中国南西部に位置する広西チワン族自治区・柳州市という場所をご存知でしょうか。
柳州市は自動車産業や食品加工業が盛んな都市ですが、日本人にはあまり馴染みのない地名かもしれません。
そこで今回は柳州市の現状と、日本企業が見落としているエリアへの進出についてお伝えします。
田舎と都会のコントラストが鮮烈な中国・柳州市
マカオとハノイのちょうど中間あたりに位置する柳州市は、中国全体の約6割を占めるサトウキビの生産地としても知られています。
実際に現地を訪ねてみたところ、空港を出た瞬間から豊かな自然が広がっており、一面のサトウキビ畑や水墨画に描かれているような山々に目を奪われました。
しかし、それはあくまでも柳州市の一面に過ぎません。街の中心部へ行ってみると、今度は建物や橋などが幻想的にライトアップされており、何ともきらびやかな景色が広がっていたのです。のどかな自然の風景と近代的な都市景観のコントラストは非常に鮮烈でした。
柳州市はサトウキビをはじめとする農業が盛んな土地のため、それらを利用した食品添加物などの加工業も発達しています。こうした地元産業による税収を街の景観づくりに注ぎ込んでいるのかもしれません。
派手にライトアップされた川沿いには釣りやランニングを楽しむ地元民の姿もあり、どこか生活に余裕のある雰囲気を感じました。
柳州市における自動車産業の現状と日本企業の出遅れ
柳州市は食品加工業だけでなく自動車産業も発達しており、年間の生産台数は約250万台を誇ります。これは中国全体における自動車生産の約1割を占める数字です。
アメリカ自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の中国合弁会社である上汽通用五菱汽車(SGMW)が柳州市に本拠地を構えていることもあり、現地にはティアワン・ティアツーメーカーが集積し、特にドイツ企業は2018年時点で39社が進出しています。
実際の街中でも、SGMWの低価格ブランド「宝駿(Baojun)」の二人乗り小型EV(電気自動車)に乗っている人を多く見かけました。
実は宝駿のEVシリーズに乗っている人は駐車料金などの面で市の優遇が受けられるため、利用を推奨する動きがあるようです。充電設備も市内だけで600箇所以上が整備されており、自動車産業を中心とした街づくりが行われています。
さらに柳州市では2020年完成予定のモノレールが現在建設中であり、都市部と新しいビジネスエリアがつながることで産業全体がさらに発展すると予想されています。
しかし、これだけ食品加工業や自動車産業が発達している都市にもかかわらず、柳州市で日本人や日本企業と出会うことはほぼありません。我々がお客様と会話する中でも柳州市の名前が挙がることはなく、初めて知ったという方がほとんどです。
実際に調べてみても柳州市に進出している日本の自動車部品メーカーはたったの1社のみ(2018年末時点)であり、すでに39社も進出しているドイツに比べると相当な後れを取っていることが分かります。
日本企業が見落としているエリアへの進出
日本企業が海外進出を検討する場合、すでにマーケットがあるところを狙うのが従来の定石であり、プルーヴでもそういった進出のサポートに数多く携わってきました。
しかし、すでにマーケットが出来上がっているエリアへの進出は当然ながら競争が激しく、参入が困難なケースもあります。
その点、柳州市のようにマーケットがあるにもかかわらず日本ではまだ知られていない、あるいは今まさに出来上がりつつある都市であれば、競合も比較的少なく進出をスムーズに進めていくことができるかもしれません。
特に柳州市は日本での知名度が低いとはいえ、マーケットが大きく今後はよりインフラが発達していくことも予想されています。自動車産業などの重工業を中心としている企業にとっては、有力な進出候補先となるのではないでしょうか。
また、柳州市は自動車産業だけでなく食品加工業においても先進的な企業が集まっています。こうした分野の企業にとっても、提携やM&Aなどを含め、今は特に進出を検討しやすいタイミングと言えそうです。
このように、世界には日本企業が見落としている魅力的なエリアやマーケットがまだまだあるのかもしれません。
しかし、日本で広く知られていない場所や今後発展していくエリアに早くから手を打っていくことは、海外進出を考える上で非常に有効なアプローチとなります。こうしたエリアへの進出をお考えの方は、ぜひプルーヴにご相談ください。
【参考】
柳州市、ドイツとのスマートインダストリー発展フォーラムを開催
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/06/95575505502d5e24.html
【ハノイ重慶】自動車生産250万台の柳州 (4)日本企業の参入チャンスはhttps://www.nna.jp/news/show/1849140