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インコタームズとは?わかりやすく解説|FOB・CIFなど11条件の選び方
2026.08.12 更新 / PROVE通信編集部
監修:森英朗(グループ代表)
インコタームズとは?わかりやすく解説|FOB・CIFなど11条件の選び方

インコタームズとは?わかりやすく解説|FOB・CIFなど11条件の選び方

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インコタームズとは、国際商業会議所(ICC)が定める貿易条件のルールで、所有権の移転ではなく、費用と危険(リスク)の分担を決めます。現行はIncoterms® 2020の11条件です。FOBとCIFを同じ「海上の定番」と混ぜると、保険料と運賃の帰属で損得がずれます。本記事では、2軸での整理、よくある混同、2020年の変更点、日本企業が海上・航空・コンテナで選ぶ実務基準までをわかりやすく解説します。

当コラムで注目する用語

  • Incoterms®:ICCの貿易条件ルール。契約書に版を明記する。
  • 危険移転:貨物毀損・滅失の危険が売主から買主へ移る時点。
  • 費用負担:運賃・保険・通関・荷役など、誰が払うか。
  • FOB/CIF:海上・内水路向けの条件。保険の有無が違う。
  • FCA/CIP:あらゆる輸送手段向け。コンテナではFCAが推奨される場面が多い。
  • DPU:旧DAT。仕向地で売主が荷卸しまで行う唯一の条件。

危険移転と費用負担は別の軸

インコタームズは運賃の安さ競争ではなく、危険移転と費用負担の設計図です。

CIFは売主が運賃と最低限の保険を手配しても、危険は船積み時点で買主に移る、というのが典型的な誤解どころです。FOBは船積みまでの費用と危険を売主が負い、以後は買主です。

同じ「港の名前」を書いても、条件が違えば保険の誰が・どの水準かが変わります。契約には必ず「Incoterms® 2020」と版を書き、地名を具体的にしてください。版がない古い「CIF」は、当事者の解釈争いの入口になります。

価格交渉の場で「FOBでいいよね」と口頭で済ませると、ブッキング担当はFCAで手配し、経理はCIF建値で請求する、という社内ズレが起きます。条件名は営業・物流・経理の共通言語として、見積書の一行に固定してください。

見るものよくある誤り
危険移転いつ毀損リスクが移るか運賃を払った側が最後まで危険を負うと思う
費用負担運賃・保険・通関・荷役FOBとCIFを保険料なしで同列にする
輸送モード海上専用か、あらゆる手段かコンテナにFOBをそのまま当てる
2020か2010かDATのまま契約を回す

所有権は移さない

インコタームズは所有権を移すルールではありません。

ICCの説明は、売主と買主の義務・費用・危険の配分に焦点があります。所有権(権原)の移転時期は、準拠法と売買契約の条項で決まります。

インコタームズだけを見て「CIFだから売主が届くまでオーナー」と考えると、保険請求や倒産時の扱いがずれます。実務では、インコタームズ条項と、所有権・支払条件・検査条項を分けて書きます。

日本企業が英文契約を作るとき、テンプレのIncoterms行だけ更新して所有権条項を放置すると、紛争時に「どの文書が勝つか」で時間を失います。売掛が残る相手の倒産では、貨物がどの港にあっても、所有権条項とインコタームズの危険移転が別々に効きます。信用状取引でも、船積書類の要件とインコタームズの義務は対応づけて確認してください。

11条件の分け方

Incoterms® 2020は11条件です。あらゆる輸送手段向けが7つ(EXW、FCA、CPT、CIP、DAP、DPU、DDP)。海上・内水路向けが4つ(FAS、FOB、CFR、CIF)。

米商務省の貿易実務案内も、この二分類で整理しています。航空や複合輸送・コンテナでは、船積みを前提とするFOB/CIFより、FCA/CPT/CIPの方が整合しやすい、というのがICC側の実務ガイダンスの趣旨です。

まずは「船に載せる取引か/そうでないか」で候補を絞り、そのうえで危険と費用のどこまで売主が取るかを決めます。11個を暗記するより、分類の入口を間違えないことが先です。

EXWは売主工場渡しで買主の負担が重い一方、DDPは仕向地で関税まで売主が抱えるため、相手国の通関能力がないと履行不能になります。両端の条件は「便利」ではなく「誰が現地実務を回せるか」で選びます。

FOBとCIFの違い

FOBとCIFはどちらも海上・内水路向けですが、費用の中身が違います。

FOBでは、売主は本船積み込みまで。以後の海上運賃と保険は買主側が手配する形が基本です。CIFでは、売主が仕向港までの運賃と保険を手配します。

ただし危険の移転は、いずれも本船積み込み時点が基準です。つまりCIFでも、航海中の毀損リスクは買主に移ったあとで、売主が保険を付ける、という構造です。

保険料を「売主が払うから安全」と読むと、保険の被保険利益や請求の実務で齟齬が出ます。誰が損をするかは、事故が起きたあとに保険金を誰が請求できるか、運賃の前払いを誰が負担したかで決まります。

FOBなのに売主が保険まで抱え込む口頭合意は、後から請求書で揉めます。CFRは運賃込みで保険は買主、という中間の位置づけです。三文字の差は、事故後のメール件名の差になります。

CIFとCIPの保険水準

2020年版の重要更新の一つが保険です。

ICCは、CIFの既定を引き続き協会貨物約款(C)相当の最低水準とし、CIPは協会貨物約款(A)相当の高い水準を求める、と説明しています。CIFはばら積み商品取引で使われることが多く、CIPは製造品の複合輸送で使われやすい、という実務差を反映した変更です。

