食品メーカーの世界ランキングと日本企業の海外戦略を解説【2026年最新】

食品産業は食を支える基盤です。2023年時点では国内生産額が105兆円、就業者数が791万人で日本経済の中核を担っています。しかし、日本では少子高齢化や人口減少が進行しており、今後は国内市場の縮小が見込まれています。こうした環境下で日本企業が持続的な成長を実現するためには、海外市場への進出がこれまで以上に重要です。

本記事では、食品メーカーの世界ランキングをもとに世界市場の現状を整理し、日本の大手企業の海外戦略をわかりやすく解説します。※2026年3月時点の情報をもとに執筆しています。

日本の食品業界の現状

日本の食品業界は、2020年に新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだものの、その後は回復基調に転じています。食品産業の国内生産額の推移は次のとおりです。

出典:農林水産省「食品産業をめぐる現状と情勢の変化

食品産業は、日本の国内生産額の約9%を占める重要な基幹産業です。

また、輸出に目を向けると、農林水産物・食品の輸出額も増加が続いています。2024年の農林水産物・食品の輸出額は1兆5,071億円で、そのうち加工食品が5,340億円でした。品目別ではアルコール飲料、ソース混合調味料、清涼飲料水が続いており、日本の食品が世界市場に広まっています。

出典:農林水産省「食品産業をめぐる現状と情勢の変化

こうした輸出拡大の背景には、日本食ブームの広がりや、インバウンド需要による認知度向上、さらには健康志向の高まりなどが挙げられます。

消費財全体の構造や特徴については、こちらの消費財業界の解説もあわせてご覧ください。

食品業界の世界市場規模

Precedence Researchの調査によると、世界の食品・飲料市場は今後も成長が見込まれています。2025年の市場規模は8兆7,100億ドルで、2034年には14兆7,200億ドルへと拡大する見通しです。年平均成長率は約6%と安定した成長が続くと予想されています。

同レポートでは成長要因として、次の項目を挙げています。

  • 世界的な人口増加
  • 機能性食品や栄養強化食品、手軽に食べられる食品、植物由来の代替食品への需要拡大
  • ECプラットフォームの拡大

実際に世界人口は増加を続けており、2024年の82億人から、2080年代半ばには103億人に達すると予測されています。つまり、今後60年にわたり、世界では人口が増加する見込みです。

一方で、日本は人口減少が進行しているため、国内需要だけに依存した成長には限界があります。このような背景から、日本の食品メーカーにとって海外進出は成長を左右する重要な戦略です。

参考:Precedence Research「Food and Beverages Market Size to Reach USD 14.72 Trillion by 2034, Driven by Functional Foods and E-commerce Expansion

食品メーカーの世界ランキング【トップ10】

食品業界の世界市場の構造を把握するため、日本食糧新聞のデータをもとに、食品メーカーの2024年の世界ランキングトップ10を紹介します。

順位企業名売上高国・地域カテゴリ
1位Nestlé SA(ネスレ1,011億ドルスイス食品総合
2位PepsiCo(ペプシコ919億ドルアメリカ食品総合
3位Archer Daniels Midland(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド855億ドルアメリカ穀粉加工
4位Procter & Gamble(P&G843億ドルアメリカ食品総合
5位JBS S.A.772億ドルブラジル食肉加工
6位Unilever PLC(ユニリーバ761億ドルイギリス食品総合
7位Wilmar International(ウイルマー・インターナショナル)634億ドルシンガポール穀粉加工
8位AB InBev(アンハイザー・ブッシュ・インベブ619億ドルベルギービール
9位Tyson Foods(タイソン・フーズ)533億ドルアメリカ食肉加工
10位Mars, Incorporated(マース・インコーポレイテッド)500億ドルアメリカ菓子

参考:日本食糧新聞「2024年度世界食品メーカー売上高ランキング100 企業数・規模ともに米国抜群

ランキングを見るとアメリカの存在感は大きく、トップ10に5社ランクインしています。一方で、日本企業はトップ10に入っておらず、上位企業との事業規模に差があるのが現状です。

