サンフランシスコで体験したロボティクスのユーザーエクスペリエンス

今、日本を含め世界中でAIやロボットを応用したさまざまなテクノロジーによる事業展開が行われています。
特にアメリカ・サンフランシスコやラスベガスでは、すでにロボティクスを駆使した半自動化(あるいは全自動化)したシステムが採用されています。
今回は、サンフランシスコで体験したことを元に、ロボティクスのトレンドについてご紹介します。

サンフランシスコのハンバーガーロボット「Creator」

今回、サンフランシスコでハンバーガーロボット「Creator(http://creator.rest/)」を視察しました。
「Creator」は世界初のハンバーガーロボットとして2018年に導入され、パティ作りや野菜のカットまですべて全自動で行い、1時間に240個調理可能です。

ハンバーガーロボット
ロボットが作ったハンバーガー

オーガニック食品を使用していて、パッケージングには再生可能な資源が使われています。
さらにこのハンバーガーロボットの活用とともに、店内ではipadなどの端末からの注文が可能です。

 
ロボティクスというと工場のような無機質で少し汚いものをイメージしていましたが、内装は生活感があり、とにかくシンプルな志向で整っており驚きます。

 
ちなみにこのお店はオフィスの一部を使って運営されています。そのため水、木、金曜日のお昼の時間のみオープンし、それ以外の時間は機器の研究開発に当てているとのこと。
サンフランシスコにはエンジニアが多く住んでいるため、このお店にも関心を持ったエンジニアたちがよく来るとのことでした。つまりハンバーガーを食べる経験を通して会社のブランディングも行っている、とてもユニークな会社です。

ハンバーガーロボット2

この全自動ロボット開発の背景には、人件費削減があります。「Creator」導入後、人件費がかからないので6ドル(約660円)というリーズナブルプライスで展開しています。
今後はこれらの事業の展開とともに、事前のネット注文予約が出来るようになっていき、大量の注文情報を集めビックデータとしての活用も想定できるでしょう。

テクノロジーとユーザーエクスペリエンス

ほかにも、ラスベガスには「Tipsy Robot(http://thetipsyrobot.com/)」というロボットが全自動でお酒を作ってくれるバーや、日本にもロボットたちがチェックイン・チェックアウトなどを行う「変なホテル(http://www.h-n-h.jp/)」という宿泊施設があります。
これらが導入されたのも「Creator」同様、人件費削減があると考えられますが、ロボットを使った体験―ユーザーエクスペリエンス(※)を打ち出した展開をしていることが特筆すべき点ではないでしょうか。
※ユーザーエクスペリエンス…製品やサービスを利用して通じて得られる体験(experience)の総称。

 
今回の視察で思ったことは、ロボットを開発するテクノロジーが重要なのはもちろんのこと、それ以上にユーザーエクスペリエンスを意識した展開が求められているということです。
最新テクノロジーを盛り込んだ製品やサービスを開発しても、その中に(あるいはその先に)ユーザーエクスペリエンスが考えられていなければ、ユーザーは使いたいとは思わないでしょう。

 
今回、「Creator」という体験を通じて、テクノロジーにブランディングやマーケティングとの連携が必要だということを考えさせられました。つまり「良いものを作れば売れる」という考え方ではユーザーはついてこないということを念頭に置いて展開していかなければいけません。

課題として残る稼働率

一方で、「Creator」視察中、機材が故障している時間がありました。これではどれだけ良い体験を用意していてもユーザーの期待を裏切ってしまいます。さらに現地の方に聞いたところ、故障は珍しくないとのことでした。

 
その点は、実用までにはまだ、時間がかかるのではと思いましたが、それ以上に人件費やコスト削減のつもりでロボットを使用しても、サポートやメンテナンスで費用がかかってしまっては元も子もなく、今後は稼働率の高さが重要なポイントになると思いました。

 
このあたりは、品質のよい製品が提供できる、またそのように思われがちな日本企業に優位性があるかもしれません。

 
参考記事
https://jp.techcrunch.com/2018/06/22/2018-06-21-creator-hamburger-robot/
https://techable.jp/archives/79095

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