クラフト・ハインツ(The Kraft Heinz Company)は、アメリカに本社を置く食品メーカーです。トマトケチャップやパスタソースなどの商品を190カ国で販売しています。本記事では、クラフト・ハインツの会社概要や業績をわかりやすく解説します。
クラフト・ハインツとはどんな会社
クラフト・ハインツは、冷凍食品・調味料・乳製品・コーヒーなどを製造・販売している食品メーカーです。この章では会社概要や歴史、事業内容、経営理念を紹介します。
会社概要
クラフト・ハインツの会社概要は以下のとおりです。
会社名 | The Kraft Heinz Company |
本社 | アメリカ |
設立 | 2015年 |
拠点数 | 製造・加工施設:78拠点 |
従業員数 | 約37,000人(2022年12月31日時点) |
売上高 | 266億ドル(2023年) |
なお、クラフト・ハインツは日本との関係も深い企業です。日本法人は1961年に設立され、現在は全国7カ所に営業拠点があります。ケチャップやデミグラスソース、洋食用クッキングソース、冷凍食品などを展開しています。
歴史
クラフト・ハインツは2015年に、クラフト・フーズ(Kraft Foods Group, Inc.)とハインツ(H. J. Heinz Company)の経営統合により誕生した企業です。クラフト・ハインツの成り立ちを把握するために、両社の歴史を紹介します。
・クラフト・フーズ
ジェームズ・L・クラフトは1903年にチーズの卸売業を始め、1909年にJ・L・クラフト・アンド・ブロス・カンパニーを設立しました。1924年に同社はクラフト・チーズ・カンパニーに名称を変更し、その後も何度かの社名変更を経て、1995年にクラフト・フーズとなります。クラフト・フーズは多くの企業を買収することで、チーズや加工肉製品、コーヒーなどを販売する大手企業に成長しました。
・ハインツ
ハインツは、1869年にヘンリー・J・ハインツにより設立されました。当初はホースラディッシュ(西洋わさび)の瓶詰を販売して事業を拡大しましたが、1875年に金融恐慌の影響を受けて倒産します。しかし、翌年にF&Jハインツ社を設立し、トマトケチャップの大量生産で大成功を収めました。
2015年に両社が合併したことで、クラフト・ハインツは世界第5位の食品メーカーとして誕生します。そして現状は、Reinforz Insightの「2023年最新版:世界の調味料類会社ランキング時価総額TOP87」によると、2023年の調味料会社の中で世界4位の時価総額を誇っています。
事業内容
クラフト・ハインツの事業内容は、乳製品や肉製品、調味料、穀物などの生産・販売です。また、同社は複数のブランドを展開しているのも特徴です。ここでは、その中から5つのブランドを紹介します。
・クラフト(Kraft)
クラフトは、チーズやドレッシングなどを製造・販売しているブランドです。日本では、「クラフト・スライスチーズ」や「クラフト 100%パルメザンチーズ」などで知られています。
・ハインツ(Heinz)
ハインツは、ケチャップやパスタソースを製造・販売しているブランドです。
・フィラデルフィア(Philadelphia)
フィラデルフィアは、クリームチーズを製造・販売しているブランドです。日本では、おやつ・おつまみ・お菓子用のクリームチーズを販売しています。
・オスカー・マイヤー(Oscar Mayer)
オスカー・マイヤーは、ホットドッグやベーコン、ハムを製造・販売しているブランドです。
・オレアイダ(Ore-Ida)
オレアイダは、冷凍ポテトや冷凍野菜を製造・販売しているブランドです。
経営理念
クラフト・ハインツの経営理念として、パーパス・ビジョン・価値観を紹介します。
●パーパス
同社のパーパスは、「Let’s Make Life Delicious(人生を美味しくしよう)」です。
●ビジョン
同社のビジョンは、「To sustainably grow by delighting more consumers globally.(世界中でより多くの消費者を喜ばせることで持続的に成長する)」です。
●価値観
同社は重要視する価値観として、以下の6つを掲げています。
- 私たちは消費者に夢中です。
- 私たちは毎日、より良いものを目指しています。
- 私たちは優れた人材を支援します。
- 私たちは多様性を求めます。
- 私たちは正しいことをします。
- 私たちが(責任を)所有しています。
このように、常に消費者を中心に行動をすることで、持続的な成長を目指しているのがクラフト・ハインツの経営理念です。
クラフト・ハインツの経営状況
クラフト・ハインツの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。
参考:The Kraft Heinz Company「Events & Webcasts」
2023年の売上高は266億ドル(3兆9,900億円)で、2022年の264億ドル(3兆9,600億円)から2億ドル(300億円)増加しました。2023年の営業利益は45億ドル(6,750億円)で、2022年の36億ドル(5,400億円)から9億ドル(1,350億円)増加しました。※1ドル=150円換算
売上高・営業利益のどちらも前年より高く、直近6年間で見ても高水準を達成しています。
クラフト・ハインツの事業別売上高の推移
クラフト・ハインツの経営状況を事業別売上高から深掘りします。まずは、事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:The Kraft Heinz Company「Events & Webcasts」
クラフト・ハインツの売上高の構成割合は、75.5%が北米事業で、残りの24.5%が国際事業です。この章では、各事業の売上高とEBITDAの推移を紹介します。※EBITDAは、営業利益に減価償却費を加えた指標を指します。
北米事業
北米事業は、北米で商品を販売している事業です。売上高とEBITDAの推移は以下のとおりです。
参考:The Kraft Heinz Company「Events & Webcasts」
2023年の売上高は201億ドル(3兆150億円)で、2022年の203億ドル(3兆450億円)から2億ドル(300億円)減少しました。売上高の減少は、商品の値上げを実施した結果、消費者の買い控えを招いたためとされています。
一方、2023年のEBITDAは56億ドル(8,400億円)で、2022年の52億ドル(7,800億円)から4億ドル(600億円)増加しました。
近年の北米事業は、売上高200億ドル(3兆円)前後を推移しており、伸び悩んでいると言えます。
国際事業
国際事業は、北米以外で商品を販売している事業です。売上高とEBITDAの推移は以下のとおりです。
参考:The Kraft Heinz Company「Events & Webcasts」
2023年の売上高は65億ドル(9,750億円)で、2022年の61億ドル(9,150億円)から4億ドル(600億円)増加しました。売上高は3年連続で拡大しているため、国際市場は成長している事業と言えます。
一方、2023年のEBITDAは10億ドル(1,500億円)で、2022年と同水準でした。
海外への販路を持つ企業との協業を検討しよう
2015年にクラフト・フーズとハインツが合併したことで誕生しました。クラフト・フーズはもともと、北アメリカを中心に事業を展開していましたが、合併後はハインツの販路を活用して海外への販売を強化しています。
その証拠に、クラフト・ハインツは190カ国以上で商品を販売しており、2023年度の売上高が266億ドル(3兆9,900億円)で右肩上がりに売上を拡大しています。
海外進出を検討している企業様は、クラフト・フーズの事例を参考に、すでに海外への販路を構築している企業との協業を検討してみてはいかがでしょうか。