海外進出で直面する“文化・商習慣リスク”とは?

海外進出の際、現地の文化・商習慣への理解が乏しいと様々なトラブルの原因となります。このようなリスクを軽減するには、事前に十分な情報収集と対策を講じることが重要です。本記事では海外進出の際に直面しやすい文化・商習慣リスク、国別の注意点、具体的な対策をわかりやすく紹介します。

海外進出における文化・商習慣リスクとは

文化・商習慣リスクとは、海外進出において現地の文化・商習慣の違いから生じるトラブルや摩擦のことです。例えば、次のような要素は国や地域によって大きく異なります。

  • 嗜好
  • 価値観
  • 宗教
  • 働き方
  • ビジネスマナー
  • 契約慣行

これらを十分に理解しないまま進出すると、誤解や摩擦を生じやすく、顧客や取引先との信頼関係の構築が難しくなる恐れがあります。

例えば商談の場において、日本では「曖昧な表現から相手の意向を読み取る」ことが求められることが多い一方、欧米では明確な意思表示が重視されます。こうした違いを理解せずに交渉を進めると、信頼を損ないかねません。

このように、文化・商習慣リスクは海外進出において避けられない課題であり、事前に対策が必要なリスクの一つです。

代表的な文化・商習慣リスクの具体例

現地の文化・商習慣の重要性は理解しやすいものの、実際にどのようなリスクが生じるのかはイメージしにくいかもしれません。そこで、海外進出時に企業が直面しやすい代表的なリスクを5つ紹介します。

日本のビジネスモデルが通用しないリスク 

海外進出において、日本で成功したビジネスモデルがそのまま通用するとは限りません。消費者の購買行動や意思決定に文化や価値観が大きく影響するためです。

例えば食品の場合、日本人に好まれる味付けや食感が海外でもそのまま受け入れられるとは限りません。甘さや塩加減、香辛料の使い方などは国や地域によって好みが大きく異なります。日本の人気の商品でも、現地の嗜好に合わせて味やパッケージを調整する必要があります。

また、ビジネスマナーや意思決定のプロセスの違いも重要なポイントです。日本では慎重に合意形成を図ることが多いのに対し、海外ではトップダウンで迅速に意思決定を行う国もあります。そのような国で日本流の進め方をすると、取引先との認識にズレが生じ、商談やプロジェクトの進行に支障が出るでしょう。

このように、日本で通用したビジネスモデルをそのまま海外に持ち込むことはリスクが伴います。

プロモーションが現地で受け入れられないリスク

進出先の文化・商習慣を十分に理解せずに商品やサービスのプロモーションを行うと、十分な効果を得られないことがあります。加えて、消費者から文化への配慮が不足していると受け止められた場合、ブランドイメージの低下につながるリスクもあります。

例えば、誤った宗教観に基づいた表現やメッセージは、強い反感を招くでしょう。

また、色やデザインの印象も国によって異なります。日本で青は「冷静」「知的」「清涼感」を表す色として使用されますが、一部の国では性的な意味合いがあり、プロモーションには不向きなことがあります。

このように、適切なマーケティングには文化や価値観の理解が不可欠です。

決済方法や決済タイミングが異なるリスク

日本の企業間取引では、月末締めの翌月末払いが一般的です。しかし、国や地域によっては、代金の一部を年末にまとめて支払う国や、一定割合を保証として翌年に支払う国もあります。このような商習慣の違いは、資金繰りに直接影響するため、事業運営において大きなリスクとなります。

ストライキが発生するリスク

海外では労働組合の影響力が強く、従業員の不満が蓄積するとストライキに発展する可能性があります。賃金や労働条件の交渉手段として行われるだけでなく、従業員の宗教的背景や価値観への配慮が不足している場合もストライキにつながります。

