シリコンバレーに学ぶグローバル製品を生み出すポイント

Apple社やGoogle社をはじめ、数々の世界的企業を擁するアメリカ・サンフランシスコのシリコンバレー。
今回はそこである製品の開発環境について調査し、プロジェクトに携わった開発者や技術者、投資家などのキーパーソンに国家プロジェクトの一環としてヒアリングを行いました。
 
革新的なグローバル製品を生み出し続けるシリコンバレーの企業が製品開発についてどのように考え、実際にどう開発を進めているのかについてお伝えします。

成功が次の成功を生む「スタートアップエコシステム」

シリコンバレーで多くの企業が成長を続けている理由の一つに、「スタートアップエコシステム」の存在があります。
スタートアップエコシステムとは、いわゆるベンチャー企業など創業間もない企業の成長を支える仕組みのこと。世界有数の大企業を抱えるシリコンバレーだからこその優秀な人材や資金的援助、また成功者たちのネットワークによって、ベンチャー企業が成長を続けるための土壌とグローバル製品を生み出すサイクルが構築されています。
 
流動性のある人材を豊富に抱えるシリコンバレーには、リスクを恐れず成功を追い求めてチャレンジを続ける人たちがたくさんいます。
そして、彼らを支えるエンジェル投資家たちには「自分が成功した業界に恩返しをしたい」という思いがあり、資金だけでなくノウハウや人脈なども惜しみなく与える人が多いといいます。
こうした成功者たちからの支援やアドバイスによって、より成功しやすい環境が整い、「成功が次の成功を生む」という好循環が育まれています。
 
また、過去に成功を収めた人たちの中には、現状に満足せずに新たな事業を立ち上げる人も多いようです。
一度成功している人はベンチャーキャピタルからの出資を受けやすく、人材も集まりやすいため、さらに開発スピードが速まっていくというわけです。

日本とは異なる「失敗」の捉え方

このエコシステムの根底には、日本とは全く違った彼らの思想や文化があります。
特に「失敗」の捉え方が日本とは大きく異なり、日本では一度失敗した人に烙印を押す傾向にありますが、むしろシリコンバレーは「失敗してなんぼ」の世界です。
何もしない人よりもチャレンジした人の方が優れているという考えがあるため、彼らにとっては失敗の数こそが誇りでもあります。
 
実際に現地のエンジニアにインタビューしたところ、「起業に失敗したら大企業に行けばいい」という声も聞きました。
日本では一度起業に失敗した人がまた企業に戻るのは難しいことですが、流動性の高いシリコンバレーではこうしたプロセスも一般的に存在し、彼らにとっては大企業がセーフティネットになっているのです。
 
また、日本ではネガティブなイメージを持たれやすいM&Aも、シリコンバレーではとてもポジティブなこととして捉えられています。
むしろベンチャー企業ではイグジット(M&Aや株式公開による投資回収)こそが大きな目的であり、ここでも日本との大きな意識の差を感じました。

技術よりも、いかにニーズを見つけるか

では、シリコンバレーの企業は実際どのように製品開発を進めているのでしょうか。
それを探る上で大きなポイントとなるのが、「開発スピード」と「ニーズに気付く力」です。

シリコンバレーのスタートアップ企業では、3~5年でイグジットまでたどり着くのが一つの目標となっています。それ以上は投資家の援助が期待できないため、この3~5年の間に勝負をかけ、素早くトライ&エラーを繰り返していきます。
さらに市場実態と照らし合わせて「いつ商品化できるか?どれくらい投資回収できるか?」を早い段階から考え、もし見込みがないと分かった場合は、すぐに諦めて次のニーズを探します。
なんだか拍子抜けするほどの切り替えの早さですが、こうしたフットワークの軽さや期間を明確にすることで開発スピードを促進するという点は、日本にも見習うべきところがあると感じました。
 
もう一つ、現地のエンジニアと話していて印象に残ったのが「技術よりも、いかにニーズを見つけるかだ」という言葉です。
実際にシリコンバレーで失敗と成功を繰り返してきた経験から、彼らはニーズ起点で考えることが何よりも重要だと教えてくれました。
日本の商品開発はどうしてもプロダクトアウトになりがちですが、技術は次第に移り変わるものであり、本当に重視すべきなのは「満たされていないニーズをどう見つけるか」という“ニーズに気付く力”ではないでしょうか。

まずは意識や視点から変えていく

シリコンバレーを視察した結果、グローバル製品を作る上で日本に足りない多くのものに気付かされました。
もちろん、今すぐに日本をシリコンバレーのような環境に変えることは難しいでしょう。しかし、意識や視点の持ち方など、内部的な要因であればすぐにでも見習うことができるはずです。
 
「見込みがなければすぐに次のニーズを探す」というフットワークの軽さやスピード感。
そして、プロダクトアウトではなく「ニーズ起点」で考えること。
まずはこの二つを意識することで、日本の開発環境も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
 
今回の調査では、自社のノウハウを活用して製品のコアなキーパーソンへのヒアリングに成功し、シリコンバレーでグローバル製品開発にかかわる人々の生の声を聞くことができました。
もし興味のある業界がある場合、プルーヴでは開発者や技術者、投資家といった主要な人へのアプローチから、グローバル製品の開発・展開までの支援を行うことも可能です。ぜひ一度ご相談ください。

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