パナソニックは、海外進出を成功させた代表的な日本企業です。アメリカ・中国・欧州など、グローバルに活躍しています。
本記事ではパナソニックが海外進出を成功させた秘訣を紐解いていきます。海外進出を目指している企業の方はヒントになりますので、ぜひご覧ください。
パナソニックの会社概要と海外展開状況
パナソニックは、「経営の神様」とうたわれた松下幸之助氏が1918年に創業した「松下電気器具製作所」を起源とする企業です。
パナソニックの現状を知るために、本章では下記の3つのポイントについて紹介します。
- 会社概要
- 売上高・海外売上比率
- 展開している海外地域
①パナソニックホールディングス/会社概要
パナソニックホールディングスの会社概要は以下のとおりです。
創業者 | 松下幸之助氏 |
創業年月 | 1918年3月 |
設立年月 | 1935年12月 |
従業員数 | 233,391名(2023年3月) |
グループ会社数 | 524社 |
本社 | 大阪府門真市 |
時価総額 | 4兆3,399億円(2023年6月) |
既存事業 | ・家電 ・照明 ・住宅建材 ・電子システム ・デジタルカメラ ・新築戸建 ・賃貸住宅 ・物流システム ・業務コンサル など |
パナソニックは「松下電気器具製作所」の事業拡大により、1935年に前身企業である「松下電器産業株式会社」を設立しています。
設立当時で従業員約3,500人、製造品目も約600種で、すでに販売網を海外まで伸ばしていました。
②売上高/海外売上比率
パナソニックの直近の状況を確認するために、2022年度の売上高や海外売上比率について紹介します。
売上高:8兆3,789億円(2022年度連結決済)
海外売上比率:60%(2023年3月)
また2023年度の事業見通しとして、過去最高水準である8兆5,000億円を見込んでいます。
これらの数値からも、パナソニックが海外進出で成功している日本企業といえるでしょう。
③展開している海外地域
パナソニックは全世界で数百の拠点を持つグローバル企業に発展しており、主要な海外拠点だけでも以下の拠点数があります。
地域 | 拠点数 |
---|---|
中国/北東アジア | 37拠点 |
欧州 | 12拠点 |
アジア/オセアニア | 38拠点 |
ISAMEA(中近東・アフリカ) | 5拠点 |
北米 | 4拠点 |
中南米 | 4拠点 |
パナソニックは松下幸之助氏が創業して以来、「生産・販売活動を通じて、社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること」を経営理念としています。
そのため、1935年の設立時からすでに海外進出を図っていたように、海外展開に非常に積極的な企業です。
例えば、1959年にはアメリカ松下電器(現・米Panasonic)を設立していますし、1967年までにタイやメキシコ、オーストラリアなどにも進出しています。
また国内で注目された動きといえば、2008年の国内向け白物家電ブランド「ナショナル」の廃止です。その際、ブランド名を海外で知名度の高かった「パナソニック」に統一し、企業名も合わせて現在の「パナソニック」に変更しています。
このように、パナソニックの海外展開を考慮したブランディングには長い歴史があります。
パナソニックのグローバル展開が成功した要因
海外の売上比率が60%に達するほど、パナソニックのグローバル展開が成功した要因は以下の3つです。
- ブランド価値の確立
- 地域に合わせた戦略の展開
- イノベーションと技術の追求
①ブランド価値の確立
パナソニックがグローバル展開に成功したのは、海外でのブランド価値を確立できたためです。
その証拠として、ブランド価値を評価してランキングする「Best Global Brands 2022」にて第91位を獲得しています。
ちなみに「Best Global Brands 2022」のトップ10は以下のとおりです。
順位 | 企業名 |
---|---|
1位 | Apple |
2位 | Microsoft |
3位 | Amazon |
4位 | |
5位 | Samsung |
6位 | Toyota |
7位 | Coca-Cola |
8位 | Mercedes-Benz |
9位 | Disney |
10位 | Nike |
このようにグローバルに活躍する企業が名を連ねるランキングに入賞したのは、早くから海外向けのブランディングに取り組んでいた成果といえます。
②地域に合わせた戦略の展開
パナソニックが海外進出に成功したのは、地域に合わせた戦略を展開したためです。
例えば、インドの権限譲渡が挙げられます。パナソニックのインドへの進出では、開発や資源調達をインド事業開発センターに譲渡することで、現地の生活様式を反映した用品の開発・投入を実現しています。
従来は、日本市場で受け入れられた商品を海外展開するのが主流でした。しかし、海外では各国で独自の価値観が芽生えており、従来のやり方では結果がでにくくなっています。
そのような時代背景のなか、パナソニックは現地のニーズ・価値観に寄り添った商品開発が功を奏しています。
③イノベーションと技術の追求
引用:パナソニック Panasonic GREEN IMPACT
創業者の松下幸之助氏の有名な言葉に「企業は社会の公器」があります。企業は社会の一部であり、社会に対して貢献する責任があることを示している言葉です。
これは現在のパナソニックグループにおいても基本的な考え方で、社会とともに発展するためにイノベーションと技術を追求し、豊かで利用的な社会の実現を目指しています。
持続可能性が問われる現代においては、研究開発投資比率が63.9%に達するほどサステナビリティやウェルビーイングに注力し、次世代の技術を追求しています。
このような世界的な社会問題に対して、社会をより良くするためのイノベーションや技術力が海外進出に成功した要因です。
パナソニックが海外市場で成功した事例
パナソニックはグローバルに活躍しているため、海外市場において成功した事例がいくつもあります。今回はそのなかでも3つの事例について紹介します。
①中国市場に日本で最も早く進出
パナソニックは1987年に北京にテレビのブラウン管工場を建設するなど、中国市場に日本で最も早く進出した企業の1つです。
現在では中国全土で事業規模が1兆円を超え、6万人が勤務するほどに拡大しています。これほど深い関係を構築できたきっかけは、創業者の松下幸之助氏と鄧小平氏との直接会談で、中国進出・技術指導を行うと決めたことでした。
それから40年以上経った現在、パナソニックは中国で大きな成功を収めています。中国との長い付き合いから、中国市場の急速な発展にも対応できたためです。
②グローバル市場において急成長する電気自動車市場にも進出
近年「地球温暖化」の影響や「脱炭素社会」の実現のために、電気自動車の需要が急速に高まっています。パナソニックでは、その電気自動車に欠かせない車載用充電器の開発に早期から取り組み、市場において世界有数のシェアを誇っています。
先に紹介した「企業は社会の公器」を実現した成功事例といえるでしょう。また「電気自動車」で6割以上のシェアを誇るテスラ社との提携や、アメリカで新工場の建設が進められるなど、さらなる拡大が期待されています。
③積極的な海外企業とのM&A
パナソニックは積極的に海外企業とのM&Aによって、事業を拡大しています。
例えば、2007年に500億円で買収したインドのアンカー社です。現地の企業を買収することでインド進出を果たし、短期間でハードルの高いインド市場で確固たる地位を築くのに成功しています。
現在ではアンカー社を拠点にして、アジアやアフリカに電設資材を売り込むなど、パナソニックの重要な拠点の1つになっています。
まとめ
本記事ではパナソニックが海外進出を成功させた秘訣と成功事例を主に紹介しました。以前から海外進出を積極的に行ってきた企業なだけに、ヒントになる部分も多いでしょう。
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