豚カツは外国でも人気の食べ物に!海外進出に取り組む企業3選

豚カツは日本人のごちそうとして親しまれ、現代でも多くの方が好きな日本食です。2009年のデータによると、豚カツ店に「よく行く」「たまに利用する」と回答した日本人は全体で48%でした。その人気ぶりからカツカレー・カツサンドなど、さまざまな料理にアレンジされているほどです。

国民食ともいえる豚カツは、近年海外においても人気が広がっています。本記事では豚カツで海外進出に取り組む企業3選を紹介します。

参照:J-Net21「とんかつ店|市場調査データ

「和食ブーム」次は豚カツ?

世界ではしゃぶしゃぶやラーメン、寿司などが和食ブームを背景に人気が高まっています。「豚カツ」もその1つで、台湾では日本の豚カツ店に行列ができるほどの人気を博しています。またヨーロッパではミラノ万博の際に、日本館フードコートで日本産豚肉を使用した「豚カツ」を提供しました。実際に食べた方からは好評で、豚カツはヨーロッパにおいても受け入れられる可能性があることを示しています。

参照:JRO「日本産豚肉がEU初上陸!万博でとんかつが大好評

訪日外国人が食べた日本の料理トップ10

海外において豚カツが人気というのは、訪日外国人が日本で豚カツをよく食べていることからもいえます。農林中央金庫の調査によると、アメリカ・イギリス・フランス・中国・韓国の5カ国の訪日外国人が日本で食べた料理トップ10は、以下のとおりです。

訪日外国人が日本で食べた料理トップ10

順位料理名割合
1位寿司68.3%
2位天ぷら47.2%
3位ステーキ・焼肉46.9%
4位ラーメン46.3%
5位うどん・そば45.8%
6位刺身44.3%
7位すき焼き43.8%
8位鍋料理43.8%
9位豚カツ42.3%
10位うなぎ・うな重41.3%

参考:農林中央金庫「訪日外国人からみた日本の”食”に関する調査

豚カツは寿司や天ぷら、ラーメンなど日本を代表する食に混じって9位にランクインしています。訪日観光客の10人に4人は豚カツを食べていることになります。

また、同調査における「自国で最も人気がある日本の料理」のランキングは以下のとおりです。

自国で最も人気がある日本の料理

順位料理名割合
1位寿司26.0%
2位刺身7.5%
3位ラーメン7.1%
4位うどん・そば5.7%
5位うなぎ・うな重5.6%
6位豚カツ5.4%

参考:農林中央金庫「訪日外国人からみた日本の”食”に関する調査

このように豚カツは訪日外国人が食べるだけではなく、すでに海外で人気の日本食として定着しつつあるのです。

豚カツで海外進出した企業3選

世界での豚カツの人気をうけて、海外進出に挑戦する企業も増えています。ここでは3社の取り組みについて紹介します。

串カツ田中ホールディングス:TANAKA

出典:串カツ田中ホールディングス

串カツ田中ホールディングスは、大阪の大衆文化の串カツで全国チェーン展開をする「串カツ田中」を運営する企業です。会社概要、アメリカへの海外進出について紹介します。

会社概要

串カツ田中ホールディングスの会社概要は以下のとおりです。

社名株式会社串カツ田中ホールディングス
設立2002年3月20日
従業員数445名
売上高103億円(2023年11月期)
店舗数319店舗内訳
串カツ田中309店舗
鳥玉3店舗
焼肉くるとん5店舗
TANAKA2店舗

店舗数からもわかるように、同社は「串カツ田中」の運営が主な事業です。そのほかに鳥と卵の専門店「鳥玉」とタレ焼肉と包み野菜の専門店「焼肉くるとん」、海外事業として「TANAKA」を運営しています。

