デル・テクノロジーズとはどんな会社?会社概要や業績   

デル・テクノロジーズは、アメリカに本社を置く世界大手のコンピュータ企業です。「Dell」ブランドで個人・法人向けにパソコンやノートパソコン、モバイル端末、コンピュータ関連製品、ならびにセキュリティサービスを展開しています。本記事では、デル・テクノロジーズの会社概要や経営状況、成長戦略を紹介します。 

デル・テクノロジーズとはどんな会社 

出典:デル・テクノロジーズ 

デル・テクノロジーズは世界170カ国以上で事業を展開している世界大手のコンピュータ企業です。deallabの「パソコン業界の世界市場シェアの分析」によると、同社の2022年度の市場シェアは14.04%で世界2位でした。ここでは、デル・テクノロジーズの会社概要や歴史、経営理念を紹介します。 

会社概要 

デル・テクノロジーズの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Dell Technologies Inc. 
本社 アメリカ 
設立 1984年 
進出地域 世界170カ国以上 
従業員 120,000人(2024年2月2日時点) 
売上高 884億ドル(2024年度) 

歴史 

デル・テクノロジーズの歴史の始まりは、1984年にマイケル・デル氏がパソコン会社を設立したことです。1987年には最初のコンピュータシステムを完成させ、イギリスに初の子会社を設立しました。1990年にはヨーロッパや中東、アフリカに向けて製品を提供するために、アイルランドに製造拠点を開設しました。 

1995年にはヨーロッパ・アジア・日本・南北アメリカに事業を拡大。その後、中国・アイルランド・ブラジル・アメリカに製造拠点を新たに開設し、生産体制を強化しました。その結果、2001年に世界1位のコンピュータ企業となりました。 

2016年に、ストレージ開発企業のEMCと経営統合してデル・テクノロジーズとなり、現在に至ります。 

経営理念 

デル・テクノロジーズは「強力なテクノロジーにより人類の進歩を促進する」を目的に掲げ、その実現に向けて次の価値観を重視しています。 

  • お客様 
    顧客との関係を究極の差別化要因とする。
     
  • 共に成功する 
    従業員を信頼し、尊重しながらチームとして協力する。 
  • イノベーション 
    成長、成功、進歩の原動力のために、イノベーション能力と画期的な思考を養う。 
  • 結果 
    卓越性と実績を高い水準に保つ。 
  • 誠意 
    成功への強い意欲を保つために、常に誠実に行動する。
     

参考:デル・テクノロジーズ「How We Win:Dell Technologiesの行動規範」 

デル・テクノロジーズの経営状況 

デル・テクノロジーズの経営状況として、直近5年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。 

参考:デル・テクノロジーズ「SEC Filings」 

2024年度の売上高は884億ドル(13兆2,600億円)で、2023年度の1,023億ドル(15兆3,450億円)と比較して、139億ドル(2兆850億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は77億ドル(1兆1,550億円)で、2023年度の86億ドル(1兆2,900億円)と比較して、9億ドル(1,350億円)減少しました。 

売上高と営業利益が減少した要因は、ハードウェアやソフトウェアのライセンス販売の売上の減少が挙げられます。 

同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:デル・テクノロジーズ「SEC Filings」 

同社は170カ国以上に事業を展開しており、海外売上比率は50.3%です。このことから、主要地域はアメリカ国内であることがわかります。 

デル・テクノロジーズの事業別売上高の推移 

デル・テクノロジーズの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:デル・テクノロジーズ「SEC Filings」 

ここでは各事業の内容に加えて、売上高と営業利益の推移を紹介します。 

クライアントソリューショングループ 

クライアントソリューショングループ事業は、パソコンやノートパソコンに加えて、ディスプレイやキーボード、マウス、ウェブカメラ、オーディオデバイスなどの周辺機器を提供する事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:デル・テクノロジーズ「SEC Filings」 

2024年度の売上高は489億ドル(7兆3,350億円)で、2023年度の582億ドル(8兆7,300億円)と比較して、93億ドル(1兆3,950億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は35億ドル(5,250億円)で、2023年度の38億ドル(5,700億円)と比較して、3億ドル(450億円)減少しました。 

売上高と営業利益が減少した要因は、世界的なマクロ経済情勢が引き続き需要に影響を及ぼしたことで、販売台数が前年度と比較して16%減少したことが挙げられます。 

インフラストラクチャーソリューショングループ 

インフラストラクチャーソリューショングループ事業は、AIやデータ分析、マルチクラウド関連のソリューションを提供する事業です。具体的にはサーバーやネットワーク関連、ストレージ関連の製品を販売しています。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:デル・テクノロジーズ「SEC Filings」 

2024年度の売上高は339億ドル(5兆850億円)で、2023年度の384億ドル(5兆7,600億円)と比較して、45億ドル(6,750億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は43億ドル(6,450億円)で、2023年度の50億ドル(7,500億円)と比較して、7億ドル(1,050億円)減少しました。 

売上高と営業利益が減少した要因は、サーバーやネットワーク関連製品の販売台数の減少に加えて、ストレージ製品の売上の減少が挙げられます。 

デル・テクノロジーズの成長戦略 

2024年5月に開催された「Dell Technologies World 2024」において、創業者兼最高経営責任者(CEO)のマイケル・デル氏は、これからはAIの時代になるとし、IT基盤をAI活用に最適化する重要性を強調しました。簡単に言えば、既存のIT基盤にAIのアプリケーションを導入して問題解決を図るのではなく、IT基盤から見直すことでよりAIの可能性を引き出せるとのことです。 

そして、IT基盤をAI活用に最適化するために、同社は「Dell AI Factory」を展開しています。Dell AI Factoryは、データやサービス、オープンアーキテクチャー、インフラストラクチャーを統合する包括的なサービスです。企業はこのサービスを導入することで、イノベーションを加速できるとしています。 

このように、デル・テクノロジーズは今後の成長戦略として、AI基盤関連の製品やサービスに注力していく方針です。 

参考:Mapionニュース「デル氏が訴求する「AI主導環境の重要性」、データセンターを“AIファクトリー”へ – Dell Technologies World 2024」 

デル・テクノロジーズは直販モデルから間接販売へ 

デル・テクノロジーズは、世界170カ国以上に事業を展開しているコンピュータ企業です。同社が世界有数の企業に成長した要因の一つに直販モデルが挙げられます。これは、顧客がカスタマイズした製品を直接注文し、同社が組み立てて発送するビジネスモデルです。この仕組みにより、必要な性能のパソコンを低価格で購入できるというメリットがあったため、多くのユーザーから支持を集めました。 

しかし、現在は直販モデルから間接販売へビジネスモデルを転換しています。直販モデルでは市場全体の3割にしかアプローチできず、残りの約7割が未開拓の状態だったとのことです。そこで、パートナー企業による間接販売を推進し、より大きな市場へのアプローチを図っています。このようにデル・テクノロジーズは時代やニーズに合わせて、最適なビジネスモデルを追求している企業です。さらに、今後はAI分野に力を入れる方針のため、その動向にも注目しましょう。 

参考:クラウドWatch「デル、直販主軸から脱却する歴史的転換図る」 

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