テラダイン(Teradyne)とはどんな会社?会社概要や業績  

テラダインは、アメリカに本社を置く自動試験装置の世界大手メーカーです。半導体、エレクトロニクス、ワイヤレスなど、様々な製品の製造プロセスで使用される自動試験装置を開発・販売しています。本記事では、テラダインの会社概要や経営状況を解説します。 

テラダインとはどんな会社 

出典:テラダイン 

テラダインは、世界中で6,500人以上の従業員を抱えるグローバル企業です。開発拠点はアメリカと日本の熊本県にありますが、製造については自社工場を持たない「ファブライト経営」を行っており、中国やマレーシアなどに生産拠点を持つEMS企業へ委託しています。ここでは、テラダインの会社概要と歴史、経営理念を紹介します。 

会社概要 

テラダインの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Teradyne, Inc. 
本社 アメリカ 
設立 1960年 
従業員 6,500人(2023年12月31日時点) 
売上高 27億ドル(2023年度) 

歴史 

テラダインは、1960年にアレックス・ダーベロフ氏とニック・デウルフ氏により、電子部品の検査装置を開発することを目的に設立されました。1961年に真空管の代わりに半導体を使用した最初の商用ダイオードテスターを開発。さらに、1966年には業界初のコンピュータ制御テストシステムを開発し、自動試験装置の分野を開拓しました。 

1995年に、半導体チップの検査機器を販売していたメガテスト社を買収。2000年にはハーコ・テクノロジーズ社とシンセイン・テイラー社のプリント回路基板メーカー2社を買収しました。2010年にはノートパソコン・タブレット・ホームネットワークなど、ワイヤレス製品向けの試験装置を開発していたライトポイント社を買収し、ポートフォリオを強化しました。 

このようにテラダインは継続的に関連企業を買収し、事業を拡大したことで、現在の様々な製品の自動試験装置を開発する世界大手メーカーに成長しています。 

経営理念 

テラダインは経営理念として、次の3つの価値観を重要視しています。 

  • 壁のない企業 
    オープンで率直な議論を大切にし、社員が声を挙げ、アイデアを共有することを推奨する。 
  • 誠実・公平 
    企業戦略やビジネスの進め方について、透明性を確保する。 
  • お客様からの信頼 
    ニーズを先取りし、期待を上回る優れたソリューションとサポートを提供する。
     

参考:テラダイン「テラダインについて」 

テラダインの経営状況 

テラダインの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。 

参考:テラダイン「Annual Reports & Proxies」 

2023年度の売上高は27億ドル(4,050億円)で、2022年度の32億ドル(4,800億円)と比較して、5億ドル(750億円)減少しました。また、2023年度の営業利益は5億ドル(750億円)で、2022年度の8億ドル(1,200億円)と比較して、3億ドル(450億円)減少しました。※1ドル=150円換算 

売上高と営業利益が減少した要因は、全ての事業が需要減少により低迷したことが挙げられます。 
また、同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:テラダイン「Annual Reports & Proxies」 

グラフから、テラダインの海外売上比率は84%で、アジア太平洋地域を中心に売上を確保していることがわかります。 

テラダインの事業別売上高の推移 

テラダインの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:テラダイン「Annual Reports & Proxies」 

グラフから、半導体テスト事業が中核を担っており、ロボティクス事業とシステムテスト事業が続いています。ここでは、各事業の内容に加えて、売上高の推移を紹介します。 

半導体テスト事業 

半導体テスト事業は、半導体テスト製品及びサービスの設計・販売を世界規模で展開している事業です。自動車や産業、通信、スマートフォン、コンピュータなどに使用される半導体デバイスのウエーハやデバイスの検査に利用されています。半導体テスト事業の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:テラダイン「Annual Reports & Proxies」 

2023年度の売上高は18億ドル(2,700億円)で、2022年度の21億ドル(3,150億円)と比較して、3億ドル(450億円)減少しました。売上高が減少した主な原因は、コンピューティング及び自動車関連アプリケーション向けの製品の売上が減少したためです。 

ロボティクス事業 

ロボティクス事業は、自動車、食品、飲料、金属機械加工、エレクトロニクス、製薬などの様々な分野で使用される共同ロボットを開発している事業です。加えて、製造・物流業界向けに自立移動型ロボットの開発も行っています。ロボティクス事業の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:テラダイン「Annual Reports & Proxies」 

システムテスト事業 

2023年度の売上高は3億8,000万ドル(570億円)で、2022年度の4億ドル(600億円)と比較して、2,000万ドル(30億円)減少しました。売上高が減少した要因は、世界的な産業活動の減速やマクロ経済の逆風による需要の減少が挙げられます。 

システムテスト事業は、次の3つの部門で構成される事業です。 

  • ストレージテスト 
    ハードディスクドライブやデータセンター、クラウドストレージなどの半導体製造プロセスの検査で使用される自動試験装置を展開 
  • 防衛・航空宇宙 
    軍用及び商用航空宇宙エレクトロニクス・システムや戦術機、ミサイルシステムなどの検査で使用される試験装置を展開 
  • ボードテスト 
    プリント基板やデバイスプログラミングを検査するための試験装置を展開

システムテスト事業の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:テラダイン「Annual Reports & Proxies」 

2023年度の売上高は3億4,000万ドル(510億円)で、2022年度の4億7,000万ドル(705億円)と比較して、1億3,000万ドル(195億円)減少しました。売上高が減少した主な要因は、ストレージテスト部門の売上の減少が挙げられます。 

ワイヤレステスト事業 

ワイヤレステスト事業は、スマートフォンやノートパソコン、IoT機器などのワイヤレスモジュールの自動試験装置を開発・販売している事業です。ワイヤレステスト事業の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:テラダイン「Annual Reports & Proxies」 

2023年度の売上高は1億4,000万ドル(210億円)で、2022年度の2億ドル(300億円)と比較して、6,000万ドル(90億円)減少しました。売上高が減少した要因は、主にネットワーク接続テスト製品の売上の減少が挙げられます。 

テラダインは買収戦略で事業を拡大 

テラダインは半導体を始め、エレクトロニクスやワイヤレスの製造プロセスで使用される自動試験装置を開発・販売しているメーカーです。同社の開発拠点はアメリカと日本の熊本県にあります。このことからもわかるように、日本との関係が深い企業でもあります。また、同社が自動試験装置の世界大手メーカーに成長できた要因の一つは、事業の拡大や強化を目的とした積極的な企業買収です。事業拡大の経営戦略に悩んでいる経営者様は、同社の買収戦略を参考にしてみてはいかがでしょうか。 

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