自社製品を海外展開する上では、現地の文化や生活習慣といった実情を把握するための情報収集が重要となります。
その前提としてまず考えなければならないのが、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つ、いわゆる「STP」です。
そこで今回は、海外進出への向き合い方を見つめ直し、海外でのマーケティングにおけるSTPの重要性についてお伝えします。
スタート位置を見誤りがちな日本企業
日本企業が海外進出するにあたっては、現地の実情をしっかりと把握し、製品やサービスをその地域に合わせた仕様に変えていく必要があります。
このときに重要なのは、その作業を単なる日本製品の「ローカライズ」として見るのではなく、あくまでも海外で展開する「新商品」として考えることです。
もちろん、その製品(ブランド)が海外でも一定の評価を得ているのであれば話は別ですが、そういったポジションを築いているケースはごくわずかです。
ほとんどの日本企業にとって海外展開は限りなく0に近い環境からのスタートであるにもかかわらず、無意識に自社の立場を実際よりも上に見積もってはいないでしょうか?
すでに製品やサービスが存在している場合、それに囚われてしまうのは仕方のないことかもしれません。また、日本で高い評価やシェアがある場合はなおさら「日本で売れているのだから海外でも売れるはずだ」という思い込みも生まれやすくなります。
しかし、日本での評価や実績がかえって足枷となり、海外展開におけるスタート位置や戦うべきフィールドそのものを見誤ってしまっては元も子もありません。
まずはSTPを明確にすることが必要不可欠
海外進出においては、日本でのマーケティング以上にセグメンテーション(市場の細分化)・ターゲティング・ポジショニングの3つ、いわゆる「STP」が重要となります。
現地の流通事業や市場環境などを把握したり、グループインタビューや家庭訪問で利用実態などを把握するケースでも、まずはその前提となるSTPを明確にする必要があります。
「どこにターゲットを置いて情報収集するか」を考えるのは簡単なようでいて難しい作業ですが、STPを間違えてしまうとせっかく集めた情報も不明瞭なものになりかねません。
例えば同じ年収の人に話を聞いたとしても、職業が違えば生活習慣や製品を使うシーンは異なり、当然意見も変わってきます。
時には多様な意見をシビアに切り捨てることも必要ですが、細かいターゲティングやセグメンテーションに慣れていない場合、絞り込むことを恐れてさまざまな意見に耳を傾けてしまい、情報の焦点がぼやけてしまうこともあります。
たとえ満足のいく結果が得られなくても、予算が少ない中で何度も情報収集を行うのは難しいため、適当なところで妥協点を見つけて納得せざるを得ない場面もあるでしょう。
このようにSTPが定まっていない状態で情報収集し、あやふやな情報を用いてマーケティングや商品のカスタマイズを行った結果、現地に受け入れられない製品やサービスが出来上がってしまうのです。
進出先に合わせて“尖らせた”マーケティングを
日本企業は自分たちが作り上げた製品やサービスに対する誇りと愛着が強いため、海外展開においてもなかなかその思いを捨て切れないことも多いと思います。しかし、時には思い込みやプライドを捨て、相手の意見を真摯に受け止めることも大切です。
そもそも海外で大きなマーケットを狙えるほど汎用性の高い日本製品というのは早々に存在していません。
だからこそ、STPによる市場の分析が重要となるのであり、アプローチの方法自体は間違っていなくとも、その絞り込みの精度を甘く見ている日本企業はまだまだ多いように思えます。
進出先に合わせて“尖らせた”マーケティングを打っていくためには、有用な情報収集を行い、まずはSTPを明確にしていく必要があります。
その一方で、そこに対してPDCAを回しながら、必要な資金や時間のかけ方を全体で設計していくことも忘れてはなりません。
また、自社だけでプロジェクトを進めている場合、方向性が間違っていても誰もブレーキかけられないという怖さもあります。
そんな時、プルーヴのような海外に知見のある第三者の意見が重要な気付きをもたらすこともあるはずです。海外進出にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。