Salesforceはどんな企業?概要や事業内容、成長戦略を紹介 

Salesforceは、15万社以上が利用するCRM(顧客管理システム)の「Salesforce Customer 360」を提供している企業です。SaaSの代表的な企業として知られています。 

SaaS(Software as a Service)とは、インターネット経由で利用できるソフトウェアのことです。導入コストが安価なことや、保守管理の負担が少ないことから人気を集めています。 

本記事ではビジネスパーソンに向けて、Salesforceの会社概要と経営状況、成長戦略を紹介します。 

Salesforce(セールスフォース)とはどんな企業? 

出典:セールスフォース・ジャパン 

Salesforce(セールスフォース)はアメリカに本社を置き、クラウドサービスを提供している企業です。顧客管理や営業活動の分析・自動化など、企業の悩みを解決するCRMで人気を集めています。この章ではSalesforceの会社概要・経営理念・主要製品を紹介します。 

会社概要 

Salesforceの会社概要は以下のとおりです。 

会社名 Salesforce, Inc.
設立 1999年3月 
本社 アメリカ サンフランシスコ 
売上高 349億ドル(2024年度) 
従業員数79,390人(2023年1月31日時点) 

International Data Corporation(IDC)の調査によると、Salesforceは10年連続で世界1位を獲得したCRMプロバイダーとのことです。また、北米・ラテンアメリカ・西ヨーロッパ・日本・アジアのCRM市場でトップシェアを獲得しています。 

参照:セールスフォース・ジャパン「Salesforce、10年連続で世界No.1 CRMプロバイダーに選出」 

経営理念 

Salesforceの企業理念は、「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」「サステナビリティ」の5つです。 

  • 信頼 

Salesforceは顧客や従業員、ステークホルダーとの信頼関係の構築を重視しています。その取り組みとして、製品のサービス状況の透明性を高め、セキュリティの強化やコンプライアンスを順守しています。 

  • カスタマーサクセス 

二つ目の経営理念はカスタマーサクセス(顧客の成功)です。顧客やステークホルダーに成功をもたらす製品の提供を重視しています。 

  • イノベーション 

顧客から得られた情報をもとに、ニーズに適した製品を開発する力のことです。 

  • 平等 

すべての社員に平等な機会を与えるために、多様な意見に耳を傾け、イノベーションや人とのつながりを深めることを重視しています。 

  • サステナビリティ 

気候変動対策としてネットゼロを加速させることを目指しています。 

※ネットゼロとは、二酸化炭素の排出量が実質ゼロになることです。 

主要製品 

Salesforceについて理解を深めるために、4つの主要製品を紹介します。 

  • Customer 360 

Customer 360は、2022年に公開された新たなカスタマーデータプラットフォームです。マーケティング・セールス・コマース・サービスなどのデータをプラットフォームで連携することで、自動化や個別最適化に役立ちます。 

  • Sales Cloud 

Sales Cloud(セールスクラウド)は、企業の営業活動を支援するCRMです。AIにより効率的に生産性の向上やビジネスの成長をサポートします。 

  • Slack 

Slack(スラック)はビジネスのコミュニケーションを円滑にするアプリです。企業内外のチームの連携を高めるのに役立ちます。 

  • Tableau 

Tableau(タブロー)は、企業が保有するデータを分析し、レポートに可視化できるツールです。 

Salesforceの経営状況 

Salesforceの売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

2024年度の売上高は約349億ドル(約4.9兆円)でした。営業利益は106億ドル(約1.5兆円)で、10年で約29倍に拡大しています。Salesforceが順調に成長しているのが、グラフからも見てとれます。※1ドル=140円換算 

また2024年度の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

2024年度の地域別の売上高はアメリカが239億ドル、ヨーロッパが81億ドル、アジアが34億ドルでした。つまり、Salesforceの主要地域はアメリカ・ヨーロッパです。 

Salesforceの事業別売上高の推移 

Salesforceの主要事業は以下の5つがあります。 

  • Sales(販売) 
  • Service(サービス) 
  • Platform and Other(プラットフォーム) 
  • Marketing and Commerce(マーケティングとコマース) 
  • Integration and Analytics(統合と分析) 

2024年度の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

グラフより、各事業の売上高は15~25%で、バランスよく分散しているのがわかります。この章では、さらに各事業の売上高の推移を紹介します。 

Sales(販売) 

SalesはデータとAIを活用して、営業効率の向上や営業プロセスの自動化を実現するためのサービスです。ツールにはSales Cloudが含まれます。売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

Salesforceの成長拡大に伴い、Sales事業の売上高も右肩上がりに増加しています。 

Service(サービス) 

プラットフォーム上でサービスの連携を強化し、業務効率のアップや顧客満足度の向上を支援するサービスです。例えば、一元化したプラットフォームの構築を実現し、複数のオムニチャネルでシームレスな顧客体験を実現するなどです。具体的な製品はService Cloudとなります。 

Service事業の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

2024年度の売上高は82億ドルで、前年比11.9%増を達成しています。 

Platform and Other(プラットフォーム) 

データやAI、CRM、セキュリティなどを単一のプラットフォームで実現するサービスです。プラットフォーム事業にはAIのEinstein、SalesforceのマーケットプレイスのAppExchange、Slackなどが含まれます。売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

2023年度の売上高は約59億ドルで前年比32.3%増でした。2024年度の売上高は前年比10.8%増の約66億ドルで、2023年度よりも成長スピードが緩やかになっています。 

Marketing and Commerce(マーケティングとコマース) 

事業内容は、Marketing CloudやCommerce Cloudの拡販です。 

  • Marketing Cloud 

個別最適化したマーケティングにより、顧客生涯価値(LTV)を高めるためのサービスです。 

  • Commerce Cloud 

ECビジネスを支えるツールで、成約数・成約率の向上が期待できます。 

売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

Marketing and Commerce事業も右肩上がりのグラフで、順調に成長しています。 

Integration and Analytics(統合と分析) 

プラットフォームのデータを統合・分析・可視化することで、トレンドの発見やビジネスの変革に役立つサービスです。ツールにはTableauが含まれます。売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Salesforce「Financials」 

2024年度の売上高は約51億ドルで、Salesforce全体の約15%を占めています。 

Salesforceの成長戦略 

Salesforceの主要事業の売上高はすべて右肩上がりで、順調に成長しています。これほど順調に成長しているのは、同社の成長戦略が重要なポイントです。 

その成長戦略は「顧客の成功を支えること」で、顧客とWin-Winの関係を構築することに重きを置いています。また、SalesforceはSaaSが顧客の成功を支えるのに適していると判断し、他企業に先駆けてSaaSの事業規模やサービス内容を拡大しました。これが同社の成功の大きな要因となっています。 

SalesforceはWin-Winモデルで成功した企業 

Salesforceはクラウド型CRMを運営している企業で、15万社以上がサービスを利用しています。同社が成功した秘訣は、Win-Winモデルの構築と他企業に先駆けてSaaSによるサービスを提供したことです。変化の激しいIT業界において、大きな成功を収め、成長し続けている企業なだけに参考にすべき点も多いでしょう。 

関連する事例

海外進出および展開はどのように取り組めば良い?
とお悩みの担当者様へ

海外進出および展開を検討する際に、
①どんな情報からまず集めればよいか分からない。
②どんな観点で進出検討国の現場を見ればよいか分からない。
③海外進出後の決定を分ける、「細かな要素」は何かを知りたい。

このような悩みをお持ちの方々に、プロジェクト時には必ず現地視察を行う、弊社PROVE社員が現地訪問した際に、どんな観点で海外現地を視察しているのかをお伝えさせていただきます。