Alphabet(アルファベット)とはどんな会社?業績を徹底解説

Alphabet(アルファベット)は、アメリカに本社を置く世界最大級の持株会社です。Googleを完全子会社に持ち、Google検索・Googleマップ・YouTube・生成AIなど、多種多様なサービスを展開しています。本記事ではAlphabetの会社概要や経営状況、成長戦略を紹介します。 

Alphabetとはどんな会社? 

Alphabetは、2015年にGoogleの持株会社として設立されたコングロマリットです。2024年には、史上5社目となる時価総額2兆ドル(300兆円)越えを達成しました。この章では、同社の会社概要や歴史、経営理念を紹介します。
※1ドル=150円換算 

会社概要 

Alphabetの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Alphabet Inc. 
本社 アメリカ 
設立 2015年 
従業員数 182,502人(2023年12月31日時点) 
売上高 3,074億ドル(2023年度) 

歴史 

1996年に、ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏は、PageRank(ページランク)という新たなアルゴリズムを用いた検索エンジン「Backrub(後のGoogle)」の開発を始めました。PageRankは、Webページの重要度を決定するためのアルゴリズムで、Google検索において適切な結果を表示するための中心的な技術です。 

2人は1997年にGoogle検索のサービスを開始し、1998年にGoogleを設立しました。Googleは2000年に、Google検索で広告を表示するサービスを開始したことで、検索エンジンと広告収入により急成長を遂げます。そして、2001年以降は、企業を積極的に買収することで事業を拡大しました。例えば、2006年には動画配信サービスのYouTubeを買収し、2010年から2011年には平均すると1週間に1社というペースで買収しました。この結果、現在までにGoogleが買収した企業は200社を超えます。 

2015年に、Googleの持株会社としてAlphabetが設立されました。2019年には、創業者2名がCEO(最高経営責任者)及び社長から退任し、後任のスンダー・ピチャイ氏に経営が引き継がれました。 

経営理念 

Alphabetの経営理念として、「Googleが掲げる10の真実」を紹介します。 

  • Googleが掲げる10の真実 

1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。 

2. 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。 

3. 遅いより速いほうがいい。 

4. ウェブ上の民主主義は機能する。 

5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。 

6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。 

7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。 

8. 情報のニーズはすべての国境を越える。 

9. スーツを着なくても真剣に仕事はできる。 

10. 「すばらしい」では足りない。 

引用:Google「Google が掲げる 10 の事実」 

また、Googleは「Don’t be evil(邪悪になるな)」をスローガンに掲げていることでも知られています。 

Alphabetの経営状況 

Alphabetの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。 

参考:Alphabet「Earnings」 

2023年度の売上高は3,074億ドル(46兆1,100億円)で、2022年度の2,828億ドル(42兆4,200億円)と比較して、246億ドル(3兆6,900億円)増加しました。また、2023年度の営業利益は843億ドル(12兆6,450億円)で、2022年度の748億ドル(11兆2,200億円)と比較して、95億ドル(1兆4,250億円)増加しました。売上高と営業利益が増加した要因として、広告収入の増加が挙げられます。 

同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Alphabet「Earnings」 

グラフより同社の主要地域はアメリカで、海外売上比率は53%です。 

Alphabetの事業別売上高の推移 

Alphabetの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。
まずは、事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Alphabet「Earnings」 

グラフから、Googleサービス事業が全体の売上高のほとんどを占めていることがわかります。この章では、各事業内容に加えて、売上高と営業利益の推移を紹介します。 

Googleサービス 

Googleサービス事業は、Google検索やGoogle広告、YouTube、Google Play、Googleマップ、Androidなどの製品の販売やサービスの運営を担う事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:Alphabet「Earnings」 

2023年度の売上高は2,725億ドル(40兆8,750億円)で、2022年度の2,535億ドル(38兆250億円)と比較して、190億ドル(2兆8,500億円)増加しました。また、2023年度の営業利益は959億ドル(14兆3,850億円)で、2022年度の827億ドル(12兆4,050億円)と比較して、132億ドル(1兆9,800億円)増加しました。 

売上高と営業利益が増加した要因として、Google検索とYouTubeの広告収入の増加が挙げられます。なお、2023年度のGoogle検索の広告収入は1,750億ドル(26兆2,500億円)、YouTubeの広告収入は315億ドル(4兆7,250億円)でした。 

Googleクラウド 

Googleクラウド事業は、サイバーセキュリティやデータベース、プラットフォーム、AIインフラストラクチャ、生成AIソリューションなどを提供する事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。
※AIインフラストラクチャとは、AIアプリケーションやAIソリューションの開発に必要なハードウェアとソフトウェアの両方を指します。 

参考:Alphabet「Earnings」 

2023年度の売上高は331億ドル(4兆9,650億円)で、2022年度の263億ドル(3兆9,450億円)と比較して、68億ドル(1兆200億円)増加しました。
また、2023年度の営業利益は17億ドル(2,550億円)で、2022年度の19億ドル(2,850億円)の赤字と比較して、36億ドル(5,400億円)増加しました。 

売上高と営業利益が増加した要因として、Google Cloud Platform(GCP)の成長が挙げられます。
※GCPは、Googleが提供するクラウドコンピューティングのプラットフォームです。 

Alphabetの成長戦略 

GoogleはWeb黎明期において、「PageRank」を武器に検索エンジンで一強の地位を確立しました。実際に世界の検索エンジンにおけるGoogleのシェアは、2022年時点でデスクトップが84.1%、モバイルにおいては96.2%です。 

これは、「Googleが掲げる10の真実」の「 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。」や「情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。」を追求した結果です。 

このように、Googleは検索エンジンで絶対的と言えるほどの先行者優位を勝ち取っています。しかし、その地位に甘えることなく、様々な事業に投資を続けていることが同社の特徴です。これは、200社以上を買収した実績からも伺えます。 

持株会社のAlphabetを設立した現在もその姿勢を貫いており、その最たる例がAI事業です。 

AlphabetはAIを次の成長領域と捉えており、今後AI事業に1,000億ドル(15兆円)以上を投資するとしています。そして、すでにAIサービス「Gemini(ジェミニ)」をリリースしており、社内においても開発にAIを使用しています。その結果、Googleの新しいプログラミングコードの25%以上がAIにより生成されているとのことです。 

これらのことから、Alphabetの成長戦略はGoogle検索を軸に、成長領域に挑戦し続けることと言えるでしょう。

Alphabetを参考に多角化戦略を検討しよう 

Alphabet は Google の持株会社として2015年に設立され、2024年に時価総額が 2兆ドル(300兆円)を超えました。巨大な企業に成長できた要因として、Google検索を軸にしながらも新事業への積極的な投資が挙げられます。このような多角化戦略は既存事業とのシナジー効果を生み出し、莫大な広告収入につながっているからです。その姿勢は時価総額が 2兆ドルを突破しても変わらず、広告収入を柱に新たな領域への先行投資・開発を増大させ続けています。 

事業拡大や海外進出でお悩みの経営者様は、同社の展開方法を参考に多角化戦略を検討してみてはいかがでしょうか。 

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