有機農業)」の略です。

海外へオーガニックフードを輸出する方法

日本から海外へオーガニックフードを輸出するハードルが高いのは、国や地域によりオーガニック認証の基準が異なるためです。

日本国内で「有機」や「オーガニック」と表示するには、有機JAS規格に適合しているか認証を受けなければなりません。同様に、海外でも「有機」や「オーガニック」と表示するには、その国・地域の有機規格の認証が必要です。

これらの問題を解消して輸出するには、以下の2つの方法があります。

①同等性を利用して輸出する

②海外認証を取得して輸出する

それぞれの方法について詳しく解説します。

①同等性を利用して輸出する

1つ目は、有機食品の同等性を利用する方法です。

有機食品の同等性とは、自国と他国の有機認証の認証体制に「同等性」が認められれば、それぞれの有機認証を同等のものと扱えることです。つまり、同等性が認められている国・地域へ輸出するのであれば、日本の有機JAS規格を認証すると「有機」と表示したオーガニックフードを輸出できます。

具体的に同等性が認められている国は以下のとおりです。

・有機農産物、有機畜産物および有機加工食品

アメリカ、オーストラリア、カナダ、スイス

・有機農産物および有機農産物加工食品

アルゼンチン、イギリス、ニュージーランド、EU、台湾

②海外認証を取得して輸出する

有機同等性が認められていない国・地域への輸出については、該当する国・地域の認証を取得する必要があります。

つまり、同等性が認められていない国・地域へ出展する際は、認証取得のための手続きや費用が発生するので注意が必要です。

オーガニックフードの海外進出の取り組み事例

この章では、オーガニックフードを海外へ輸出している日本企業の取り組み事例を紹介します。

①有限会社丸新柴本製茶(日本茶) 

出典:有限会社丸新柴本製茶

有限会社丸新柴本製茶は、創業1912年でお茶を栽培している企業です。日本茶専門のECサイト「CHANOBA」を運営するなど、幅広く活躍しています。

その有限会社丸新柴本製茶がオーストラリアにて調査を行った結果、オーガニックの緑茶・抹茶の需要が見込めました。そこでオーストラリアへの輸出に向けて、国内で有機JAS規格を取得しました。現在は現地企業との商談が進行中です。

②株式会社和田萬(ゆず七味)

出典:株式会社和田萬

株式会社和田萬は、2011年からごまペーストを海外に向けて販売しています。ごまペーストは差別化のために、有機JAS認証だけではなく、EUやアメリカの認証も取得しているのが特徴です。

また海外の要望調査において、有機の七味に興味があるとわかったので、新たな取り組みとして有機JAS認定を取得した「ゆず七味」を開発しています。「ゆず七味」はマレーシアの展示会に出展するなど、東南アジアを中心に商談を進めています。

これらの取り組みにより、2021年の輸出額は1.2億円を達成しました。

③光食品株式会社(有機ジンジャーHOTソースなど)

出典:光食品株式会社

光食品株式会社は、原料や無添加にこだわったオーガニックフードを作っている企業です。代表的な製品に、有機ジンジャーHOTソースや有機ゆずジャムなどがあります。

海外進出においては、イギリスやオーストラリア、シンガポールなどに輸出した実績があります。このように多くの地域への進出を果たした要因は、ニーズにマッチした商品を作っているためです。

具体的には、輸出向けの商談会や現地のバイヤーから得られた要望・意見を商品作りに反映しています。

まとめ

オーガニックフードの世界市場規模は今後も拡大する見込みです。日本企業においては、オーガニックフードで海外進出をするのも1つのアイデアといえるでしょう。

今後、海外進出を検討されている企業様は、ぜひ一度プルーヴ株式会社にご相談ください。

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