TJXカンパニーズは、「TJマックス(TJ Maxx)」「マーシャルズ(Marshalls)」「ウィナーズ(Winners)」などのブランドで、世界中に4,900店舗以上を展開している大手オフプライス小売業者です。本記事では、TJXカンパニーズの会社概要やビジネスモデル、業績を紹介します。
TJXカンパニーズとはどんな会社
出典:TJXカンパニーズ
TJXカンパニーズは、アパレルやホームファッションのブランド品やデザイナーズ品を割安で販売している大手オフプライス小売業者です。ここでは、会社概要・歴史・事業内容を紹介します。
会社概要
TXJカンパニーズの会社概要は以下のとおりです。
会社名 | The TJX Companies, Inc. |
本社 | アメリカ |
設立 | 1987年 |
進出地域 | 9カ国 |
従業員数 | 349,000人(2024年2月時点) |
店舗数 | 4,900店舗以上 |
売上高 | 542億ドル(2024年) |
歴史
TJXカンパニーズの始まりは、創業者のバーナード・カマラータ氏により、1977年にTJマックスが創設されたことです。その後の同社の主な動向は以下のとおりです。
1987年:The TJX Companies, Inc.が設立される
1990年:カナダのWinners Apparel of Canadaを買収する
1992年:アメリカでホームグッズ(HomeGoods)を立ち上げる
1994年:TKマックス(TK Maxx)を立ち上げ、イギリスやアイルランドに進出する
1995年:当時アメリカで第2位のオフプライス小売業者Marshallsを買収する
2001年:カナダでホームセンス(HomeSense)を立ち上げる
2003年:アメリカのBob’s Storesを買収する
2007年:ドイツに進出する
2009年:ポーランドに進出する
事業内容
TJXカンパニーズの事業内容は、アパレルやホームファッションを割安料金で販売するオフプライス小売業です。同社の事業はMarmaxx(アメリカ事業)、HomeGoods(アメリカ事業)、TJX International、TJX Canadaの4つに分かれています。各事業の店舗数は以下のとおりです。
事業 | 店舗数 | 内訳 |
Marmaxx | 2,516店舗 | TJマックス:1,319店舗 マーシャルズ:1,197店舗 |
HomeGoods | 974店舗 | ホームグッズ:919店舗 ホームセンス:55店舗 |
TJX International | 803店舗 | TKマックス(ヨーロッパ):644店舗 ホームセンス(ヨーロッパ):79店舗 TKマックス(オーストラリア):80店舗 |
TJX Canada | 566店舗 | ウィナーズ:297店舗 ホームセンス:158店舗 マーシャルズ:106店舗 |
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
※店舗数には、シエラ(Sierra)の95店舗を含んでいません。
TJXカンパニーズのビジネスモデル
TJXカンパニーズは、ブランド品やデザイナーズ品を通常価格より、20%~60%安く販売しています。
その安さの秘密は21,000を超えるベンダーと提携し、100カ国以上から商品を調達するシステムにあります。この調達システムにより、高品質なブランド品や新進気鋭のデザイナーズ品などを取りそろえています。
なお、アウトレットは自社商品を割安で販売するビジネスモデルです。一方、オフプライスはメーカーや百貨店などが保有する商品を格安で買い取り、消費者に割安で販売するビジネスモデルです。
TJXカンパニーズの経営状況
TJXカンパニーズの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
※TJXカンパニーズの2024年の会計年度は、決算日の関係から2023年1月29日から2024年2月3日までです。
2024年の売上高は542億ドル(8兆1,300億円)で、2023年の499億ドル(7兆4,850億円)から43億ドル(6,450億円)の増加でした。2024年の営業利益は45億ドル(6,750億円)で、2023年35億ドル(5,250億円)から10億ドル(1,500億円)の増加でした。このことから、同社の業績は好調と言えます。※1ドル=150円換算
また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
アメリカでの売上が78%を占め、海外売上比率は22%です。
TJXカンパニーズの事業別売上高の推移
TJXカンパニーズの経営状況を事業別売上高から深掘りします。まずは、事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
TJXカンパニーズの事業は、進出地域で3つに区分されています。各事業の売上高と営業利益の推移を紹介します。
TJXカンパニーズの事業別売上高の推移
U.S. segments:アメリカ事業
アメリカ事業は全体の売上高の78.2%を占めており、同社の主力事業です。そのアメリカ事業は、さらにMarmaxxとHomeGoodsの2つに分かれています。
Marmaxx(アメリカ事業)
Marmaxx事業は、アメリカでTJマックスやマーシャルズを展開している事業です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
2024年の売上高は334億ドル(5兆100億円)で、2023年の305億ドル(4兆5,750億円)から29億ドル(4,350億円)の増加でした。2023年は営業利益も増加しており、同社の成長をけん引しています。
HomeGoods(アメリカ事業)
HomeGoods事業は、アメリカでホームグッズやホームセンスの運営を担っている事業です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
2024年の売上高は89億ドル(1兆3,350億円)で、2023年の82億ドル(1兆2,300億円)から7億ドル(1,050億円)増加しました。2024年の営業利益も2023年から3億ドル以上増加しています。
TJX International:TJXインターナショナル
TJX International事業は、ヨーロッパでTKマックス・ホームセンス、オーストラリアでTKマックスを運営している事業です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
2024年の売上高は67億ドル(1兆50億円)で、2023年の62億ドル(9,300億円)から5億ドル(750億円)の増加でした。一方、2024年の営業利益は3億ドル(450億円)で2023年と同水準でした。
TJX Canada:TJXカナダ
TJX Canada事業は、カナダでウィナーズやホームセンス、マーシャルズを運営している事業です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。
参考:TJXカンパニーズ「Annual Report」
2024年の売上高は50億ドル(7,500億円)で、2023年と同水準でした。2024年の営業利益についても7億ドルで、2023年から増加したもののほぼ同水準です。
Win-Winのビジネスモデルで成長するTJXカンパニーズ
TJXカンパニーズは、アメリカを中心に4,900店舗以上を運営する大手オフプライス小売業者です。ブランドや百貨店などが抱えている在庫を格安で調達して、通常価格の20%~60%の値段で販売しています。消費者や同社だけにメリットがあるのではなく、ブランドメーカーや百貨店なども在庫を処分できるメリットがあります。
そのため、TJXカンパニーはWin-Winのビジネスモデルで成長していると言えるでしょう。アメリカへの進出を検討している方は、成功事例として同社のビジネスモデルを参考にしてみてはいかがでしょうか。