海外法規制の全体像を把握しよう|基本構造の8項目を徹底解説

海外進出において、現地の法規制は必ず調査すべき重要な情報の一つです。法規制は国ごとに異なり、事業内容によっては許認可が下りないことや、取り扱う商材が輸出入できないといったリスクがあるためです。そこで本記事では、海外進出を検討している方に向けて、海外法規制を把握する重要性や基本構造、調査方法をわかりやすく解説します。 

海外法規制を把握する重要性 

海外で事業を展開する際には、現地の法律や制度を遵守しなければなりません。しかし、法規制に関する知識が不十分だと、意図せずに抵触する可能性があります。その結果、以下のようなリスクが生じます。 

  • 業務の停止 
  • 制裁や罰則 
  • 取引先や顧客からの信用の失墜 
  • 取引先からの取引拒否 
  • ブランドイメージの低下 

海外進出には、拠点の設立や人材の採用など、多大なリソースの投入が必要です。それにも関わらず、法規制を理解していないことで大きな損失を招く可能性があります。こうしたリスクを軽減するためには、進出前に十分な調査を行い、現地の法規制を正しく把握しておくことが重要です。 

主な海外法規制の基本構造 

海外法規制の把握は、海外進出におけるリスクを軽減する上で不可欠な工程です。そのためには、調査すべき項目を事前に理解しておくことが重要です。ここでは、海外法規制の基本構造として、8つの主要項目を紹介します。 

外資規制 

外資規制とは、自国の産業を保護するために、外国企業の出資比率に上限を設けたり、特定の業種への参入を制限したりする制度です。例えば、出資比率の上限が50%と定められている場合は、現地企業に50%以上出資してもらい、合弁企業として法人を設立する必要があります。 

外資規制のチェックポイント 

  • 出資比率の上限 
  • 特定業種への参入制限 
  • 外資規制に関する手続き 
  • 規制対象となる事業や条件 

外資規制の詳細は、「外資規制とは?海外進出に必要不可欠な基礎知識を主要国ごとにご紹介」の記事をご参照ください。 

関税 

関税とは、輸入品に課される税金です。関税があると、輸入品の価格競争力の低下や原材料の調達コストの増加といった悪影響があります。そのため、関税は海外進出において参入障壁となることがあります。関税率や適用条件は国や品目によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。 

関税のチェックポイント 

  • 品目ごとの関税率 
  • 関税に関する手続き 
  • 自由貿易協定(FTA)の有無 

関税の詳細は、「どっちが払う?今さら聞けない関税の意味と仕組みをわかりやすく解説」の記事をご参照ください。 

輸入規制 

輸入規制とは、特定の品目に対する輸入の禁止や数量を制限する制度です。例えば、危険物や医薬品、農産物などによく適用されます。輸入規制を把握していないと、手続きの遅延や罰則、原材料の調達が困難になるといったリスクがあります。 

輸入規制のチェックポイント 

  • 輸入が禁止・制限されている品目 
  • 輸入に必要な許認可 
  • 輸入規制に関する手続き 

日本から原材料や資材を輸出して事業を行う場合は、それらが輸入規制の対象に含まれていないかを事前に確認することが重要です。 

認証制度・適合要件 

認証制度・適合要件とは、製品やサービスが一定の基準を満たしていることを確認し、市場で販売できる状態であることを示す仕組みです。
代表例として、食品の衛生管理に関する「HACCP(ハサップ)認証」のように第三者が証明する制度もあれば、EUの安全基準に適合していることを製造者が自己宣言して表示する「CEマーク」のような適合表示制度もあります。
いずれも、基準を満たしていなければ販売できない場合が多く、各国が定めるこれらの制度は市場参入に大きく影響します。

認証制度のチェックポイント 

  • 必要な認証・適合表示の種類
  • 取得・表示に必要な手続きや費用 
  • 認証の更新や有効期限 

特に食品や電気製品を扱う場合は、これらを取得・表示しなければ販売できないケースがよくあるため、事前の確認が重要です。

ESG規制 

ESG規制とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の視点を重視した制度です。例えば、「再生可能エネルギー推進のための規制」や「企業の情報開示の透明性に関する規制」などです。欧州を中心に規制が強化されており、抵触すると罰則が科されたり、取引が制限されたりするリスクがあります。特に、欧州のように規制が厳しい地域においては、現地の法規制を十分に把握する必要があります。 

ESG規制のチェックポイント 

  • 進出先のESG規制の種類や法律 
  • サプライチェーン全体のリスクと影響 
  • ESG規制に対応するための手続き 

ESG規制の詳細は、「ESG規制とは?近年注目されている理由と世界の動向を解説」の記事をご参照ください。 

労働法 

労働法とは、労働者の権利を守るために定められた法律の総称です。最低賃金や労働時間の上限、有給休暇といった雇用に関する規定が含まれています。このような雇用に関する条件は国ごとに異なり、進出先の制度を理解せずに従業員を雇用すると、法令違反による罰則やトラブルを招く恐れがあります。 

労働法のチェックポイント 

  • 最低賃金や労働時間などの雇用条件 
  • 休暇制度や福利厚生に関する規定 
  • 労働者の権利保護を目的とした制度 

特に、現地で従業員を採用する場合は、現地の労働法を遵守しているかを確認する必要があります。 

知的財産法 

知的財産法とは、特許権、商標権、著作権などを保護するための制度です。海外進出では、自社の知的財産を守るために、制度の内容を理解しておくことが重要です。また、現地企業の権利を侵害しないよう、進出先の知的財産を調査する必要もあります。さらに、知的財産権の多くは国ごとに独立しているため、進出先でも登録の手続きが必要です。 

知的財産法のチェックポイント 

  • 特許や商標の登録要件と手続き 
  • 進出先の知的財産の登録状況 

自社の商標やブランド名を守るためには、進出前に現地の知的財産権の登録を済ませることが有効です。 

独占禁止法 

独占禁止法とは、公正な競争を維持するために、市場支配や独占的な行為を禁止する法律です。国ごとに独自の規制があり、違反した場合は高額な罰金や取引停止などの制裁を受ける可能性があります。 

独占禁止法のチェックポイント 

  • 不正と認定される独占的行動の範囲 

M&Aや現地企業と提携する際は、事前に独占禁止法に抵触しないかを確認することが大切です。 

海外法規制を調査する方法 

海外進出前には、現地の法規制を正しく把握することが大切です。ここでは、海外法規制を調査する方法を紹介します。 

各国の法令を確認する 

まずは、各国の法令を直接確認する方法です。現地の公的機関のウェブサイトや官報などの資料を参照して、法規制の内容を把握します。この方法は、誰でもアクセスできる情報を活用している点がメリットです。一方、内容を正確に理解するには、多くの時間と労力が必要になるというデメリットもあります。 

専門家に依頼する 

海外法規制の調査は、自社だけで行うには限界があります。法規制は複雑で、多くのリソースや専門的な知識が必要なためです。そこで有効なのが専門家への依頼です。専門家に委託することで、リスクを正確に把握でき、手続きの漏れや法令違反を防ぐことができます。 

海外法規制を把握しリスクを抑えよう 

海外進出でリスクを抑えるためには、現地の法規制を正しく理解しておくことが不可欠です。そのためには、事前に海外法規制を十分に調査することが重要です。しかし、法規制は複数の制度や法律が関わるため、社内だけで行うのは容易ではありません。 

こうした課題に対して、プルーヴでは「法規制調査」サービスを提供しています。海外法規制を正確に把握し、海外進出を円滑に進めたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 

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