イギリス進出の際に気をつけたい安全衛生に関するルールと、働き方をローカライズすることの必要性

今回は、ロンドンを訪れた際に耳にしたイギリスの従業員を守るための安全衛生に関する制度と、海外進出の際に見落としがちな「働き方のローカライズ」という視点についてお伝えします。

意外と知らないイギリスの労働安全のルール

あまり知られていないことかもしれませんが、依然として日本企業が進出する機会の多いイギリスでは、労働安全衛生法とその実施規則に基づいて決められたルールが数多く存在しています。以下に、今回の滞在で耳にしたものの中から印象的だったものを、いくつか挙げたいと思います。

 
例えば、

  • 従業員が腰痛を訴えたら椅子を取り替えるなど何かしらの対策を講じる必要があります。
  • 職場に妊娠中の女性がいたら、椅子や机の角度が妊娠中の身体に適切か否かを専門家の目でチェックしてもらわなければなりません。
  • 5人以上のスタッフを雇用する事業所は、安全衛生の担当者を置くことが義務づけられています。

 
小さな企業でそのような担当者を置く余裕がないというニーズに応え、イギリスには労働衛生専門のコンサルタントもいるのです。事業所は担当者やコンサルタントによる定期的なチェックを受け、職場の安全衛生の保持に努めなければなりません。

 
さらに、従業員が毎日1時間連続してディスプレイ画面装置(PCやタブレットが該当)を使用する事業所は、キーボード・マウス・トラックボール・ディスプレイ画面・ソフトウェア・家具・作業環境についてチェックリストに基づいて評価し、従業員の健康を損なうリスクを発見した場合には対策を講じなければいけません。この作業は“Display screen equipment workstation and assessment(PC環境・デスク周りの評価)”と呼ばれています。従業員が心身の不調を訴えた場合はもちろんのこと、職場で席替えや配置換えなどを行い、それまでと違う場所に従業員を配置した場合などにもチェックリストに基づいた評価を行う必要があります。

 

Health and Safety ExecutiveHealth and Safety Executive

このような安全衛生に関する行政を担っている機関はHealth and Safety Executive(日本では「安全衛生庁」と訳されています)と呼ばれ、約4,000人の職員が安全衛生業務に従事しています。日本の安全衛生法は1972年に、イギリスの労働安全衛生法は1974年に制定されているので、日本とイギリスの安全衛生に関する歴史はほぼ同じ長さです。しかし、その意識や施策の充実度は全く違うものだということが分かります。

働き方のローカライズが重要な理由

海外進出を行い、現地でビジネスを成功させるために最初に考えるべきなのは、やはりマーケットやビジネスモデルの展開・営業やPRのことです。しかし、現地で継続してビジネスを行うためには、現地の商習慣や働き方のルールを考慮する必要があります。

 
海外進出の最初の時期は、オフィスの中にいるのは日本人だけというケースもあるかもしれません。しかし、進出後に関係を築いていくのは現地で働く人たちです。ですから、現地の働き方や商習慣を理解し、働き方をローカライズすることを忘れてはいけません。実際に、現地の働き方や商習慣を知らないまま進出してしまう日系企業も皆無ではありませんし、そもそも現地の基準を満たしていないというケースも考えられます。

 
その際に、今回取り上げたような現地のルールを取り入れることは非常に重要です。もし、このようなルールや商習慣を知らずにビジネスを行っていた場合、サービスや製品を展開できないということも考えられます。さらに、現代ではそのような行動は人権を損なう行為として世界的に問題視される可能性もあります。

 
働き方をローカライズすることは、従業員のモチベーションを向上させることに繋がり、ひいてはビジネスの発展にまで影響することがあります。そもそも海外進出を検討する際には、現地の働き方に関しても事前に把握することをおすすめします。

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