また2017年に、シンガポールに「串カツ田中」の1号店を出店し海外進出しました。しかし、2020年に撤退した過去があります。

新ブランド「TANAKA」でアメリカへ進出

出典:TANAKA

串カツ田中がシンガポールで失敗した要因は、海外と日本の居酒屋文化の違いにより受け入れられなかったためと考えられています。そこでアメリカでは、カツサンドを主力商品とした新ブランド「TANAKA」で進出します。

TANAKAのカツサンドは人気を集め、すでに2店舗目を出店しており、現在は3店舗目の出店を計画中です。

成功の秘密は豚カツをそのままではなく、カツサンドとして提供したことです。また、現地のニーズに合わせた商品開発をしたこともポイントとなります。例えば豚以外に鶏や魚、牛、ヴィーガン用のサンドを用意している点などです。

このように串カツ田中での海外進出失敗を生かし、成功を収めたのがTANAKAです。

グリーンハウスフーズ:とんかつ新宿さぼてん

出典:グリーンハウスフーズ

株式会社グリーンハウスグループのグループ企業のグリーンハウスフーズは、「とんかつ新宿さぼてん」など5つの豚カツ事業を展開しています。グリーンハウスフーズの会社概要、「とんかつ新宿さぼてん」の海外進出について紹介します。

会社概要

グリーンハウスフーズの会社概要は以下のとおりです。

社名株式会社グリーンハウスフーズ
設立1972年7月27日
従業員8,719人
売上高399億円(2023年3月期)
店舗数616店舗(海外112店舗)

グリーンハウスフーズは、「とんかつ新宿さぼてん」などの17のブランドを運営しています。豚カツだけではなく、中華やイタリアン、スペイン料理など幅広い事業を展開している企業です。海外においては、アジアを中心に112店舗を展開しています。

アジアでシェアを拡大中

グリーンハウスフーズの海外進出は、2001年に韓国に1号店を出店して以来、豚カツブームを背景にアジアに出店を拡大しています。現在では11の地域に112店舗を運営し、その内訳は以下のとおりです。

国・地域店舗数
韓国31
タイ7
フィリピン2
マカオ1
台湾40
シンガポール4
カナダ2
北京15
天津2
香港1
上海7

表のように、韓国・台湾・中国が主な進出先となっています。

中国で3年連続「必食の店」に選出

アジアでこれほど拡大できている要因として、現地から高い評価をうけていることが挙げられます。

中国のグルメナビサイトの「大衆点評」では、「2021年 必食の店」に3年連続で選出されているほどです。中国では日本よりも口コミを重視する傾向にあるため、このような高評価が進出拡大を後押ししているのです。

アークランドサービスホールディングス株式会社:かつや

出典:アークランドサービスホールディングス株式会社

アークランドサービスホールディングス株式会社は豚カツ屋チェーンの「かつや」を運営しています。会社概要や海外進出状況について紹介します。

会社概要

アークランドサービスホールディングス株式会社の概要は以下のとおりです。

社名アークランドサービスホールディングス株式会社
設立1993年3月2日
従業員519人
売上高471億円(2022年度)
店舗数765店舗(海外86店舗)

主な事業は豚カツ屋チェーンの「かつや」です。国内に450店舗、海外に75店舗を出店しています。

タイに61店舗を出店中

「かつや」の海外進出は、75店舗のうち61店舗がタイで出店しています。そのほかの地域は中国に1店舗、香港に6店舗、台湾に7店舗です。

タイでこれほど人気があるのは高い品質にあります。高い品質を実現するために、日本の「かつや」と同じ日本仕様のオートフライヤーを使っています。また、日本の商品だけではなく、ローカライズしたメニューを組み合わせている点もポイントです。

アジアを中心に豚カツが受け入れられている

豚カツ事業を手掛ける多くの国内企業が進出先として選んでいるのはアジアです。アジアは日本食とのつながりも深く、箸で食べるなど共通点も多いためです。和食ブームで多くの日本食が海外でヒットするなか、豚カツもその1つとして注目されています。海外に行く際は、どのような豚カツ店があるのかチェックしてみるのも面白いかもしれません。

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