レナー・コーポレーションとはどんな会社?会社概要や業績を紹介 

レナー・コーポレーション(以降は、「レナー」と言います。)は、アメリカに本社を置く住宅建設企業です。主な事業として、アメリカ国内で新築住宅の建設を手掛けています。本記事ではレナーの会社概要や経営状況、成長戦略について解説します。 

レナーとはどんな会社? 

出典:Lennar Corporation 

レナーは、アメリカの26州で新築住宅を建築している企業です。Reinforz Insightの「北米(米国・カナダ)の戸建住宅開発業界の最新動向と売上ランキング」によると、2023年の北米の戸建住宅開発業界において1位の売上高を達成しました。この章では、同社の会社概要や歴史、経営理念を紹介します。 

会社概要 

レナーの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Lennar Corporation 
本社 アメリカ 
設立 1954年 
進出地域 アメリカの26州 
住宅の引き渡し件数 80,210戸(2024年度) 
従業員数 13,265人(2024年11月30日時点) 
売上高 354億ドル(2024年度) 

歴史 

1954年に、ジーン・フィッシャー氏とアーノルド・ローゼン氏は前身企業のF&Rビルダーズを設立しました。1956年に起業家のレナード・ミラー氏が共同経営者に加わり、1971年に会社名をレナーに変更しました。 

1973年に、ユニバーサル・アメリカン・モーゲージ・カンパニーを設立し、住宅ローンの融資事業を開始。2000年に、USホームを買収し、事業規模を2倍に拡大しました。さらに、2017年に高級住宅建設業者のWCIコミュニティーズを買収し、2018年にカルアトランティック・ホームと合併することで、アメリカ最大の住宅建設企業に成長しました。 

このように、同社は積極的な買収戦略により事業を拡大させてきたことがわかります。 

経営理念 

レナーは経営理念として、以下の3つの価値観を柱に掲げています。 

・品質 

建築資材の品質を最大限に高めると同時に、コスト削減に努める。 

社内の品質保証プログラムと第三者の検査により、すべての新築住宅の品質を保証する。 

・価値 

最もニーズのある住宅機能を組み込むことで、優れた住宅購入体験を提供する。 

住宅ローンや保険のニーズに対応し、スムーズな取引を保証する。 

・誠実 

顧客・社員・株主・取引先・地域社会・環境に対して、最高レベルの誠実さを保持する。 

正しいことを正しい理由で行い、住まいの質向上に常に注力する。 

レナーの経営状況 

レナーの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。 

参考:レナー「SEC filings」 

2024年度の売上高は354億ドル(5兆3,100億円)で、2023年度の342億ドル(5兆1,300億円)と比較して、12億ドル(1,800億円)増加しました。また、2024年度の営業利益は59億ドル(8,850億円)で、2023年度の58億ドル(8,700億円)と比較して1億ドル(150億円)増加しました。売上高と営業利益が増加した理由は、後ほど事業ごとに解説します。※1ドル=150円換算 

また、同社はアメリカ国内のみで展開しており、海外への進出はしていません。 

レナーの事業別売上高の推移 

レナーの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:レナー「SEC filings」 

グラフから同社の売上高は大半が住宅建設事業によるものとわかります。ここではさらに、各事業の内容に加えて、売上高と営業利益の推移を紹介します。 

住宅建設事業 

住宅建設事業の主な内容は、一戸建て住宅の建設・販売や宅地の開発・販売です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:レナー「SEC filings」 

2024年度の売上高は339億ドル(5兆850億円)で、2023年度の327億ドル(4兆9,050億円)と比較して、12億ドル(1,800億円)増加しました。一方、2024年度の営業利益は53億ドル(7,950億円)で、2023年度の55億ドル(8,250億円)と比較して2億ドル(300億円)減少しました。売上高が増加した要因は、引き渡し住宅件数の増加が挙げられます。一方、営業利益が減少した要因は、平均販売価格が減少したことが挙げられます。 

金融サービス事業 

金融サービス事業の主な内容は、住宅購入者向けの住宅ローン融資や保険の提供です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:レナー「SEC filings」 

2024年度の売上高は11億1,000万ドル(1,665億円)で、2023年度の9億8,000万ドル(1,470億円)と比較して、1億3,000万ドル(195億円)増加しました。また、2024年度の営業利益は5億8,000万ドル(870億円)で、2023年度の5億1,000万ドル(765億円)と比較して、7,000万ドル(105億円)増加しました。売上高と営業利益が増加した要因は、引き渡し件数が増えたことによる住宅ローンの成約の増加が挙げられます。 

マルチファミリー事業 

マルチファミリー事業は、多世帯住宅の開発に携わるファンドを管理・運営し、新たに建設した物件の管理や資産として保有することを目的としています。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:レナー「SEC filings」 

2024年度の売上高は4億1,000万ドル(615億円)で、2023年度の5億7,000万ドル(855億円)と比較して、1億6,000万ドル(240億円)減少しました。一方、2024年度の営業利益は4,000万ドル(60億円)で、2023年度の5,000万ドル(75億円)の赤字と比較して、9,000万ドル(135億円)増加しました。売上高が減少したのに営業利益が増加した要因は、ファンドの資産売却益1億7,900万ドル(268億5,000万円)により相殺されたためです。 

レナーは経営戦略に土地軽量化戦略を採用 

レナーの経営戦略の特徴は、土地軽量化戦略を採用していることです。具体的には外部の宅地開発者がレナーに代わって土地を購入し、宅地が完成するとレナーの住宅建設事業に供給する仕組みです。この仕組みによって、2024年度には以下の効果がありました。 

  • 所有宅地の供給平均年数が前年の1.4年から1.1年に改善 
  • 管理宅地の割合が76%から82%に増加 
  • 在庫利益率が29.2%を達成 

つまり、土地軽量化戦略による効果は土地を保有するリスクの軽減に加えて、土地の在庫回転率を向上させることです。 

そして、この手法はいわゆるアセットライト経営に該当します。アセットライト経営とは、保有する資産を抑え、財務を軽くする経営手法です。製造業で例えると、工場を保有せずに生産を外部委託する方法が該当します。このように資産を減らすことで、リスクを分散できるメリットがあります。 

アセットライト経営に注目してみよう 

レナーは積極的な買収により、アメリカ大手の住宅建設企業へと成長しました。アメリカ国内に限定した事業展開であるものの、売上高が354億ドル(5兆3,100億円)に達しています。近年、そのレナーが注力している経営戦略が「アセットライト経営」です。この戦略により土地の在庫回転率が向上し、同社の成長を後押ししています。アメリカ市場に進出・展開を検討している不動産関係の企業様は、レナーが採用するアセットライト経営を参考にしてみてはいかがでしょうか。 

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