これは事業運営にとって大きなリスクです。例えば製造工場では、製造ラインの停止が納期遅延を招き、売上の減少だけでなく取引先との信頼関係にも悪影響を及ぼします。

長期休暇の文化が業務計画に影響するリスク

海外では、長期休暇の文化が根付いている国や地域があります。例えば、欧州では夏に数週間以上の休暇を取るのが一般的です。このような期間中は社員が不在となるため、プロジェクトの進行や取引先との調整に影響が出るリスクがあります。そのため、事前に休暇のスケジュールを把握し、業務を調整することが重要です。

国別の独特な文化・商習慣と注意点

海外進出の参考として、日本企業から人気の進出先5カ国の文化・価値観、注意点を紹介します。

アメリカ

アメリカの商談ではスピード感が重視され、即断即決が求められます。これは効率重視の文化が根付いており、迅速な意思決定が競争力につながるという価値観に基づいています。加えて、口約束は通用せず、契約書による明確な合意が不可欠です。そのため、アメリカの商談では意思をはっきり伝え、内容を文書で確実に残すことが重要です。

中国

中国では、「関係(グアンシ)」という概念が根強く、ビジネスにおいても人間関係が重要視されます。そのため、中国の進出においては、個人的なつながりを深めることが大切です。一方、注意点は撤退が困難な点です。現地法人の閉鎖には、手続きが複雑な上、合弁企業の場合は董事会(取締役会)で全員一致による決議を必要とします。

※関係(グアンシ)は、コネクションや人脈に近い意味を持つ中国語。

韓国

韓国では人間関係や上下関係が重視され、目上の人や上司への礼儀が重要です。商談や会議だけでなく、飲食の席でのマナーも評価に影響します。特に酒席では細かな作法があり、適切な振る舞いを理解しておくことが求められます。

ドイツ

ドイツでは合理主義が根付いており、時間厳守が徹底されています。1分の遅れでも信頼を損なう可能性があるため注意が必要です。また、曖昧な表現は避け、意思を明確に伝えることが求められます。加えて、ビジネスとプライベートの線引きがはっきりしているため、不用意に私的な話題に踏み込まないよう配慮しましょう。

インド

インドは人口が多く、宗教や生活様式、価値観が非常に多様です。地域や宗教によって文化や習慣が異なるため、柔軟な対応が求められます。加えて、宗教上アルコールを避ける人が多く、酒席を通じた関係構築(ノミニケーション)は難しいため、別の方法で信頼関係を築く必要があります。

※各国に関する商習慣や市場動向などの記事は、プルーヴのコラムで国名を検索するとご覧いただけます。

文化・商習慣リスクの対策案

海外進出における文化・商習慣リスクは、事前の準備と対策で軽減できます。ここでは、効果的な3つの方法を紹介します。

対策案① 現地の文化・商習慣を調査する

まずは、進出前に現地の文化・商習慣を詳細に調査することが重要です。具体的には「海外市場調査」の実施です。現地の消費者の嗜好や価値観、宗教的・文化的な背景を理解することで、よりニーズにマッチした商品やサービスを提供しやすくなります。

対策案② 現地パートナーを活用する

現地パートナーとの連携を強化し、現地の人材やネットワークを活用することでリスクを大幅に軽減できます。日本人では気づきにくいリスクにも対応できるためです。また、現地パートナーの選定については、「海外提携先の開拓・選定支援」の活用をご検討ください。

対策案③ コミュニケーションを強化する

リスクを軽減するには、現地スタッフや取引先との意思疎通が有効です。言語や文化の違いを踏まえ、明確で丁寧なコミュニケーションを心がけることで誤解を防ぎ、信頼関係の構築につながります。その結果、ストライキの抑制や商談の円滑な進行などの効果が期待できます。

海外進出の前に現地の文化・商習慣を知ろう

海外進出を成功させるには、事前に現地の文化や商習慣を正しく理解しておくことが不可欠です。これにより、誤解や摩擦を避け、スムーズな取引や信頼関係の構築につながります。しかし、現地の正確な情報を収集するには、専門的な知識や独自のネットワークが必要です。

プルーヴは海外進出支援として、海外市場調査や現地パートナーの選定など、幅広いサポートを提供しています。海外進出を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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