タイ財閥のTCCグループとは?概要や歴史、事業構造を解説 

TCCグループは、アジア各国で絶大な影響力を持つタイ5大財閥の一つです。食品や飲料、貿易、不動産開発、金融、農業を中心に事業を展開しています。本記事ではビジネスパーソンに向けて、TCCグループの概要や歴史、事業構造について解説します。 

TCCグループとは 

出典:TCCグループ 

TCCグループの中核事業は、タイ最大手のアルコール飲料メーカーの「タイ・ビバレッジ」の運営です。同社が製造するビール「ビア・チャーン」は、シンハービールと人気を二分しタイでのシェアにおいてはシンハーを凌駕しています。
※「チャーン」は象を意味する言葉です。 

また、TCCグループのエンブレムは、9つの面で構成された独特な正三角形です。この形状には、グループの理念を示す9つの意味が込められています。 

1. グループとして優れている 

2. 東洋的であり、タイ的である 

3. 責任を負う 

4. 国際的なプロフェッショナル 

5. 価値がある 

6. 進歩であり、現代的である 

7. 学習する 

8. 一致団結しており、強力である 

9. 卓越性がある 

参考:TCCグループ「Corporate Identity」 

TCCグループの概要は以下のとおりです。 

​​財閥名​ TCC Group 
本社 タイ 
設立 1960年 
グループ会社 100社超(2022年) 
従業員 約6万人 
売上高 540億ドル(2020年度) 

参考:th-biz「https://th-biz.com/murc-202205/」 

歴史 

創業者のチャロン・シリワタナパクディー氏はタイの中国人の両親から生まれ、幼少期から貿易ビジネスに携わっていました。その頃、将来の妻となるクンイン・ワンナ氏と出会い、二人は協力して事業を拡大しました。 

同グループの事業は蒸留酒製造所への製品供給から始まり、1983年には酒造工場12社の譲渡権を競売で落札。これにより、独立した蒸留酒メーカーとしての地位を確立しました。 

その後も積極的に事業を拡大し、1989年には砂糖工場とホテルを買収。1995年に「ビア・チャーン」の販売を開始しました。2003年に不動産事業を開始し、その後のグループの成長を支える重要な事業になりました。 

同グループが現在の地位や規模にまで拡大した大きな要因として、積極的なM&Aが挙げられます。このことから、チャロン・シリワタナパクディー氏は「買収の帝王」とも呼ばれています。そして、同氏は米経済誌フォーブスの「2024年版タイ長者番付」で、資産が100億ドルと推定され3位にランクインしました。このことからも、TCCグループのタイ経済に対する影響力の強さがうかがえます。 

TCCグループの事業構造 

TCCグループは5つの主要事業で構成されています。ここでは同グループの事業構造として、各主要事業の内容を紹介します。 

食品・飲料グループ 

食品・飲料グループはアルコール飲料やノンアルコール飲料、食品の製造・販売を担う事業です。具体的には、最大手アルコール飲料メーカー「タイ・ビバレッジ」の運営です。同社はタイ国内において最大の生産能力を誇り、世界80カ国以上に事業を展開しています。 

また、スコットランドや中国のアルコール飲料メーカーと提携し、ウイスキーや中国酒の製造・販売も行っています。今後の事業拡大に向けての取り組みは以下のとおりです。 

  • 高級市場への継続的な拡大 
  • ノンアルコール飲料分野の強化 
  • 流通ネットワークの強化 
  • 海外市場への継続的な展開 

これらの取り組みにより、「タイ・ビバレッジ」のマーケットリーダーとしての地位を維持・強化するとしています。 

工業・貿易事業グループ 

工業・貿易事業グループは、物流やマーケティングに加え、工業サービス、消費財、包装材の製造・販売を担う事業です。さらに、ホーチミン市で40店以上の書店やコンビニを展開しています。また、同グループの海外事業部では国内外でのビジネスチャンスを模索しており、新たなパートナーシップを構築する上で重要な役割を果たしています。 

金融保険グループ 

金融保険グループは損害保険や生命保険、自動車のリース事業を展開する事業です。「誰にとってもナンバーワンの保険・金融会社になる」というビジョンのもと、タイ全国の1,400以上の郵便局窓口で保険商品の販売を行っています。また、リース事業はタイ国内の54拠点で、法人向け・個人向けのカーリースを提供しています。 

不動産グループ 

不動産グループは住宅やホテル、ショッピングセンター、商業オフィスビル、ゴルフコースなどを手掛ける事業です。ホテル事業では、世界11カ国に51のホテル・リゾートを展開し、ホテルの客室総数は10,000室以上あります。 

また、同グループはタイのショッピングセンター業界の先駆者で、かつ商業オフィスビル業界のリーディングカンパニーです。不動産開発の分野において30年以上の歴史を持つ同グループは、業界のリーダーとして、様々なプロジェクトを通じてタイの発展に大きく貢献しています。 

農業及び農業産業グループ 

農業及び農業産業グループは、主にゴムやパイナップル、油ヤシ、コーヒーなどの栽培と加工を行う事業です。特にパイナップルの缶詰の製造に強みがあり、年間25万トン以上の生産能力を誇っています。 

TCCグループと日本企業の提携事例 

TCCグループは、複数の日本企業と提携して事業を拡大しています。具体例として、株式会社ホテルオークラや株式会社三越伊勢丹ホールディングスの事例を紹介します。 

株式会社ホテルオークラ 

株式会社ホテルオークラは、日本のホテル運営グループの持株会社です。老舗ホテル「The Okura Tokyo」を運営していることでも知られています。 

株式会社ホテルオークラとTCCグループは、2024年5月17日にタイ国内のホテル運営に関して包括的提携を行う基本合意書を締結しました。この合意をもとに、チェンマイやバンコクなどのタイの主要都市に、合計500室以上のオークラグループのホテルを2030年までに展開する予定です。 

参考:PRTIMES「【ホテルオークラ】タイにおける事業拡大に向け「包括的提携」に合意」 

株式会社三越伊勢丹ホールディングス 

株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、日本で三越や伊勢丹などの百貨店を経営する企業です。その株式会社三越伊勢丹ホールディングスはTCCグループと提携し、バンコク中心部の複合開発プロジェクト「One Bangkok(ワンバンコク)」のオフィス事業及び小売事業に参画しています。 

  • One Bangkokとは 

 One Bangkokは東京ドーム約3.7個分という広大なエリアに4つの商業施設、
 高級住宅、5つのホテル、5つの商業オフィスビル、アリーナ会場などを建設す
 る大規模な不動産開発プロジェクトです。
 投資額は1,200億バーツ(約5,000億円)を超える見込みです。 

参考:PRTIMES「タイ・バンコク最大規模の不動産複合開発事業「One Bangkok」への参画について」 

TCCグループは一代で財閥に成長 

TCCグループは、創業者のチャロン・シリワタナパクディー氏が一代で築いた財閥です。創業者が「買収の帝王」と呼ばれているように、同グループは積極的な買収によって事業を拡大してきました。近年では、複数の日本企業と提携して事業を行っているのも注目すべきポイントです。タイへの進出や事業拡大を目指している経営者様は、TCCグループの事業展開の仕方を参考にしてみてはいかがでしょうか。 

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