Steelcase(スチールケース)とはどんな会社? 

Steelcase(スチールケース)は、アメリカに本社を置く世界的なオフィス用家具メーカーです。100年以上の歴史があり、これまでに多くの革新的な家具を生み出してきました。本記事ではSteelcaseの会社概要や経営状況、成長戦略を解説します。 

Steelcaseとはどんな会社 

出典:Steelcase 

Steelcaseはいち早く金属製家具に可能性を見いだした企業で、とくにオフィス家具に強みがあります。deallabの「オフィス家具メーカーの世界市場シェアと業界ランキング」によると、同社は2022年のオフィス家具の世界市場シェアランキングで世界2位を獲得しました。この章では、同社の会社概要や歴史、経営理念を紹介します。 

会社概要 

Steelcaseの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Steelcase Inc. 
本社 アメリカ 
設立 1912年 
拠点 65拠点以上 生産拠点:15拠点 
進出地域 17カ国 
従業員数 11,300人(2024年度) 
売上高 32億ドル(2024年度) 

歴史 

Steelcaseは1912年に創業しました。当時は木製家具が主流だったため、オフィスの深刻なリスクが火事でした。タバコの吸い殻を籐製のごみ箱に捨てることや、紙の資料が散乱していることがあり、火災のリスクが非常に高かったためです。 

このような状況を解決するために、Steelcaseはまず耐火性に優れたスチール製キャビネットを開発しました。このキャビネットに書類を収納することで、火災が発生しても資料が燃えるのを防ぎ、延焼も抑えられると考えたためです。そして、1924年にスチール製のごみ箱を開発しました。これは、火災のリスクそのものを軽減できることから、大ヒットします。さらに1925年には金属製のテーブルを開発。このようにして、同社は当時において画期的な金属製家具のポートフォリオを拡充しました。 

1992年には業界初のディーラーネットワークを構築し、競争力を高めました。現在では世界中に約650のディーラーがあり、販売のほとんどをディーラー経由で行っています。その後も革新的な製品を開発し続けたSteelcaseは、1968年に世界最大のオフィス家具メーカーとなり、今もグローバルに活躍しています。 

経営理念 

Steelcaseは経営理念として、次のビジョンを掲げています。 

・ビジョン 

「Steelcaseでは、ビジネスが成功し成長するには、人々、地球、そして文化への配慮とバランスが重要であると信じています。また、良心的な企業は健全な環境、社会、ガバナンスを推進する上で積極的な役割を果たさなければならないとも考えています。」 

そして、同社が長年にわたって重視している価値観は次のとおりです。 

  • 誠実に行動する 
  • 真実を伝える 
  • 約束を守る 
  • 尊厳と尊敬をもって人々に接する 
  • 良好な人間関係を促進する 
  • 環境を保護する 
  • 抜きん出る 

これらの価値観は、同社の行動規範の基礎になっています。 

Steelcaseの経営状況 

Steelcaseの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。 

参考:Steelcase「Annual Reports」 

2024年度の売上高は32億ドル(4,800億円)で、2023年度より若干減少したものの同水準を維持しました。一方、2024年度の営業利益は1億2,000万ドル(180億円)で、2023年度の7,000万ドル(105億円)と比較して、5,000万ドル(75億円)増加しました。売上高が若干減少した主な要因は、海外での販売量の減少が挙げられます。一方、営業利益が増加した要因は、製品価格の引き上げが挙げられます。※1ドル=150円換算 

また、同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Steelcase「Annual Reports」 

同社は世界17カ国で事業を展開しているものの、アメリカ国内が主要市場であることがわかります。なお、グラフからSteelcaseの海外売上比率は28.8%です。 

Steelcaseの事業別売上高の推移 

Steelcaseの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Steelcase「Annual Reports」 

南北アメリカ事業は、アメリカ・カナダ・カリブ海諸島・ラテンアメリカにサービスを提供している事業です。国際事業は、ヨーロッパ・中東・オーストラリア・インド・中国・日本・韓国などにサービスを提供している事業です。 

このようにSteelcaseの事業は地域ごとに区分されています。その中核となるのが南北アメリカ事業です。ここでは、それぞれの事業における売上高と営業利益の推移を紹介します。 

南北アメリカ事業 

南北アメリカ事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:Steelcase「Annual Reports」 

※事業再編があったため、直近3年間のデータとなります。 

2024年度の売上高は24億ドル(3,600億円)で、2023年度と同水準を維持しました。一方、2024年度の営業利益は1億4,000万ドル(210億円)で、2023年度の8,000万ドル(120億円)と比較して、6,000万ドル(90億円)増加しました。営業利益が増加した要因は、製品価格の引き上げが挙げられます。 

国際事業 

国際事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:Steelcase「Annual Reports」 

※事業再編があったため、直近3年間のデータとなります。 

2024年度の売上高は7億4,000万ドル(1,110億円)で、2023年度の8億ドル(1,200億円)と比較して、6,000万ドル(90億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は3,000万ドル(45億円)の赤字で、2023年度の1,000万ドル(15億円)の赤字と比較して、2,000万ドル(30億円)赤字が拡大しました。売上高と営業利益が減少した要因は、販売量の減少が挙げられます。 

Steelcaseの成長戦略 

Steelcaseは成長戦略として、次の4つの柱を戦略的優先事項に掲げています。 

  • 職場の変革を主導 

大企業へサービスを提供し市場シェアを拡大​​する 

新しい働き方において最も信頼できるパートナーになる 

製品イノベーションを推進する 

  • サービスを提供する顧客と市場セグメントの多様化 

中小企業の市場シェアを拡大​​する 

消費者向けビジネスを拡大する 

  • 収益性の向上 

効率性の追求により運営を最適化する 

5,000万ドル以上のコストを削減する 

戦略的優先事項への投資を再配分する 

  • 私たちのビジネスを利用して、世界がより良くなるように支援する 

同社はこれらにより、「揺るぎない外部への取り組み」「洞察に基づく革新的な製品開発への取り組み」「シームレスで感動的な顧客体験の創造への粘り強い取り組み」を実現するとしています。 

Steelcaseは金属製家具という革新的アイデアで
成長 

Steelcaseは、2022年のオフィス家具の世界市場シェアランキングで世界2位を獲得した企業です。同社が成功した要因として、設立当初、革新的アイデアだった金属製家具に可能性を見出したことです。これが現在のオフィス家具での優位性につながっています。そのため、Steelcaseはアイデアの重要性を示す成功事例と言えるでしょう。 

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