ランキングから見る世界大手企業の特徴

世界の食品メーカー上位企業には、共通する特徴がいくつか見られます。

① グローバル展開

多くの上位企業の特徴は北米・欧州・アジアなど、世界各地で事業を展開している点です。収益源を分散することで、安定した売上を確保しています。

② 総合化と専門化

上位企業の多くは食品総合企業です。事業ポートフォリオを多角化することで、売上を拡大しています。一方で、穀粉加工や食肉加工のように専門分野に特化することで競争優位性を築いている企業が多いのも特徴です。

このように、「グローバル展開」と「多角化・専門化」という組み合わせが、世界の大手食品メーカーに共通する戦略と言えます。

日本の大手企業の海外戦略

日本食糧新聞によると、2024年度世界食品メーカー売上高ランキング100にランクインしたアメリカ企業は25社でした。次いで多いのは日本の19社、3位に12社の中国が続きます。このように、日本の食品メーカーはトップ10にランクインしていないものの、世界市場で活躍する企業が多いのも事実です。そこでここでは、世界で活躍する大手企業3社の事業内容と海外戦略を紹介します。

サントリーホールディングス株式会社

出典:サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングス株式会社は、ウイスキーやビール、清涼飲料水などを開発・販売する日本の大手食品メーカーです。国内では「BOSS」「伊右衛門」「サントリーウイスキー山崎」など、多くの人気ブランドを展開しています。

同社の海外戦略の特徴は、M&Aを軸にグローバルブランドを獲得し、欧州・アジア・オセアニア・米州を含む80カ国以上で事業を展開している点です。実際に、2014年にはアメリカの大手ウイスキーメーカーで、「ジムビーム」で知られるビーム社を買収しました。

その結果、2024年の海外売上比率は57%に達しています。

また、清涼飲料や健康食品など酒類以外の事業も積極的に展開しており、多様な事業ポートフォリオが海外売上の拡大を支えています。

味の素株式会社

出典:味の素株式会社

味の素株式会社は調味料や加工食品、アミノ酸、健康食品などを手掛ける日本の大手食品メーカーです。国内では「味の素」「ほんだし」「クノール」などのブランドで広く知られています。

同社の海外戦略の特徴は、現地生産を軸に各地域のニーズに応じた製品展開を行っている点です。世界24カ国に117の生産拠点を構えることで、世界市場での競争力を高めています。

また、ヘルスケアや電子材料などにも事業領域を拡大している点も強みです。こうした多角的な事業展開により、2025年3月期の海外売上比率は65.7%に達しています。

日清食品ホールディングス株式会社

出典:日清食品ホールディングス株式会社「海外事業

日清食品ホールディングス株式会社は、即席麺を中心にシリアルや冷凍食品などを展開する日本の大手食品メーカーです。「カップヌードル」や「チキンラーメン」などのブランドで知られています。「カップヌードル」は、世界100カ国以上で販売され、販売額が約2,500億円を超えるなど、グローバル市場で存在感を高めています。

同社の海外戦略の特徴は、ローカライズを軸に各国・地域の嗜好に合わせた商品開発を行っている点です。例えば、アメリカでは本格的なアジア風フレーバーを打ち出し、メキシコでは刺激的でクセになる味わいの商品を展開するなど、市場ごとに差別化を図っています。

2025年3月期の海外売上比率は37.8%となっており、年々上昇しています。

まとめ

日本の食品産業は、人口減少の影響により国内市場の縮小が予想されています。一方で、世界に目を向けると、人口増加や健康志向の高まりを背景に、食品需要は今後も拡大する見込みです。世界ランキングのトップ10に日本企業は入っていないものの、多くの日本企業が独自の強みを生かし、海外市場で活躍しています。今回紹介した3社の海外戦略は、他の産業にとっても参考となるでしょう。

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