双方とも、当事者が別の保険水準に合意できます。日本企業がCIPを使うなら、「A相当が入っているか」を証券で確認してください。CIFのまま「フルカバー」と口頭で言うのは、2020年の趣旨と食い違います。

証券の写しを契約の添付にする運用にすると、営業と保険代理店の認識が揃います。戦争・ストライキ特約の要否も、仕向地リスクに応じて別途決めてください。

DATからDPUへの変更

2010年版のDAT(Delivered at Terminal)は、2020年版でDPU(Delivered at Place Unloaded)に名称変更されました。

ICCは、仕向地がターミナルに限らないこと、売主が荷卸しまで行う点を強調するため、と説明します。DAPとの違いは、荷卸しを売主が行うかどうかです。DPUは、売主が仕向地で荷卸しまで行う唯一の条件です。

古い契約書やEDIマスターにDATが残っていると、相手が2020年版で読んだときに条件名が一致しません。改訂時は、版と三文字コードの両方を更新してください。

口頭の「ターミナル渡し」も、DPUなのかDAPなのかを文書で確定します。マスター契約の改定リストに「DAT→DPU」を一行入れて、取引先ごとに通知日を残すと監査にも耐えます。

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コンテナ・航空での選び方

コンテナ貨物では、港のターミナルでキャリアに渡す時点と、本船積み込み時点がずれます。ICCはコンテナ取引でFOBよりFCAを勧める趣旨のガイダンスを示してきました。航空も海上FOBの前提がありません。

日本の輸出入で「昔からのFOB横浜」をコンテナに流用すると、危険移転の地点が現場と契約で食い違います。

実務基準は次のとおりです。ばら積み・在来船の海上はFOB/CFR/CIFを検討。コンテナ・航空・複合はFCA/CPT/CIPを先に検討。買主国で通関まで売主が取るならDDP、取りたくないならDAP/DPU。

港名だけでなく、場所(ターミナル、倉庫、工場)を書くことが争いを減らします。フォワーダーへの指示書にも同じ三文字と地名を転記し、見積とブッキングの条件を突合してください。

条件を選ぶ手順

手順は五つです。

(1) 輸送モードを決める(海上在来/コンテナ/航空)。

(2) 危険をどこまで売主が持つかを決める(出荷地か仕向地か)。

(3) 保険を誰が・どの水準で付けるかを決める(CIFのC相当かCIPのA相当か、買主付保か)。

(4) 通関と関税を誰が払うかを決める(DDPは売主負担が重い)。

(5) 契約書に「Incoterms® 2020+条件+地名」を一字で固定する。

JETROなどの貿易実務案内も、版の明記を強調します。価格表だけFOBで、実際のブッキングがFCA運用だと、クレーム時に説明できません。社内の建値慣行と、現場の物流手配を四半期に一度突合してください。

新規取引先の初回は、条件選定表(モード・危険・保険・通関)を一枚にして双方の署名欄を付けると、後の改定が楽です。

よくある誤解(CIFの方が安全だと思う)

よくある誤解は、売主が運賃と保険を払うCIFの方が、買主にとって常に安全だと思うことです。危険は船積みで移るため、保険の内容と請求の主体が重要です。

もう一つの誤解は、インコタームズを関税評価や建値統計と同じものだと思うことです。統計や税関の建値慣行と、契約上のIncotermsは目的が違います。

正しく読むなら、危険の軸と費用の軸を分け、版と地名を固定し、コンテナならFCAを優先検討します。「親切な条件」ではなく、「事故のときに誰が動くか」で選ぶのが実務です。

確認しておきたいこと

次の契約までに、次の五点を確認してください。

(1) 契約書の版がIncoterms® 2020か確認する。

(2) FOB/CIFを使うなら海上・内水路前提か確認する。

(3) コンテナ・航空ならFCA/CPT/CIPへ切り替えを検討する。

(4) CIFとCIPの保険水準(C相当かA相当か)を証券で見る。

(5) DATが残っていないか、DPU/DAPの荷卸し主体を書く。

インコタームズとは何かを一文で言うなら、「所有権ではなく、費用と危険の分担を11条件で決めるICCの貿易ルール(現行2020)」です。チェックリストを営業・物流・経理で共有し、次回の見積から適用してください。

読み解きのポイント ①11条件=あらゆる輸送7+海上4 ②危険と費用は別軸 ③CIFでも危険は船積みで移転しうる ④DAT→DPU、CIP保険はA相当 ⑤コンテナはFCA検討

インコタームズは、三文字の暗記ではなく、事故のときに誰が損をするかの設計です。版と地名と保険を揃えた契約だけが、次の出荷を通せます。

よくある質問

Q. インコタームズとは何ですか?

ICCが定める国際貿易条件のルールです。現行Incoterms® 2020は11条件で、費用と危険の分担を定めます。所有権の移転そのものではありません。

Q. FOBとCIFの違いは?

どちらも海上・内水路向けですが、CIFでは売主が運賃と保険を手配します。危険の移転はいずれも本船積み込みが基準です。

Q. 2020年版で何が変わりましたか?

DATがDPUに名称変更され、CIPの保険水準が引き上げられました。契約には版の明記が必要です。

Q. コンテナ輸出でもFOBでよいですか?

ICCの実務ガイダンスでは、コンテナにはFCAの方が整合しやすいとされます。モードに合わせて選んでください。

主な出典

International Chamber of Commerce「Incoterms® 2020」(11条件、DAT→DPU、CIF/CIP保険水準の説明)/U.S. International Trade Administration「Know Your Incoterms」(11条件の二分類)/JETRO貿易実務関連案内(版の明記・実務)/PROVE DataLakeの海外市場データ(物流セルのIncoterms骨格)/調査時点:2026年8月12日。

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※2026年8月時点の情報をもとに作成しています。監修:森英朗(グループ代表)。

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