新型コロナウイルス感染症の流行が続き、ビジネスにおいても大きな制限が続いています。そのような状況下で、中国に関する情報を十分に得られないと感じる海外戦略担当者の方も多いことと思われます。
今回プルーヴは中国の現状を把握するべく、当社のネットワークでコンタクトが取れた中国在住者を対象に、2020年4月にヒアリングを実施しました。4月下旬にもなると、中国では各都市で感染者の減少が続いたことで隔離義務などの感染抑止策が緩和されたという報道がある一方で、感染者が一度陰性になったにも関わらず再び陽性になったケースが報告されており、新型コロナウイルの感染抑制は一進一退の状況であったといえます。
ヒアリング対象とヒアリング項目
今回ヒアリングを行ったのは、上海・深セン・北京・三亜の各都市に住む計14人。そのうち1人は日本人で、残りの13人は中国人です。全員大学を卒業し、日本でいう大企業に勤務しており、いわゆる中流階級と呼ばれる人たちです。今回のインタビュー結果については、ヒアリングの対象人数が少ないこと、対象者のバックグラウンドがある程度近しいことから、内容に偏りが生じる可能性があることを事前にお伝えしておきます。
ヒアリング項目は主に仕事関係について、プライベートについて、中国メディアについての3つです。
仕事について
仕事に関しては、ほぼ全員が会社の業績が下がったと回答していました。中には勤務先の倒産を危惧している人もいます。しかし、ゲーム業界に勤務する人は「業績が大幅に上がっており、残業が増えて大変」と回答し、半導体メーカーに勤務する人は「リモートワークの普及によって通信機器の需要が増えている。半導体産業は今後活気づくのではないか」と答えています。新型コロナウイルスの影響でゲームや通信機器のニーズが高まっているという状況は、日本でも見受けられます。
業務の変化については、ほぼ全員が在宅勤務になり、会議も全てウェブで開催されているとのことでした(業務や仕事内容によっては出社している人もいるそうです)。この点も日本と変わりないようです。
また、移動に関しては、4月の時点では省をまたいだ移動は可能になりつつあるようでした。しかし、北京は主要都市の中で最も厳しい移動制限が続いているため、北京を拠点にしている人は他省への出張ができず、一部の業務が滞っていることを不便に感じているようでした。
プライベートについて
プライベートに関する意見としては、全員一様に「自由に外出ができないため、映画館やジムなどにいけない」「友達と会えない」としています。余暇の行動が制限されて不満に思う気持ちは、日本と変わりないようです。
その一方で、中国でもオンラインで交流することはあるそうですが、あまり活発ではないとのことです。そのため、日本のようにZoom飲み会が流行るといったムーブメントはないようです。
中国メディアについて
今回、中国在住者に中国メディアに関する質問をして感じたことは、中国のメディアを信頼している人が私たちの想像以上に多いということです。日本に住んでいる私たちは、「中国人は中国メディアを信頼していない」という言説を耳にすることがありますが、その内容とは対照的です。中には「国外のメディアより中国のメディアの方が信頼度が高い」という意見を寄せる人もいました。
私たちが見受ける限りでは、彼らはリテラシーが高くきちんと情報を判断できる人です。もちろん、彼らも中国メディアを全面的に信頼しているということではありません。中国メディアをある程度信頼した上で情報の真偽を自分で判断し、その判断には責任を取るという姿勢のようです。
今回のヒアリングで、彼らが想像以上に中国メディアと中国政府に信頼をおいており、今回のコロナウイルス感染症の広がりでその傾向がより強くなっているという印象を受けました。
中国在住者が考える「ポストコロナ」論
現在、日本や欧米のメディアでは、コロナウイルスの感染拡大が収束した後の世界はどうなるのかという「ポストコロナ」論が盛んになりつつあります。一方で、今回話を聞いた中国在住者のほとんどが「終わったら日常に戻るだけで、以前と変わらないのではないか」という意見を持っています。
彼らのうち2人から、この意見に至った理由を聞くことができました。その理由は主に3つあるそうです。
1つは、ITサービスの利用が中国ではすでにかなり普及していたことです。特に中国都市部では、アプリでランチを注文して宅配を依頼したり、買い物で電子決済を利用したりということは数年前から当たり前の様に行われていました。日本ではこれらのことはコロナ禍における影響として取り上げられています。しかし中国では以前から行われているので、彼らにとってはこのような状況下でも生活が変化した印象が薄いことが、この考えにつながるのだと思われます。
2つ目は、中国では以前より数年おきに疫病の流行があったということです。2000年代を振り返ってみても、2002年頃からはSARS(重症急性呼吸器症候群)が、2009年頃からは新型インフルエンザの流行がありました。そのため、彼らは感染症の流行に比較的慣れているといえるのです。
3つ目は、中国在住者は普段から中国政府による生活上の制限を受けていることです。そのため、このような状況に面しても他の国と比べると戸惑いが少ないようです。もちろん、普段と全く同じ生活ができるわけではありません。しかし、日本や欧米諸国の人々ほど普段の生活とのギャップを感じていない印象があります。
コロナショックによるマーケット分析・情報収集支援
プルーヴでは現在「コロナショックによるマーケット分析・情報収集支援サービス」の提供を行っています。プルーヴの持つネットワークから、あなたの関係する分野や業界の海外マケットの状況を収集し、今だからこそ正確な情報入手し、可能性のある海外進出や海外ビジネスについてお伝えできます。
長年にわたり海外進出や海外ビジネスを支援しているプルーヴだからこそ、分かることがあります。今できることを共に検討し、実行していきましょう。
<出典>
中国、北京含む北東部でコロナ抑制策緩和へ 感染減少が継続
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-china-easing-idJPKBN22B2TV
韓国そして中国でも「再陽性」増加 新型コロナウイルス、SARSにない未知の特性
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/sars-5_2.php
新型コロナウイルスが「追い風になる企業」「逆風になる企業」
https://friday.kodansha.co.jp/article/107665
中国発「新型肺炎」の爆発的流行は、どこまで警戒すればいいのかhttps://diamond.jp/articles/-/225982
新型インフルエンザ(A/H1N1)中国状況
http://www.wellbemedic.com/vt/newsfiles/20091210/influ20091210.pdf