消費者調査は設計がすべて!成果を左右する5つのポイントを解説

消費者調査は、アンケートやインタビューが主な手法であるため、つい質問作成に意識が向きがちです。しかし、良い質問を作れば成功するとは必ずしも言えません。質問内容がどれだけ丁寧でも、調査全体の設計が不十分だと、成果が得られないことはよくあります。

実際、次のような悩みを抱えるご担当者様も少なくありません。

「アンケートを実施しても次のアクションにつながらない」

「収集したデータの多くが利用できなかった」

これらの課題を解決するために欠かせないのは、調査全体をどう設計するかという視点です。本記事では、より質の高い市場調査を実施したいご担当者様に向けて、なぜ質問作成だけでは不十分なのかを解説し、成果につながる設計の5つのポイントを解説します。

なぜ消費者調査は質問作成だけでは不十分なのか

消費者調査が思うような成果につながらない背景には、「良い質問さえ作れば調査は成功する」という誤解が存在します。質問作成のみに注力しすぎると、調査の目的や対象の設定といった設計が不十分になり、得られるデータの質が低下するためです。例えば、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 本当に知りたい情報が手に入らない

調査目的が曖昧なまま質問を作ると、内容が整っていても意思決定に必要な情報を得られず、集めたデータを活用できないことがあります。

  • 表面的な回答ばかりになり、顧客の潜在ニーズを引き出せない

質問の意図が回答者に伝わらない場合、当たり障りのない意見になりやすく、調査で本来知りたい顧客の潜在ニーズや背景にたどり着けません。

  • 分析しにくいデータが生まれ、意思決定につながらない

調査後の分析を考慮せずに質問を作ると、分類や比較ができない回答が集まりやすく、意思決定に結びつかないことがあります。

このように、いくら質問が丁寧に作られていても、それだけで調査が成功するわけではありません。そこで必要となるのが「設計」という視点です。

消費者調査は設計がすべて

消費者調査の設計とは、消費者からどのような情報を収集し、それをどのように意思決定へつなげるのかを事前に組み立てるプロセスです。

これは、家を建てる前に設計図を用意することに例えるとわかりやすいでしょう。どれほど高品質な建材があっても、設計図がなければ安全で丈夫な家は建ちません。消費者調査も同じで、設計が不十分な状態ではどれほど質問内容が整っていても成果につながりにくいのです。

反対に、設計が十分であれば、収集したデータをどのように分析・活用するかまで見据えた質問作成ができるようになります。つまり、消費者調査の成功は、質問を作り始める前の「設計」によって決まると言っても過言ではありません。

【設計前の基礎知識】消費者調査の流れ

設計のポイントを理解するためには、まず消費者調査がどのような流れで進むのかを把握しておくことが重要です。全体像を押さえることで、どのような設計が求められるかを明確にできるためです。それでは、具体的な流れを紹介します。

手順① 調査目的の定義

調査により何を把握したいのか、どのような課題を解決したいのか、目的を定めます。目的を明確にすることで、質問内容や調査全体のプロセスに一貫性が生まれます。

手順② 調査計画・手法の立案

調査の手法や対象者、サンプル数などを調査計画にまとめます。代表的な手法は次のとおりです。

  • アンケート調査
  • フォーカスグループインタビュー
  • デプスインタビュー
  • カスタマージャーニー調査
  • 家庭訪問調査

これらの手法を収集したい情報や目的に応じて使い分けます。

手順③ データ収集

調査計画を実施し、データを収集します。この段階では、設計を基に質問作成をすることで、効果的なデータを集めやすくなります。

手順④ データ分析

収集したデータを分析し、顧客ニーズや行動の背景を明らかにします。設計段階で分析方法を想定しておくことで、データの扱いやすさが変わります。

手順⑤ 調査結果の評価・意思決定

最後に、分析結果を踏まえて課題の特定や改善策の立案を行います。消費者調査で成果を上げるには、次のアクションにつなげることが重要です。

そして、これら一連の流れを機能させるためのカギとなるのが、次に紹介する「設計の5つのポイント」です。

成果を左右する5つのポイント

ここからは、消費者調査の設計力を高めるための5つのポイントを紹介します。これらは単独で機能するのではなく、互いに影響し合いながら調査の成果を左右する要素です。調査の質を高めるために、一つずつ押さえていきましょう。

