アルゼンチン・ウルグアイ進出に向けたエネルギー事情(電力・ガス)

新たなマーケットとして注目される南米ですが、ブラジルを除く各国の現地情報の入手は容易ではなく、マーケットの全貌を掴むのが難しいと言われます。そこで今回は、ウルグアイとアルゼンチンを現地で見て、感じたことをお伝えいたします。

再生可能エネルギーが主流のウルグアイ

ウルグアイは人口わずか340万人と決して大きな国ではなく、そこまで注目されている国ではありませんでした。しかし、ウルグアイ政府は、2008年に25年続いていたエネルギー政策の内容を破棄し、新しいクリーンエネルギーの政策を押し進めました。

その結果、国内電力の95%を再生可能エネルギーで供給しており、注目の存在となりつつあります。一方、ガスに関しては状況が異なります。

まず都市ガスとなると、利用者は一部の富裕層に限られます。ウルグアイはガスの供給を輸入に頼るしかなく、都市ガスが異常に高額となるからです。ガスの輸入先であるアルゼンチンも、自国でまかなうガスを隣国ボリビアから輸入しているのが現状です。国家間でガスの供給を調整していますが、ウルグアイのガスは高額になってしまいます。

そんな背景があり、ウルグアイの都市ガス普及は遅れています。首都のモンテビデオでさえ、都市ガスの配管普及率は50%ほどです。地方となると10%ほどで、ほとんど利用されていません。しかも配管が普及しているからといって利用しているとも限りません。

実際、都市ガスの配管がいきわたっているエリアでもLPガスの利用が主流となっています。LPガスはタンクからガスが漏れる危険性がありますし、いつタンクのガスを使い切るのかが分かりにくく不便ですが、都市ガスと比較すれば安価で手に入りやすいのです。

一般家庭を視察

今回、ウルグアイの一般家庭を視察させていだきました。台所のコンロの下や台所横の屋外スペースなどにLPガスタンクが設置されており、調理用コンロについてはLPガスを利用することが一般的で、都市ガスは利用していませんでした。

別の家庭では同様に都市ガスは利用されていませんでしたが、LPガスの安全性の懸念から、貯湯式の電気給湯器が使用されていました。

ガス瞬間式給湯器に比べると貯湯式給湯機は貯蓄できる温水量に限りがあり、家族用の温水量を確保しようとすると設備が大型になってしまう傾向にあるため、口コミにより、ガス瞬間式の利用が増えてきています。

一般家庭の視察を通し、再生可能エネルギーによる国内電力供給率とは対象的に、ウルグアイ全域に快適なガスインフラが整備されるには、まだ時間がかかりそうだと感じました。

政権交代で転換期を迎えたアルゼンチン経済

ウルグアイとは対象的に、アルゼンチンの再生可能エネルギーは、供給エネルギーの約1%(2014年)です。一方、資源国であり、南米でも最初期に都市ガスの配管が整備された国であるため、天然ガスは広く普及しています。天然ガス車の普及率は18.7%と世界第一です。

日本の天然ガス車の普及率0.05%と比較すると、その普及率の高さをご理解いただけると思います。一般家庭においても都市ガスが利用されています。首都ブエノスアイレスでは、都市ガスの配管がほぼ行きわたっており、LPガスのようにいつガスがなくなるか心配することもありませんし、水量や水圧に制限されることなく快適にシャワーが使えます。

政府が光熱費に対して補助金を支給していて、安定したインフラが整っています。

しかし、過去を振り返ると、アルゼンチンの経済は安定していません。異常なハイパーインフレや、高度経済成長後の経済不振、度重なる経済破綻などを経験しており、2015年には12年半ぶりに政権が交代したばかりです。

これまで貿易や外貨取引を規制してきた左派的な政策から、政権交代により市場主義的な経済へと転換しており、市民の生活を支えてきた補助金も減少傾向にあります。

アルゼンチン・ウルグアイ進出のポイント

ビジネスの観点から見ると、貿易規制が緩和し、外資企業が参入しやすくなっています。しかし、過去のアルゼンチンの状況を考えると、この先に何が起こるか分からない国でもあり、慎重にならざる負えません。

長期プロジェクトはリスクが高く、6ヶ月先のプロジェクトは受注できないそうです。そんなアルゼンチンにどうやって参入すべきなのかを、すでにアルゼンチンに参入している外資系企業に直接聞いてみました。

アルゼンチン進出で成功している外資系企業は、

  • 現地のディストリビューターとパートナー提携し、現地在庫を最小限にする
  • 現地の販売会社を設立し、外資系企業へ規制がかかった時のリスクを回避する
  • 現地の工場で組み立て加工し、現地製品として販売する

参入企業としては上記の形態で現地販売を行っており、アッセンブリーを含めた現地生産でなければローカル製品との価格競争となるため、市場で生き残っていくことは難しいのが実情となっています。

実際に過去の輸入規制で大きくシェアを落とした外資企業も多く、今後もいつ輸入規制が強まるかの予想ができないため、メーカーとしてはリオグランデなどの特別関税地域を活用することで、リスクヘッジをしていることが多くなっていました。

アルゼンチンでは外資企業が輸出ベースでマーケットに参入するのは、リスクが高く、苦戦が予想されます。

ウルグアイでは

ウルグアイについては家電製品に限らず製造業自体が少なく、多くの製品を輸入に頼らざるを得ない状況となっています。そのため、輸入規制も厳しくなく、関税障壁も高くないため、輸出ベースでの進出はしやすい環境となっています。一方で、人口が少なく、市場規模自体は大きくないため、ウルグアイ市場単体での大きな飛躍は見込めないものと考えられます。

今回、ウルグアイ・アルゼンチンを現地で見て回り、南米ではメルコスール市場を軸に考え、進出の際はいかにリスクヘッジして進めていくことができるかが重要だと感じました。

(2017年4月作成)

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