
スターバックスは、アメリカに本社を置く世界最大のコーヒーチェーンです。世界全体で40,199店舗を運営しており、日本でも1,991店舗を展開しています。本記事では、スターバックスの会社概要や経営状況をわかりやすく解説します。
スターバックスとはどんな会社

出典:スターバックス
スターバックスは、世界87の市場でコーヒーチェーンを展開している企業です。コーヒーチェーンの中でも圧倒的な店舗数を展開しており、同業界に強い影響力があります。Reinforz Insightの「世界の喫茶・カフェ運営会社ランキング:時価総額TOP19」では、1位を獲得しただけでなく、2位の企業に4倍以上の差をつけました。ここでは、スターバックスの会社概要や歴史、経営理念を紹介します。
会社概要
スターバックスの会社概要は以下のとおりです。
会社名 | Starbucks Corporation |
本社 | アメリカ |
設立 | 1971年 |
進出地域 | 87の市場 |
店舗数 | 40,199店舗 北アメリカ:18,424店舗 その他の地域:21,775店舗 |
従業員 | 361,000人(2024年9月29日時点) |
売上高 | 362億ドル(2024年度) |
歴史
スターバックスの歴史は、1971年にアメリカのワシントン州シアトルでスターバックス コーヒー1号店をオープンしたのが始まりです。1982年に、現CEO(最高経営責任者)のハワード・シュルツ氏が小売・マーケティング部門の役員として入社。翌年、イタリアに出張したハワード・シュルツ氏はミラノにおけるエスプレッソバーの人気の高さに感銘を受けました。そこで、1984年にシアトルの店舗でコーヒーバーのコンセプトを試験的に導入し、大成功を収めました。
1985年に、ハワード・シュルツ氏は「イル・ジョルナーレ社」を設立し、スターバックスのコーヒー豆を使用したコーヒーとエスプレッソドリンクの販売を開始。1987年に、イル・ジョルナーレ社がスターバックス コーヒー社を買収し、社名を現在のスターバックスに改めました。
1996年には、アメリカ・カナダでの店舗数が1,000店舗を超え、日本にも1号店をオープン。さらに、1998年にヨーロッパ、1999年に中国へ進出しました。現在、スターバックスは世界87の市場で40,199店舗を展開し、世界最大のコーヒーチェーンに成長しています。
経営理念
スターバックスは経営理念として、次のミッション・バリューを掲げています。
・ミッション
“この一杯から広がる
心かよわせる瞬間
それぞれのコミュニティとともに―
人と人とのつながりが生みだす
無限の可能性を信じ、育みます”
引用:スターバックス コーヒー ジャパン
「Our Mission, Promises and Values」
・バリュー
スターバックスではミッションの実現のために、以下の5つの価値観を重要視しています。
CRAFT:思いをかたちにする
RESULTS:成果に責任をもつ
COURAGE:勇気をもって向き合う
BELONGING:互いを理解し認め合う
JOY:楽しむことを力に
スターバックスはこれらのミッション・バリューを基に、おいしいコーヒーの提供と人々が交流できる居心地の良い場所作りに取り組んでいます。
スターバックスの経営状況
スターバックスの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。

参考:スターバックス「Annual Reports」
2024年度の売上高は362億ドル(5兆4,300億円)で、2023年度の360億ドル(5兆4,000億円)と比較して、2億ドル(300億円)増加しました。一方、2024年度の営業利益は54億ドル(8,100億円)で、2023年度の59億ドル(8,850億円)と比較して、5億ドル(750億円)減少しました。※1ドル=150円換算
売上高が増加した要因は1,426の新規店舗をオープンしたことによる収益の増加が挙げられます。一方、営業利益が減少した要因は、店舗運営費や一般管理費の増加が挙げられます。
また、同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:スターバックス「Annual Reports」
スターバックスは、大半の売上高をアメリカ国内で確保しています。アメリカに次いで売上高に占める割合が高いのは中国です。中国では直営店7,594店舗を展開しており、日本の直営店は1,809店舗であることから、同社は中国の事業に注力していることが伺えます。
スターバックスの事業別売上高の推移
スターバックスの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:スターバックス「Annual Reports」
スターバックスは3つの事業を展開しており、その中でも中心となるのが米州事業です。ここでは、各事業の内容に加えて、売上高と営業利益の推移を紹介します。
米州事業
米州事業は、アメリカ・カナダ・ラテンアメリカにおけるコーヒーチェーンの運営を担う事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:スターバックス「Annual Reports」
2024年度の売上高は270億ドル(4兆500億円)で、2023年度の266億ドル(3兆9,900億円)と比較して、4億ドル(600億円)増加しました。一方、2024年度の営業利益は54億ドル(8,100億円)で、2023年度の55億ドル(8,250億円)と比較して、1億ドル(150億円)減少しました。
売上高が増加した要因は、533店舗増えたことによる影響が挙げられます。一方、営業利益が減少した要因は、人件費や販売促進費といった店舗運営費の増加が挙げられます。
国際事業
国際事業は、中国や日本を含むアジア太平洋地域、ヨーロッパ、中東、アフリカにおけるコーヒーチェーンの運営を担う事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:スターバックス「Annual Reports」
2024年度の売上高は73億ドル(1兆950億円)で、2023年度の75億ドル(1兆1,250億円)と比較して、2億ドル(300億円)減少しました。また、2023年度の営業利益は10億ドル(1,500億円)で、2023年度の12億ドル(1,800億円)と比較して、2億ドル(300億円)減少しました。
売上高と営業利益が減少した要因は、為替レートの悪影響や既存店の売上減少、販売促進費の増加が挙げられます。
チャネル開発事業
チャネル開発事業は、焙煎豆やコーヒー、シングルサーブ製品(一度に1杯分のコーヒーを作れるコーヒーメーカー)、インスタント飲料各種など、スターバックスブランドの製品を店舗以外で販売する事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:スターバックス「Annual Reports」
2024年度の売上高は17億7,000万ドル(2,655億円)で、2023年度の18億9,000万ドル(2,835億円)と比較して、1億2,000万ドル(180億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は9億3,000万ドル(1,395億円)で、2023年度の9億7,000万ドル(1,455億円)と比較して、4,000万ドル(60億円)減少しました。
売上高と営業利益が減少した要因は、2023年度に「シアトルズベストコーヒー」ブランドを売却したことに伴う収益減少が挙げられます。
スターバックスの成功の秘訣はローカライズ
スターバックスは、世界87の市場で40,199店舗を展開する世界最大のコーヒーチェーンを運営する企業です。主要地域はアメリカであるものの、北米以外の地域で21,775店舗を出店しています。これほどスターバックスが世界的なコーヒーチェーンに成長できたのは、「心地よい空間」や「高品質なコーヒーの提供」に加えて、「ローカライズした商品」によって顧客満足度を高めた結果です。
例えば、アメリカと日本では注文できる製品の最大サイズが違うことで知られていますが、これもローカライズの一種です。他には、味を現地の人の好みに合わせて調整していることが挙げられます。海外進出を検討している経営者様は、同社の事業展開の仕方を参考にしてみてはいかがでしょうか。