寿司業界の現状と海外進出状況を解説!スシロー/くら寿司/元気寿司

日本人が好きな和食といえば「寿司」を思いつく方は多いでしょう。その証拠に数多くのアンケートで、日本人の好きな食べ物として「寿司」が1位を獲得しています。そして世界に目を向けてみると、日本食は相変わらず人気です。

その日本食の代表的な存在の「寿司」は、海外においてどのような立ち位置なのかを知りたい方はいませんか。

そこで本記事では寿司業界の現状と、大手寿司会社のスシロー・くら寿司・元気寿司の海外進出状況について解説します。

国内の寿司業界の動向

寿司業界は、他の飲食業界と同様にコロナにより大きな影響を受けた業界です。具体的には2019年の市場規模が1兆5,466億円に対して、2020年が18%減の1兆2,639億円にまで下がりました。

その後2022年・2023年に需要が回復・増加し、現在の市場規模は増加傾向にあります。その大きな理由は、コロナの規制緩和に伴い経済活動が再開した影響からイートインの需要が増えたためです。

しかし、最近は魚の価格が高騰しており、利益率の低下を招いています。そのため、純利益を減少させる企業が増加しており、高騰するコストへの対応が寿司業界全体の課題といえます。

寿司業界の海外進出動向 

海外における日本食レストランの数は、2019年の約15.6万店舗から2021年の約15.9万店舗に増加しています。

そのなかでも、店舗数が多い地域は以下のとおりです。

・アジア 100,900店

・北米 31,200店

・欧州 13,300店

・中南米 6,100店

このように日本食ブームが引き続き維持している状況のなか、大手寿司会社は台湾や香港、韓国、中国、タイなどを中心に進出を加速させています。

スシロー/株式会社FOOD & LIFE COMPANIES

出典:スシロー

スシローは業界1位の回転寿司チェーンです。

そのスシローは国内に626店舗を構えており、安い値段で新鮮なネタが食べられると人気を集めています。

この章ではスシローの会社概要と海外進出動向について紹介します。

スシローの会社概要

スシローを運営している企業は「株式会社あきんどスシロー」で、その親会社が「株式会社FOOD & LIFE COMPANIES」です。

株式会社FOOD & LIFE COMPANIESの会社概要は以下のとおりです。

会社名株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
創業1984年
設立2015年3月
資本金1億円
拠点グループ店舗数 1,083店舗
海外スシローブランド 87店舗
売上高2,813億円(2022年9月30日時点)
従業員社員:6,088名 パート・アルバイト:21,961名

2023年9月期第3四半期決算によると、スシローの海外売上高は469億5,500万円で、前年同期比の84.9%の増収を達成しています。一方国内のスシロー事業は、売上高が1,497億1,800万円で10.8%減となりました。

その結果、スシローの海外売上高比率は31.3%となり、前年同期の15.1%から約2倍に増加しています。

海外進出動向 

スシローの海外事業が大きく成長できた理由は、海外でも新型コロナによる営業規制が緩和され、イートインの需要が徐々に回復したためです。

そのようなタイミングの2022年にスシローは、さらに積極的な事業展開のために中国大陸の成都1号店を含め、当期に20店舗を出店しました。

例えば台湾に5店舗、香港に4店舗、タイに5店舗といった具合です。

アジアを中心に積極的に進出しているのが特徴です。また各国の来店客数を伸ばすために、様々なイベントを開催しているのもスシローの特徴といえるでしょう。マーケティング施策の一例は以下のとおりです。

・食べ比べフェア(中国大陸)

・新鮮食材フェア(韓国)

・5周年創業祭(台湾)

・大大大祭り(香港)

・九州フェア(シンガポール)

・2周年創業祭(タイ)

