国内で売れている商品やサービスを、海外でも販売しようとする企業は多いでしょう。
しかし、過去に海外進出した日本企業の中には、「日本では売れている商品が、海外では売れていない」ケースがあり、プルーヴでも相談を受けることがあります。
商品が売れないという問題は、市場以外のところに大きな問題が潜んでいることがあります。今回は、海外展開をする場合に見落としがちな現地パートナーとの「関係性」についてお話します。
売れない原因を把握できない
日本では売れる商品が、どうして海外では売れないのか。
その理由を現地の市場関係者にヒアリングすると、商品に対するネガティブな情報が集まってきます。
実は現地では需要がなかったり、他の製品の方が安く品質が良かったり、そもそも商品を購入するメリットがないというケースもありました。驚いたことにこれらを報告して初めて、日本企業は状況を知ることも少なくありません。
そこで疑問に上がるのは、われわれに相談するまで「なぜ商品が売れない原因を、把握できなかったのか?」ということです。売れる見込みがあって進出を決め、さらに現地パートナー企業との提携をしているにも関わらず、現地の状況を正確に把握できていないのはなぜなのでしょうか。
その理由を調べると、現地パートナーとの関係性が希薄になっているということに辿り着きました。
結果の追及ではなく、関係性の質をあげる
パートナーとのコミュニケーションは、実際に現地で会ったり、オンラインミーティングをしたりして取っていることでしょう。しかしそのコミュニケーションで、良い関係性が作れているのでしょうか。
現地に赴く頻度が極端に減ったり、オンラインミーティングで情報共有はするものの、結果だけを追及したりしていないでしょうか。
「売上は達成したのか?」「どうして達成できないのか?」と結果だけを追及されると、パートナー企業は萎縮してしまい、日本企業とのコミュニケーションの取り方、組織の在り方に対して、不満が溜まってしまいます。
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は、『ビジネスの成功は、同じ目標を目指す仲間との「関係性の質」を良くすること』だと提唱しています。
結果の質を改善するためには、行動の質を上げる必要がある。
行動の質を上げるためには、思考の質を上げる必要がある。
そして、思考の質を上げるためには、関係性の質を上げる必要があるという考え方です。
つまりはじめに関係性の質を良くすることが、結果の改善につながるのです。
海外の代理店に対して「結果」ばかりを追及してしまうと、パートナー側からしてみれば状況も知らないで結果ばかり求められるという不満が溜まり、協力する姿勢も低下し、大切な情報すら共有できなくなってしまっているのではないでしょうか。
出展:『ダニエル・キムによる組織の成功循環モデル』
https://heart-quake.com/article.php?p=852
海外パートナーから協力を得る方法
海外でビジネス展開をするということは文化の違いだけでなく、マネジメントやコミュニケーションも意識して理解しなければなりません。
特に日本企業は結果だけを追及し、現地の状況を理解したり、共感したりする視点が抜けがちです。関係が良くなれば現地企業もパートナーとして一緒に考えてくれるので、どうしたら売れるのか、良いアイデアが生まれることもあります。
しかし関係性が良くなっても、商品が売れないということはあり得ます。
その場合も売れない状況や理由を把握できていれば、その商品を見切り、近しい商品やサービスに切り替えたり、市場を変えたりすることもできます。予定していた商品は売れなくても、売上を上げるという目標は他の方法で達成できるのです。
このように日本企業と現地企業はひとつのチームとなって商品を売るからこそ、結果ではなく、目に見えない「関係性の質」を高めるべきだと理解すべきです。
たとえばオンラインミーティングでは結果追及型ではなく、雑談も無駄と考えずに関係性を作る手段として使ってみてもよいのではないでしょうか。
ビジネスを成功させるためには、現地企業と関係を築き、双方が納得した上でビジネスをすることが大切です。
プルーヴは日本企業と現地企業の架け橋として、働きやすい関係を作るための仕掛け作りやサポートをしています。現地に精通したコンサルタントがいるからこそ、現地に寄り添いながらお客様のビジネスが発展するように取り組んでいます。
『海外のパートナー(提携先・代理店)と「ゼロ」から「イチ」の信頼を作るポイント』
https://www.provej.jp/column/partner-point/