マレーシアのベルジャヤ・グループとは?概要や歴史、主要事業を解説   

ベルジャヤ・グループは、マレーシアを代表するコングロマリットです。不動産開発、宝くじ、金融、飲食、ホテル、リゾートの事業を展開しています。本記事ではベルジャヤ・グループの概要について解説します。 

ベルジャヤ・グループとは 

出典:ベルジャヤ・コーポレーション 

ベルジャヤ・グループは、アジアやヨーロッパを中心に事業を展開しているコングロマリットです。同グループの中核企業は「ベルジャヤ・コーポレーション」で、関連企業には、「ベルジャヤ・アセッツ」「ベルジャヤ・メディア」「セブン-イレブン・マレーシア・ホールディングス」などがあります。同グループの概要は以下のとおりです。 

​​グループ名​ Berjaya Group 
本社 マレーシア 
設立 1984年 
グループ会社 130社 
従業員 約3万人 
売上高 約4,000億円 
参考:内閣府「BERJAYAグループ」 

歴史 

ベルジャヤ・グループの歴史は、1984年に創業者のタンスリ・ヴィンセント・タン氏がベルジャヤ・カワット社を買収したことが始まりです。この買収により、同グループは鉄鋼及び製造業に参入しました。 

1985年には、マレーシア政府から宝くじ事業を運営するスポーツTOTOを購入し、事業を大きく拡大。その後、2005年の事業再編を経て、小売・不動産・金融などの分野で事業を展開するコングロマリットになりました。 

※タンスリ・ヴィンセント・タン氏は中国系マレーシア人(華僑)で、アメリカのフォーブス誌「2024年版マレーシア長者番付」において29位にランクインしました。 

ベルジャヤ・コーポレーションとは 

ベルジャヤ・コーポレーションは、ベルジャヤ・グループの中核企業です。子会社には、「ベルジャヤ・ランド」「ベルジャヤ・スポーツTOTO」「ベルジャヤ・フード」などがあります。ここからは、同グループの規模を把握できるように、ベルジャヤ・コーポレーションの会社概要や経営状況を紹介します。 

ベルジャヤ・コーポレーションの会社概要 

ベルジャヤ・コーポレーションの会社概要は以下のとおりです。 

​​会社名​ Berjaya Corporation 
本社 マレーシア 
設立 1984年 
従業員 11,573人 
売上高 101億マレーシア・リンギット(2024年度) 

ベルジャヤ・コーポレーションの経営状況 

ベルジャヤ・コーポレーションの経営状況として、直近6年間の売上高と税引後利益の推移を紹介します。 

参考:ベルジャヤ・コーポレーション「ANNUAL & QUARTERLY REPORTS」 

2024年度の売上高は101億マレーシア・リンギット(3,333億円)で、2023年度の96億マレーシア・リンギット(3,168億円)と比較して、5億マレーシア・リンギット(165億円)増加しました。また、2024年度の税引後利益は4億マレーシア・リンギット(132億円)で、2023年度の2,000万マレーシア・リンギット(6億6,000万円)と比較して、3億8,000万マレーシア・リンギット(125億4,000万円)増加しました。売上高と税引後利益が増加した要因は、サービス事業・ホスピタリティ事業・不動産事業の好調が挙げられます。
※1マレーシア・リンギット=33円換算 

また、同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:ベルジャヤ・コーポレーション「ANNUAL & QUARTERLY REPORTS

グラフより、マレーシア国内のほうが若干多いものの、ほぼ半分の売上高を海外で確保していることがわかります。 

ベルジャヤ・コーポレーションの主要事業 

ベルジャヤ・コーポレーションの主要事業は、小売事業・サービス事業・ホスピタリティ事業・不動産事業の4つです。事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:ベルジャヤ・コーポレーション「ANNUAL & QUARTERLY REPORTS」 

グラフから、ベルジャヤ・コーポレーションの売上高を支えているのは小売事業とサービス事業と言えます。ここでは、各事業内容について詳しく解説します。 

小売 

小売事業は同グループの収益に大きく貢献している事業です。同事業は食品・飲料と食品以外の部門があり、それぞれの事業内容は以下のとおりです。 

・食品・飲料 

食品・飲料部門は「スターバックス」や「ケニー・ロジャース・ロースターズ」、「クリスピー・クリーム・ドーナツ」、「パリバゲット」などのブランドを展開しています。スターバックスはマレーシア全土に408店舗を運営しており、2024年度の売上高は6億7,600万マレーシア・リンギット(223億円)でした。ケニー・ロジャース・ロースターズはチキンベースのレストランチェーンで、マレーシア全土に80店舗を展開しています。クリスピー・クリーム・ドーナツは高品質のお菓子を販売する大手ブランドで、パリバゲットは韓国を代表するベーカリーブランドです。 

・食品以外 

食品以外の部門の事業内容は、主に日用品と高級車の販売です。日用品は「COSWAY」のブランドで健康・栄養補助食品、パーソナルケア製品、浄水システム、化粧品、香水などを展開しています。高級車に関しては、イギリスに本社を置く高級車販売会社「HRオーウェン」を通じて、ロンドンでベントレーやブガッティ、フェラーリ、ロールスロイスなどのブランド車を販売しています。 

サービス 

サービス事業には宝くじやデジタル通信・インフラストラクチャ、金融サービス、医療など様々な分野が含まれます。この事業の主な分野の事業内容は以下のとおりです。 

・宝くじ部門 

国営の宝くじやカジノ、スポーツ賭博のプラットフォームの運営などを行っている部門で、責任ある賭博を推進することで、持続的な収益を確保しています。 

・デジタル通信・インフラストラクチャ 

通信サービスや最先端のクラウドサービスの提供、ネットワークの構築や保守などを担う部門です。 

・金融サービス 

株式取引や資金管理、損害保険、投資顧問など様々な金融サービスを提供する部門です。 

ホスピタリティ 

ホスピタリティ事業は、ホテルやリゾート、航空機チャーターなどを提供する事業です。マレーシア、フィリピン、ベトナム、スリランカ、日本、セーシェル共和国、アイスランド、イギリスの8カ国で34件のホテル・リゾートを運営しています。 

不動産 

ベルジャヤ・グループの不動産事業は、マレーシアの有力な不動産業者の一つです。マレーシアや日本、ベトナム、中国の不動産開発に携わっています。 

ベルジャヤ・グループは不動産開発で日本に進出中 

ベルジャヤ・グループは、マレーシアを代表するコングロマリットで、多様な事業を国内外に展開しています。近年、同グループは日本における不動産事業の拡大を推進しています。例えば、沖縄県恩納村(おんなそん)では「フォーシーズンズ・リゾート・アンド・プライベート・レジデンス沖縄(仮称)」を2027年に開業予定です。同計画はホテルやコンドミニアム、ヴィラに加えて、屋内外プールやウェディングチャペルなどを計画しており、総工費が1,000億円にもなる見通しです。 

さらに、「横浜みなとみらい」では、ホテルやコンドミニアム、デジタル水族館、ミュージアムなどを含む複合施設「(仮称)HARBOR EDGE PROJECT」を計画しています。このような背景から、今後はベルジャヤ・グループの日本での活動にも注目しましょう。 

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