調査目的の設計

調査目的は、最初の手順で定義するように、設計段階においても重要なポイントの一つです。目的を定めずに進めてしまうと、質問の方向性がブレたり、収集したデータも表面的な意見の寄せ集めになったりするためです。そのような事態を避けるために、調査目的の設計では次の視点を考慮することが成功を左右します。

  • 何を明らかにするのか
  • なぜそれを知る必要があるのか
  • 調査データを基に、何を判断したいのか

これらの視点を基に調査目的を設計することで、調査全体の軸が定まります。

サンプルの設計

サンプル設計は「誰にどれくらい聞くのか」を定めるプロセスであり、調査結果の信頼性を左右するポイントです。対象者の設定が適切でないと、質問内容がどれほど優れていても、得られるデータが実態を反映しない可能性があります。こうしたズレを防ぐためにも、サンプル設計では次の視点が重要です。

  • どのような属性の人に調査するのか
  • どのような行動特性を持つ人を対象とするのか
  • 必要なサンプル数はいくつか

これらの視点を基にサンプルを設計することで、調査目的に合った「意味のあるデータ」が集まりやすくなり、分析や意思決定の精度も高まります。

質問構造の設計

質問構造の設計は、「何をどのような順番で聞くのか」を整理するプロセスです。質問の内容や並びが適切でないと、回答者は考えを整理しにくく、表面的な回答にとどまりやすくなります。調査の質を高めるためには、次の視点を意識して質問構造を組み立てることがポイントです。

  • 調査目的とズレていないか
  • 回答者が迷わない順序になっているか
  • 分析がしやすい形式になっているか

これらの視点を踏まえて質問構造を設計することで、回答者の考えを自然に引き出せます。

深掘りの設計

深掘りの設計は、「回答者がなぜそのように答えたのか」という背景を明らかにするためのプロセスです。理由や根拠がわからなければ、調査結果を具体的な施策や戦略に落とし込むことはできません。そのため、表面的な意見で終わらせず、回答の裏側にある意図や状況まで理解する仕組み作りが重要です。深掘りを成功させるためには、次の視点が有効です。

  • 回答の理由や背景を確認する質問を用意する
  • 利用シーンの詳細を確認する
  • 改善点や要望を尋ね、新たな発想につなげる

これらの視点を踏まえて質問作成をすることで、顧客の潜在ニーズや背景を把握できます。

分析の設計

分析設計は、「どのような観点でデータを読み解き、どの指標で判断するのか」を事前に定めるプロセスです。分析の視点が定まっていないと、集めたデータのどこに着目すれば良いかが不明瞭で、意思決定の精度を高められません。そうした事態を避けるためには、次の視点で分析設計を行うことがポイントです。

  • どの指標を中心に評価するか
  • どの属性や行動で比較するか
  • どの分析手法を用いるか

これらの視点を踏まえて分析設計を行うことで、意思決定の精度を高められます。

消費者調査は設計力がカギ

消費者調査を成功させるためには、質問作成だけでなく、調査目的・サンプル・質問構造・深掘り・分析という5つの設計がポイントです。これらを丁寧に組み立てることで、表面的な意見ではなく、意思決定に直結する質の高いデータを得られます。言い換えれば、消費者調査は「どれだけ事前に設計できたか」で成功の可否が決定します。これらのポイントを押さえた上で、消費者調査を実施しましょう。

また、海外での消費者調査については、価値観の差も重要な要素です。詳しくは以下の記事をご参照ください。

関連する事例

海外進出および展開はどのように取り組めば良い?
とお悩みの担当者様へ

海外進出および展開を検討する際に、
①どんな情報からまず集めればよいか分からない。
②どんな観点で進出検討国の現場を見ればよいか分からない。
③海外進出後の決定を分ける、「細かな要素」は何かを知りたい。

このような悩みをお持ちの方々に、プロジェクト時には必ず現地視察を行う、弊社PROVE社員が現地訪問した際に、どんな観点で海外現地を視察しているのかをお伝えさせていただきます。