イスラム圏への進出・展開拠点としてのマレーシアの魅力

マレーシアのスーパーなどの売場を歩いていると、お菓子やコーヒーなどの加工食品は、ローカルメーカーの製品がそのほとんどを占めており、驚きます。どの国に行っても見かけるグローバルメーカーの製品は、わずかしか置かれていないのです。

 
なぜ、そのような状況なのでしょうか?

 
また、現在のマレーシアは、イスラム圏へ事業進出する際、東南アジアの中でゲートウェイの役割を担う存在としても注目されています。

 
加工食品売場でグローバルメーカーを見かけない理由と、イスラム圏進出の際にゲートウェイとして注目されている理由、これらが現場を視察する中でわかってきました。イスラム圏へ進出する際に考慮すべきポイントとともにお伝えします。

イスラム教徒に合った食品を提供することのできる国 マレーシア

マレーシア国民の宗教と食

マレーシア国民の宗教の割合は、イスラム教(連邦の宗教)(61%),仏教(20%),儒教・道教(1.0%),ヒンドゥー教(6.0%),キリスト教(9.0%),その他となっています。

 
最多の割合であるイスラム教では、食事の面において口にすることが禁止されているさまざまな食材(「ハラム」と呼ばれる)があります

 
ハラム食材で主なものは、ショートニング、ラード、バニラエッセンスが入ったもの、豚肉、ベーコンやソーセージ、ハムなどの豚製品(イスラム圏のベーコンやハムは牛肉を使ったものが一般的)、ビール、ワイン、リキュールなどアルコールドリンク全般とそれらが入ったものなどが挙げられます。

 
よく知られている豚肉やアルコールだけではなく、それらの加工食品もハラム食材にあたります

 
このように、イスラム教における食は、伝統的なものを重んじていることもあり、さまざまな習慣に関してまだまだクローズドな部分が多いと言えます。

マレーシアで取得可能な食品に関する認証制度

このような宗教的背景もあり、マレーシアではイスラム教徒やユダヤ教徒が安心して食事ができるように、食品製造・販売に関する認証制度を取得することができます。

主な3つの制度をご紹介します。

 

1.ハラル認証制度

イスラム教において、食べることのできる食材を「ハラル」と呼びます。
食品加工技術、流通が発達するにつれ、目の前の商品がハラルなのか、ハラムなのか判別しづらくなってきました。

 
そこで宗教と食品科学の2つの面から、専門家がハラルであることを保証する制度「ハラル認証」が登場しました。1970年頃にマレーシアで始まったと言われています。

 
ハラル認証制度には「農場からフォークまで」の考え方があり、原料から流通・製造まで、そして消費者が口にする瞬間までハラルであるべきと考えられています。

 
そのため製造現場では、施設・設備が常にハラルである事、使用する原料が常にハラルであることが監査されます。そしてその製造現場で作られた製品がハラルであることが認証されます。また、製品に限らず、従業員教育や組織としてのマネジメント体制の確認も求められます。

 
しかし、宗派などの見解の違いから、ハラルについての解釈が異なるため、ハラル認証には世界的な統一基準がまだ存在しません。

 
数ある認証制度の中で、マレーシアのハラル認証は、その歴史や厳格な基準により、イスラム教徒からの信頼性が高い認証とされています。

 

2.HACCP(ハサップ)

Hazard Analysis and Critical Control Pointの略称。

食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法のことを言います。

 
この手法は国際的に認められており、国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され、各国にその採用を推奨しています。 

 

3.コーシャ

コーシャ(Kosher)とは、ユダヤ教で定める食べ物に関する規定のことです。
コーシャである食品とは、自然の産物である、魚(限られた種類)、特殊な屠殺のみによる牛肉、羊、鳥肉など、野菜、果物などを指します。

 
一般的に人が口にするものが対象となるため、薬、サプリメント、調味料、その他の食品などもその範疇に入ります。

加工食品に関しては、その製造過程で混ざり物、身体に安全でないものなどが入らないように厳しく管理されて加工されたもののみが、コーシャの食品として認められます。

 
コーシャの食品と認定された場合には、コーシャの印を製品に印刷することができます。

 
それぞれのイスラム圏の食品業界を見ても、制度的に輸出入が難しく、結果的に国産のものが多く製造・販売されています。

 
実際に、加工食品(ココアやコーヒー、チョコレートなどのお菓子)の売り場を見ると、グローバルメーカーがわずかにあるくらいで、ほとんどは国産のローカルメーカーの製品が並んでいます。

イスラム圏 加工食品売場
国産のローカルメーカーが並ぶ風景 チョコレート
イスラム圏売場風景 ココアやコーヒー

 
このような状況の中で認証を取得している企業の製品は、イスラム教徒から見ても信頼でき、安心して口にすることができます。そして、イスラム圏に進出を考えている食品業界の企業からしても、さまざまな認証制度を取得することのできるマレーシアを拠点に、と考えるのが最近のスタンダードとなりつつあります。

グローバルサプライチェーンの生産拠点として機能しているマレーシア

マレーシアが注目されるポイントがもう一つあります。それは、地理的に見てもイスラム教徒の多い中東や南アジアに製品を届けやすいという点です。

地図 マレーシアとイスラム教徒の多い地域

 
例えば、他のASEAN諸国に比べ、人口約2億人のパキスタンや約1.6億人のバングラデシュ、中東の物流ハブであるUAE(アラブ首長国連邦)などのイスラム教徒の多い国に近く、船で製品を運ぶことができます。

 
イスラム教徒でも口にすることのできる食品をマレーシアで製造し、南アジアや中東に輸出しているのです。

 
また、南アジアや中東だけでなく、コーズウェイとセカンドリンクという2つの橋国境で行き来することができるシンガポールにも輸出しており、マレーシア製の食品をシンガポールで販売しているケースも見られます。

 
実際に、コカ・コーラの商品はマレーシアで製造されたものが、マレーシアとシンガポール市場で売り出されていると現地の方から聞きました。

南アジア・中東のイスラム圏を見据えるのであれば生産拠点はマレーシアが最適

このように、マレーシアに生産拠点を置くことで、グローバルサプライチェーン(原料から製品・サービスが消費者の手に届くまでの全プロセス)が実現しやすくなるのです。

 
もちろん、メリットばかりではありません。

 
現在のマレーシアは多くの工場ができつつあり、雇用が生み出されようとしています。しかし、マレーシアは、失業率が低い国でもあり、他の東南アジア諸国と比較すると、賃金が高い傾向にあります。(年収一万ドル程度)

 
それでもイスラム圏への進出を考えているのであれば、まずは食品関係の認証制度が整っているマレーシアに進出することを考えるのがよいでしょう。

 
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