選挙人とは?2024年アメリカ合衆国大統領選挙をわかりやすく解説

2024年11月5日に、第60回アメリカ合衆国大統領選挙が行われます。選挙まであと1年になった今、アメリカの2大政党である民主党・共和党の候補者選びが本格化しています。

バイデン大統領が再選できるか、トランプ氏が返り咲くか、あるいは新しいリーダーが誕生するのか、世界中から注目されている選挙です。

本記事では2024年のアメリカ合衆国大統領選挙の概要や動向、争点などをわかりやすく解説します。

選挙人とは?アメリカ大統領選挙の仕組み

アメリカ大統領選挙は独特な仕組みで、270人以上の「選挙人」を獲得した候補者が次期大統領に選出されます。投票数の一番多い候補者が選ばれるとは限らないため、わかりにくいと感じる方もいるでしょう。

選挙の仕組みを簡単に説明すると、アメリカの50の州には人口に応じて「選挙人」が割り振られています。選挙では各州で投票し、ほとんどの州の場合、勝者が選挙人を総取りします。

※ネブラスカ州とメーン州は得票率で選挙人を配分

例えばカリフォルニア州は55人の選挙人が割り振られており、勝利すると55人の選挙人を獲得できるといった具合です。言い換えると、どれだけ接戦しても負けると選挙人を1人も獲得できません。

そのため、アメリカ全土で投票数の多い候補者が敗北することもあります。

実際に、2016年に行われたクリントン氏とトランプ氏の大統領選挙では、クリントン氏が260万票以上も多く獲得したのにトランプ氏が勝利しました。

つまり、選挙人が多く割り振られた州をいかに勝利できるかがアメリカ大統領選挙のポイントです。

アメリカ大統領選挙のスケジュール

アメリカ大統領選挙は4年ごとに行われ、選挙日は「11月の第1月曜日のあとの火曜日」と決まっています。そのため、次回のアメリカ大統領選挙は2024年11月5日です。

通常、アメリカ大統領選挙は以下のスケジュールを2年かけて行います。

  • 立候補

選挙の前年の春ごろに、大統領選挙へ出馬したい方が立候補します。

  • 党員集会・予備選挙

民主党・共和党の各候補が党の大統領候補になるには、党員集会や予備選挙で代議員の支持の獲得が必要です。代議員とは、全国党大会に出席する州を代表する党員のことです。

党員集会は、各州や各選挙区などで行われる党員による話し合いで代議員を決定します。また代議員を予備選挙で決める州もあります。

2024年アメリカ大統領選挙の各党の開始日は、以下のとおりです。

共和党:1月15日にアイオワ州の共和党党員集会からスタート

民主党:2月3日にサウスカロライナ州の予備選挙からスタート

さらに党員集会・予備選挙の集中日をスーパーチューズデーと呼び、次回は2024年3月5日の予定です。スーパーチューズデーの結果で、各党の候補者が誰になるのかが大筋でみえてきます。

  • 全国党大会

夏の全国党大会で、選出された代議員により党の大統領候補が決定します。2024年のスケジュールは以下のとおりです。

共和党:7月15日~18日

民主党:8月19日~22日

  • 本選挙

各党の大統領候補が選出されると、いよいよ本選挙です。選挙に勝利すると、大統領就任式は2025年1月20日に行われます。

アメリカ大統領選挙で注目を集めている候補者

通常、候補者は前年の春ごろから立候補していました。しかし、2024年のアメリカ大統領選挙では、2022年11月という異例の速さで共和党のトランプ前大統領が立候補します。そのトランプ前大統領の対抗馬として、期待されているのはフロリダ州知事のデサンティス氏です。

2024年のアメリカ大統領選挙は、民主党のバイデン大統領、共和党のトランプ前大統領とデサンティス氏が有力候補とみられています。

民主党のバイデン大統領の再選にむけた動き

現アメリカ大統領のバイデン氏は、当初立候補するかどうかで注目されていました。再選すると任期を終えるときは86歳のため、「大統領の激務を果たせるのか?」と疑問視する声が少なくないためです。

そのような声が聞かれるなか、2023年4月にバイデン大統領は立候補を表明しました。

現在の民主党の候補者は以下の3名です。

  • ジョー・バイデン氏(現アメリカ大統領)
  • ディーン・フィリップス氏
  • マリアン・ウィリアムソン氏

現状、民主党の大統領候補はバイデン氏が有力視されています。またバイデン氏は年齢が懸念点であるものの、共和党の有力候補のトランプ氏は犯罪捜査の対象のため、バイデン氏に追い風が吹くかもしれないと注目されています。

2024年のアメリカ大統領選挙は世代交代になるのか否か

バイデン氏の懸念点は年齢ですが、共和党のトランプ氏も同様の問題を抱えています。トランプ氏は現在77歳で、任期を終えるときには80歳を超えるためです。

そこで共和党のデサンティス氏が注目されています。デサンティス氏は44歳でフロリダ州知事などの優秀な経歴を持ち、バイデン氏の対抗馬になると期待されているためです。

しかし、トランプ氏には岩盤支持層と呼ばれる熱烈な支持者がいるため、共和党の大統領候補はトランプ氏が有力との見方もあります。共和党の候補者が誰になるのかは、2024年のアメリカ大統領選挙で注目すべきポイントの1つです。

2024年選挙における重要な争点

アメリカでは2022年に中間選挙が行われました。中間選挙は大統領選挙の中間の年に実施されるため、そのように呼ばれています。内容は、連邦議会の上院・下院の議員選挙や州知事選挙です。

2022年11月の中間選挙では、共和党が圧勝するとみられていました。しかし、蓋を開けてみると共和党は下院で過半数を獲得するものの、上院では民主党が過半数を獲得します。

共和党が圧勝とみられていたのに、中間選挙で民主党が善戦した要因は中絶問題です。

2022年5月に、女性が人工妊娠中絶を受ける権利を合法化した、1973年の「ロー対ウェイド判決」を連邦最高裁が判決を覆しました。これにより、一部の州ではすでに人工妊娠中絶が禁止されています。

この「ロー対ウェイド判決」を覆したのは、公約に掲げていたトランプ前大統領が最高裁判事に保守派裁判官を指名していたためです。「中絶が犯罪となる」ことに危機感を覚えた女性が、中間選挙で民主党に投票したことで善戦したと考えられています。

一方、バイデン氏は人口妊娠中絶の権利擁護を訴えており、2024年のアメリカ大統領選挙でも重要な争点にする構えです。

共和党はウクライナ戦争関与が争点に

もう1つの大きな争点はウクライナ戦争への関与です。

共和党の有力候補とみられているデサンティス氏は、ウクライナや周辺国への支援はアメリカの国益にとって重要ではないとの認識を示しています。トランプ氏も同様で、ウクライナへの支援を見直す考えです。

つまり、共和党は有力候補のどちらが選ばれても、ウクライナ戦争への関与の仕方が争点になります。

まとめ

2024年のアメリカ大統領選挙は現アメリカ大統領のバイデン氏、前アメリカ大統領のトランプ氏、フロリダ州知事のデサンティス氏が有力候補です。

アメリカの大統領は、世界中に大きな影響を与えます。先に紹介したアメリカ内の妊娠問題だけではなく、ウクライナ支援などのように、世界の安全保障においても大きな転換点になりかねません。その影響力の大きさから、2024年のアメリカ大統領選挙における各候補者の発言や、今後の動向に注目していきましょう。

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