CPグループ(チャロン・ポカパン・グループ)とはどんな会社? 

CPグループ(チャロン・ポカパン・グループ)は、タイ最大級の財閥企業です。農業・食料品・通信・不動産など、8つの事業を展開しています。本記事ではタイ財閥のCPグループの概要と経営状況、主要事業をわかりやすく解説します。 

CPグループとはどんな会社 

出典:CPグループ 

CPグループは100年以上の歴史があり、世界21カ国で事業を展開しているアジア有数のコングロマリットです。ここでは、同社の会社概要と歴史、経営理念を紹介します。 

会社概要 

CPグループの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Charoen Pokphand Group Co., Ltd. 
本社 タイ 
設立 1921年 
進出地域 21カ国 
従業員 452,794人 
拠点 生産工場:330拠点 
研究センター:91拠点 
畜産・養殖場:1,075拠点 
スーパーマーケット:2,605店舗
セブン-イレブン:14,630店舗 
売上高 3兆3,209億バーツ(2023年度) 

歴史 

1921年に中国出身のエークチョー・チエンワノン氏とチョンチャルーン・チエンワノン氏の兄弟が、種子店「正大荘行」をオープンしたのがCPグループの始まりです。そして、1953年に飼料工場を開設し、1973年には当時の東南アジア最大かつ最新鋭の飼料工場をタイの首都バンコクに建設しました。 

1979年に、中国に飼料事業会社の「正大集団」を設立。現在、中国においてCPグループは「正大集団」の名で知られており、有数の外資系企業に成長しています。 

その後は、以下のように事業を展開しました。 

1983年:不動産開発事業に進出 
1985年:三菱グループと共同出資し、エビのブラックタイガーの養殖事業を開始 
1990年:通信事業へ進出 
1993年:ベトナムに飼料工場を設立 
1996年:インドで養殖事業を開始 
2006年:ロシアで飼料事業を開始 
2007年:フィリピンで飼料事業と農業を開始

このように飼料事業や養殖事業、農業などの分野で積極的に海外進出を進めてきました。特に、早い段階から中国市場に進出したことで、大きな成功を収めています。 

経営理念 

CPグループは経営理念として、次の6つの価値観を重視しています。 

3者の利益 

「CPグループとその従業員」「関わるコミュニティ」「展開する国々」に利益をもたらすようにする。 

スピードと品質 

品質を犠牲にすることなく、迅速に行動するために効率性と有効性を重視する。 

簡素化 

グループ全体のシステムと業務を合理化するテクノロジーとイノベーションの導入に注力する。 

変化を受け入れる 

日々変化する状況への対応に、すべての従業員が新たな機会の情報を入手し、顧客により多くの価値を提供する。 

革新する 

従業員のイノベーションを積極的に推奨し、顧客に最高の製品とサービスを提供する。 

誠実さ 

規模の大小を問わず、あらゆる行動において誠実さをモットーに事業を運営する。 

CPグループの経営状況 

CPグループの経営状況として、直近6年間の売上高の推移を紹介します。 

参考:CPグループ「Sustainability Reports」 

2023年度の売上高は3兆3,209億バーツ(13兆2,836億円)で、2022年度の2兆9,020億バーツ(11兆6,080億円)と比較して、4,189億バーツ(1兆6,756億円)増加しました。グラフから、近年は急速に売上高を拡大していることがわかります。ただし、CPグループは売上高の内訳を公開していないので、どの事業が貢献しているのかは不明です。※1バーツ=4円換算 

CPグループの8つの主要事業 

CPグループは次の8つの主要事業を展開しています。 

① 農産業・食品事業 

農産業・食品事業は、飼料の生産や食肉加工、加工食品の製造・販売を担う事業です。 

② 小売・流通事業 

CPグループは、タイにおけるセブン-イレブン(コンビニエンスストア)の運営を行っている企業です。同事業では、他にもフードサービス事業やショッピングセンターの運営などを行っています。 

③ メディア・通信事業 

メディア・通信事業は、タイでメディアや総合通信サービス・ソリューションを運営している事業です。同事業のモバイル通信は5,190万人が利用しています。 

④ 電子商取引・デジタル事業 

CPグループは、タイの大手電子商取引事業者です。様々な企業に電子商取引のソリューションを提供しています。また、データセンターやクラウドサービスといったデジタル事業も行っています。 

⑤ 不動産開発事業 

不動産開発事業は、タイで住宅やオフィスなどの不動産を運営する事業です。 

⑥ 自動車・工業製品事業 

自動車事業は、主にタイと中国で自動車とオートバイの製造・販売を行っています。工業製品事業は、プラスチックの加工に強みがあり、包装関連の製品を販売しています。 

⑦ 医薬品事業 

医薬品事業は、中国で肝炎や心・脳疾患の薬の製造・販売を行う事業です。 

⑧ 金融・投資事業 

金融・投資事業は、銀行・保険・金融関連サービスを運営する事業です。 

CPグループのグループ企業 

CPグループの主要なグループ企業について紹介します。 

① CPフーズ(CPF) 

CPフーズはCPグループの中核企業で、農産業・食品事業を担っています。世界17カ国に生産拠点を持ち、日本を含む世界50カ国以上に製品を輸出しています。なお、CPフーズの2023年度の売上高は、5,858億バーツ(2兆3,432億円)でした。 

② CPオール(CP All Public Company Limited) 

CPオールは、タイで唯一「セブン-イレブン」を運営する企業です。同社の2023年度の売上高は9,212億バーツ(3兆6,848億円)でした。参考までに、タイのセブン-イレブンの店舗数は14,630店舗で、日本の店舗数は21,688店舗です。 

③ トゥルー・コーポレーション(True Corporation) 

トゥルー・コーポレーションは、タイの通信事業を担う企業です。固定電話・携帯電話・ケーブルテレビなどの事業を展開しています。同社の2023年度の売上高は1,691億バーツ(6,764億円)でした。 

④ CPランド(CP LAND Public Company Limited) 

CPランドは、不動産開発を担う企業です。タイ全土で住宅を建設しています。また、同社はホテル事業も行っており、「フォーチュンD」ブランドを展開しています。 

⑤ 正大集団 

正大集団は、中国国内で飼料や畜産、食品事業、スーパーマーケットなどを展開している企業です。同社の2024年度の売上高は2,080億人民元(4兆3,680億円)でした。※1人民元=21円換算 

複数の日本企業がCPグループと提携 

CPグループは、タイ最大級の財閥企業です。そして、中国市場にいち早く注目し、進出したことで大きな成功を収めました。また、同社は日本とも関わりが深く、多くの日本企業と提携しています。例えば、伊藤忠商事株式会社は中国やアジア市場進出のパートナーとして業務・資本提携を結んでいます。他にもトヨタ自動車株式会社は、2023年にCPグループとタイにおけるカーボンニュートラルの実現に向けて協業することに合意しました。多くの日本企業が注目しているように、タイや中国、アジアへの進出を検討している経営者様は、CPグループとの協業を検討してみてはいかがでしょうか。 

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