消費を左右するサステナビリティ。海外展開時に求められる製造元や製造プロセスの可視化

海外を視察すると、品質が良いという理由で日本製品が評価されている場面に会い安堵することがあります。しかし最近では品質に加えて、「オーガニック」や「エコ」などのキーワードに代表されるサステナビリティなモノを求める消費者が増えているように思います。
 
そこで今回は、消費者がサステナビリティの中でも「安全性や環境保護」ともとめるようになった背景と、こうしたトレンドの今、海外展開をする上で備えておくべきことをお話します。

粗悪品から消費者を守る「製造元」や「流通ルート」の情報

消費者が「オーガニック」や「エコ」といったナチュラルな商品を好み始めた背景のひとつに、模造品や粗悪品が各国で出回ったことが起因しています。
 
中国ではメラニン入り粉ミルクが出回り、ロシアでは安価な入浴剤がアルコールの代わりに売られ死者が多数出ました。また、ベトナムでは食品における残留農薬の多さが話題になりました。
品質が危ぶまれる商品が出回っているから、消費者は製造元や製造プロセス、流通ルートを確認して商品の安全性を見極める必要があるのです。
 
実際に以前取り上げたコラムでは、そうした情報の開示が、消費に影響を与えていることについて取り上げています。
 
「ホールフーズ・マーケットにみるアメリカの食トレンド」
https://www.provej.jp/column/america-foodtrend/
 
もうひとつは、安全性や有効性の確認のために行われていた動物実験に反対する消費者が増えたことです。
日本ではあまり問題になっていませんが、世界的には動物実験反対が主流で、特にロシアやEUなど先進国の消費者にとって、動物実験の有無は商品選択の重要ポイントになっています。
さらにEUが2013年3月に動物実験を行った化粧品の商取引を全面的に禁止し、これに続いてさまざまな製品で動物実験を取りやめる動きが出ています。
 
このように消費者は品質や価格だけでなく、製造元に対して安全性や環境保護への取り組み姿勢を見るようになりました。
 

ロシア QRコードによるマーキング制度を導入

それでは各国では、製造元や流通ルートをどのように消費者に開示しているのでしょうか。
たとえばロシアでは、既に模造品や密輸品、粗悪品を除外するためにマーキング制度が導入され、トレーサビリティー(履歴情報管理)システムが確率されています。
 
対象となるものはまだ限定的ですが、製造(生産)から加工、流通に関わる情報が読み取れるQRコードの貼り付けを2016年より義務化しています。現在、対象となっているのは毛皮製品、たばこ、靴、衣料品、薬で、今後は香水などへの導入が決定しています。
 
ロシア政府の計画では2024年までに化粧品などすべてのFMCG(Fast Moving Consumer Goods/日用的に消費される商品)への導入を決定していますが、導入までのリードタイムが短いとの意見も多く導入時期は交渉中です。
いずれにしても、ロシア市場では今後、FMCGを始めとしたマーキング制度の対象は拡がっていくでしょう。
 

モスクワの靴店にて。すべての商品箱にトレーサビリティーのためのQRコードが貼られていました。
 
ロシアのマーキング制度は当然、海外企業にも影響を与えました。
 
ロシア市場に入る前にQRコードを貼り付けなければいけないので、製造ラインにQRコード貼付の工程を入れなければなりません。他の方法としてFTZ(フリー・トレード・ゾーン)で貼ることもできますが、対応できる倉庫の数が不足しており現実的ではないのが現状です。
 
さらにロシア政府が導入を決定したQRコード情報を管理、監督するシステムは、人件費を入れると1製品に対して100万ドルの費用が掛かると予測されており、高額すぎる導入費用も問題になっています。

テクノロジーの進化で可能になった製造元の可視化

いくつかの課題はありますが、製造元や製造プロセスの可視化ニーズは今後も世界的に高まることが予想されます。
 
日本製品は品質・安全性が高いと評価してくれる国がまだまだあることからも、こうした可視化への必要性を感じることは少なかったことでしょう。ただし、各国が制度を設けるようになればそれに従わなくてはいけません。
 
また国の事情によってもその可視化対象は異なることを理解する必要があります。中国や台湾、ベトナムなどアジアでは食の安全性確認のために食品生産者を知りたがり、ロシアでは偽物が流通している毛皮やお酒の製造元を知りたがる傾向があります。

 

ベトナムのスーパーその1
ベトナムのスーパーその2

ベトナムのスーパーでは野菜生産者の顔写真を貼り、消費者に安心感を与えていました。

 
一方で、テクノロジーの進化によって消費者が生産者情報を簡単に入手できるようになった今、製造元や製造プロセスの可視化は売り上げを左右するマーケティングの需要な一部にもなり得ます。
 
だからこそ海外で展開する場合は、生産者や流通ルートの可視化ニーズに合わせて可視化のための取り組みを計画に組み込んで備えるべきではないでしょうか。
 

出典:

産経ニュース『ロシアの酒代わり入浴剤で大量70人超死亡 プーチン政権も対策へ』
https://www.sankei.com/world/news/161228/wor1612280061-n1.html
朝日新聞デジタル『中国汚染ミルク 香港、台湾、シンガポールでも』
http://www.asahi.com/special/071031/TKY200809210207.html
POSTE『ベトナム、農薬に6億6,000万ドル?!農薬の不正使用に警告』
https://poste-vn.com/daily-info/%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0-%E8%BE%B2%E8%96%AC%E3%81%AB6%E5%84%846-000%E4%B8%87%E3%83%89%E3%83%AB-%E8%BE%B2%E8%96%AC%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%AB%E8%AD%A6%E5%91%8A-6096
WWG「QRコード、ロシアの靴のデジタルマーキング」
https://wwg.eu.com/news-blog/qr-code-digital-marking-of-shoes-in-russia/

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