ザ・コカ・コーラ・カンパニーとはどんな会社?会社概要や業績を解説

ザ・コカ・コーラ・カンパニー(以降は、「コカ・コーラ社」と言います。)は、アメリカに本社を置く飲料メーカーです。130年以上の歴史があり、200カ国以上で事業を展開しています。本記事ではコカ・コーラ社の会社概要や経営状況、成長戦略を解説します。

コカ・コーラ社とはどんな会社

出典:コカ・コーラ社「Coca-Cola 」

コカ・コーラ社は、清涼飲料水やスポーツドリンク、ジュース、アルコール飲料などで200以上のブランドを展開している飲料メーカーです。代表的なブランドには、「コカ・コーラ」「スプライト」「ファンタ」「カナダドライ」などがあります。この章では、同社の会社概要や歴史、経営理念を紹介します。

会社概要

コカ・コーラ社の会社概要は以下のとおりです。

会社名The Coca-Cola Company
本社アメリカ
設立1892年
進出地域200カ国以上
拠点生産拠点:900拠点 ボトリングパートナー:225社
従業員数79,100人(2023年12月31日時点)
売上高457億ドル(2023年度)

歴史

1886年に、アメリカの薬剤師ジョン・S・ペンバートン氏がコカ・コーラを製造しました。同氏は「2つのCは広告によく似合う」として、独特な筆記体で有名な「Coca-Cola」の商標を完成させました。そして、新聞広告に「おいしくてさわやかな飲み物」として宣伝します。1887年には、コカ・コーラの宣伝に無料クーポンを配布するなど、マーケティングに注力します。しかし、最初の1年間の売上は1日平均9杯でした。

ジョン・S・ペンバートン氏は1888年に、コカ・コーラをエイサ・G・キャンドラー氏に売却します。そして、エイサ・G・キャンドラー氏は1892年にコカ・コーラ社を設立しました。1899年には、ベンジャミン・フランクリン・トーマス氏とジョセフ・ブラウン・ホワイトヘッド氏に、コカ・コーラをアメリカでボトリング(瓶詰め)する権利を1ドルで売却します。

1911年には、コカ・コーラ社の年間広告予算が初めて100万ドルを突破しました。1934年には映画スターを広告に起用するなど、その後も様々な媒体で広告を配信してマーケティングに注力し続けます。その結果、現在では世界中で同社製品が1日22億杯以上も飲まれています。

経営理念

コカ・コーラ社の使命は、「Refresh the World. Make a Difference.(世界中をうるおし、さわやかさを提供すること。前向きな変化をもたらすこと。)」です。そして、同社はビジョンに、「人々が愛し楽しんで、体も心もリフレッシュできるブランドとドリンクの選択肢を作り出すこと」を掲げています。

コカ・コーラ社の経営状況

コカ・コーラ社の経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。

参考:コカ・コーラ社「Filings & Reports

2023年度の売上高は457億ドル(6兆8,550億円)で、2022年度の430億ドル(6兆4,500億円)から27億ドル(4,050億円)増加しました。2023年度の営業利益は113億ドル(1兆6,950億円)で、2022年度の109億ドル(1兆6,350億円)から4億ドル(600億円)増加しました。売上高と営業利益が増加した要因として、販売量の増加と商品価格の上昇が挙げられます。※1ドル=150円換算

また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:コカ・コーラ社「Filings & Reports

グラフから、コカ・コーラ社の海外売上比率は63.8%です。

コカ・コーラ社の事業別売上高の推移

コカ・コーラ社の経営状況を深掘りするために、事業別売上高に焦点を当てて解説します。事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:コカ・コーラ社「Filings & Reports

各事業の内容は以下のとおりです。

北アメリカ事業:北アメリカで製品を展開

ボトリング投資事業:飲料をボトリングして完成品を生産

ヨーロッパ・中東・アフリカ事業:ヨーロッパ・中東・アフリカで製品を展開

ラテンアメリカ事業:ラテンアメリカで製品を展開

アジア太平洋事業:アジア太平洋地域で製品を展開

グローバルベンチャー事業:コーヒーやジュース、スムージーなどのブランドを展開

さらに、売上高の多い3事業の売上高と営業利益の推移を紹介します。

北アメリカ事業

北アメリカ事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:コカ・コーラ社「Filings & Reports

2023年度の売上高は167億ドル(2兆5,050億円)で、2022年度の156億ドル(2兆3,400億円)から11億ドル(1,650億円)増加しました。2023年度の営業利益は44億ドル(6,600億円)で、2022年度の37億ドル(5,550億円)から7億ドル(1,050億円)増加しました。売上高と営業利益が増加した要因として、原液の販売量の増加と製品価格の上昇が挙げられます。

ボトリング投資事業

ボトリング投資事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:コカ・コーラ社「Filings & Reports

2023年度の売上高は78億ドル(1兆1,700億円)で、2022年度の水準を維持しました。一方、2023年度の営業利益は5億ドル(750億円)で、2022年度の4億ドル(600億円)から1億ドル(150億円)増加しました。営業利益が増加した要因として、製品の販売量の増加と製品価格の上昇が挙げられます。

ヨーロッパ・中東・アフリカ事業

ヨーロッパ・中東・アフリカ事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:コカ・コーラ社「Filings & Reports

2023年度の売上高は73億ドル(1兆950億円)で、2022年度の68億ドル(1兆200億円)から5億ドル(750億円)増加しました。2023年度の営業利益は42億ドル(6,300億円)で、2022年度の39億ドル(5,850億円)から3億ドル(450億円)増加しました。売上高と営業利益が増加した要因として、製品価格の上昇が挙げられます。

コカ・コーラ社の成長戦略

コカ・コーラ社では、マーケティングを成長のための重要な推進力と定義しています。そして、マーケティングの変革の柱として、以下の4項目を掲げています。

  • 成長ポートフォリオの形成

2019年から2023年までにブランド数を半分以下に減らす。

  • イノベーションへのアプローチの変化

粗利益成長率30%を達成する。

  • 変革の効果と効率

2019年から2022年までに、広告費1ドルあたりの粗利益を9%増やす。

  • 新しいマーケティング運用モデル

同社のマーケティングを従来のテレビ広告中心のモデルから、地域密着性・規模・柔軟性のバランスに優れたデジタルマーケティングへの移行を推進する。

4つの柱に沿った取り組みによって、デジタルマーケティングへの支出が2019年の30%未満から、2023年には全メディアの60%の割合に増加しました。このように、Webサイトや動画、SNSなどのデジタルメディアを中心にメディアミックスを行っているのが特徴です。

※メディアミックスとは、複数のメディアを組み合わせて発信するマーケティング手法です。

コカ・コーラ社の成功の秘訣はマーケティング戦略

コカ・コーラ社は、130年以上の歴史を持つ飲料メーカーです。コカ・コーラやファンタなどは日本でもお馴染みのブランドです。同社が成長した秘訣は、成長戦略の中でも重要視しているマーケティングです。近年ではテレビ広告の割合を下げて、Webサイトや動画、SNSなどのデジタルメディアを積極的に活用しています。

海外進出や事業拡大を目指している経営者様は、同社のマーケティング戦略を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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