海外進出の罠を回避する”客観的視点”

海外進出後、なかなか市場シェアを獲得できずに悩んでいる日本企業は多いと思います。
現地法人からきちんと情報を吸い上げているにもかかわらず業績が伸びない。我々のお客様からもそういった声を伺う機会がしばしばありますが、実はこのようなケースにこそ思わぬ落とし穴が潜んでいるのです。
今回は、これまでのお客様への事業推進をお手伝いさせて頂く中で感じた海外進出の罠と、それを回避するために重要な“客観的視点”についてお伝えします。

現地法人から得た情報と実情の乖離

現地法人からの情報

 
今回は、海外に現地法人を置いて長らくIT機器事業を展開しているケースを例に挙げます。

 
今後も成長していくであろう海外市場でさらなるシェアを獲得するためには、あらためて事業の見直しを図る必要があるのではないかと課題を感じていたそうです。

 
そこで我々は、まずお客様がターゲットとしていたマーケットの大きいエリアで市場調査を行いました。さらに、当初は予定していなかったマーケットの小さいエリアでも調査を行うことができました。
その結果、お客様が現地法人(現地の営業)から聞いて想定していた状況と、実際の状況とが大きく乖離していることが判明したのです。

 
当初のターゲットとしていたマーケットが大きいエリアの場合、範囲が広大であるがゆえに関係者が多く、お客様が想定していたよりも業界構造や意思決定のプロセスが非常に複雑であることが分かりました。
反対に、小さいエリアでは少人数の関係者に権限が集中し、ベンダーとの距離も近いため、大きいエリアよりも非常にアプローチしやすいことが分かりました。
つまり、確実にシェアを伸ばして実績を作るという意味では、大きいエリアだけに固執せず最初は小さいエリアから狙っていくことも有効であるということに気付いたのです。

 
さらに、正しい営業先にアプローチするためには各関係者の役割を理解する必要もあります。そこで各エリアの組織図を示しながら説明したところ、これについてもお客様は「どうやって手に入れたのか?」と驚きを見せていました。
実は関連団体のウェブサイトの中で数回クリックをして探せば、誰でも見られるようにオープンされているものだったのですが、現地法人からは提示されていなかったようです。

 
このような事態は、一見すると現地法人や営業の怠慢によって偶然起きたことのように感じられるかもしれません。しかし、これはどこにでも起こり得る問題なのです。

全体を把握するために必要な「もう一つの視点」

もう一つの視点

 
現地法人がある場合、現地から情報を吸い上げているというだけで“分かったつもり”になっている日本企業は非常に多いと思います。そして、まさにそれこそが海外進出における大きな罠なのです。

 
「現地からの情報が正しい」という考え方自体は決して間違いではありません。しかし、距離が近いからこそ重要なことを見落としてしまったり、視点が偏りがちになってしまったりすることは多々あります。
あるいは、現地にいるからこそ従来のやり方や慣習をそのまま受け入れてしまい、新しい視点を入れることをおざなりにしてしまうこともあるでしょう。

 
そもそも業界取材において一般の営業が得られる情報には限りがあり、どうしても営業の視点だけでは把握しきれない部分があるのは事実です。また、そもそも営業ではアポが取れず、話を聞くことすらできないような関係者も存在します。

 
そういった場合に、我々のような第三者という立場を活用し、客観的な「もう一つの視点」を持つことは非常に有効です。
特にプルーヴでは現地の状況に対して先入観のない視点からの示唆を提示することが可能であり、独自の取材アプローチによって一般の営業では聞けない情報を得る仕組みが確立しています。
また、今回のようにお客様は最初から大きいエリアを狙いがちですが、我々は意図的にお客様の想定よりも広い視野をもって調査に臨んでいます。そして、そういったところから本来は見えてこなかったはずの事実が見えてくることも多くあります。

 
このように、海外展開時は現地からの情報だけに頼らず、それとは別に業界全体の構造や流れを俯瞰的に把握するための調査が必要不可欠です。
そして、現地の営業が主体的に行動しているか?現状やトレンドを踏まえた上でその行動が本当に最適なのか?こういった部分を本社側がしっかりとチェックすることも大切です。
そのためには客観的な視点で現地事情を把握できるパートナーの存在が重要となり、そこから得た情報を活用することが現状を打破するカギになるのではないでしょうか。

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