これらの活動により、驚異の海外売上高84.9%増を達成したのです。

くら寿司株式会社

出典:くら寿司

くら寿司は、スシローに次いで業界2位の回転寿司チェーンです。くら寿司も海外進出に積極的な企業で、米国や台湾を中心に店舗を増やしています。

この章ではくら寿司株式会社の会社概要、海外進出動向について紹介します。

くら寿司会社概要 

くら寿司株式会社の概要は以下のとおりです。

会社名くら寿司株式会社
創業1977年5月
創業1995年11月
資本金20億532万円
拠点グループ店舗数 614店舗
海外 米国46店舗・台湾49店舗(2023年4月末時点)
売上高1,830億円(2022年10月末時点)
従業員社員:2,329名

くら寿司の2023年10月期第2四半期の決算短信によると、国内売上高は805億3,300万円で前年期より7.4%増を達成しています。

さらに海外事業も好調で、北米・アジアの海外売上高は213億1,100万円で48.8%の増収でした。これにより、くら寿司の海外売上高比率は26.4%となります。

海外進出動向

くら寿司の海外進出で特徴的なのは、台湾・米国の子会社がそれぞれの地域で拡大を図っていることです。

北米では、米国子会社 Kura Sushi USA,Inc.(KSU)が米国の事業を展開し、2023年4月末時点で46店舗を出店しています。同様に台湾子会社 亞洲藏壽司股份有限公司(KSA)が台湾での事業を展開しており、2023年4月末時点で49店舗を出店しています。

またこれまでは事業展開する地域を米国・台湾に集中してきましたが、中国大陸にも積極的に進出し、2030年までに海外拠点を400店舗に増やすことが目標です。

元気寿司株式会社 

出典:元気寿司

元気寿司株式会社は、「元気寿司」「魚べい」「千両」の3つのブランドを展開しています。

・元気寿司

地域密着型の店舗で、旬なネタを提供する回転寿司チェーン

・魚べい

寿司を110円(税込)という価格で提供している寿司レストラン

・千両

本物を求める消費者のために、最高品質と技術、こだわりのネタを提供する回転寿司チェーン

この章では元気寿司株式会社の概要と、海外進出動向について紹介します。

元気寿司の会社概要 

元気寿司株式会社の会社概要は以下のとおりです。

会社名元気寿司株式会社
創業1968年12月
創業1979年7月
資本金1億円
拠点香港87店舗、中国55店舗 インドネシア32店舗、
シンガポール22店舗 ハワイ州12店舗、
フィリピン12店舗 マレーシア5店舗、
カンボジア4店舗 ワシントン州1店舗、
ロサンゼルス1店舗 クウェート1店舗
計232店舗(2023年6月末時点)
売上高546億円(2023年3月期)
従業員社員:2549名(2023年3月期)

元気寿司株式会社の海外売上高は78億8,100万円で、海外売上高比率は14.3%です。

海外進出動向 

元気寿司株式会社は、1990年代にハワイに出店するなど、業界のなかでは海外進出の先駆けとして知られています。

現在は、アジアを中心にフランチャイズ方式で200店舗以上を展開しています。

今後は250店舗を目標に出店を加速させ、香港・中国・東南アジアへの展開を拡大する予定です。

海外の個人の寿司店では寿司職人の年収が1000万円?! 

和食人気や慢性的な人材不足から寿司職人争奪戦が行われているため、日本の寿司職人が米国に渡ることで、「年収が1,000万円を超える」と話題になっています。

日本人が店頭に立つことで高級感を演出できることから、米国では日本人の寿司職人の年収が上がっているのです。この話題は、寿司が海外で受け入れられていることを示している事例といえるでしょう。

まとめ

本記事では寿司業界の現状と、大手寿司会社の海外進出状況について解説しました。大手寿司各社の海外進出動向では、アジアへの展開が重要と捉えていることが確認できます。

このように、海外進出においてはターゲットエリアの選定は成功を左右するほど重要なポイントです。今後世界に進出を検討している企業は、ぜひプルーヴにご相談ください。

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