新型コロナウィルス前にみる武漢市の産業的な課題と今後の可能性

※本記事は、2020年2月17日時点での社内スタッフへのインタビューに基づき作成しております。

2020年初頭からの新型コロナウィルス流行により、マスメディアに大々的に取り上げられ、一気に世界的知名度があがった中国の武漢市ですが、それまではあまり名前を聞いたことがなかったという方も多いのではないでしょうか?

武漢は、中国沿岸部と内陸部をつなぐ交通の要所となっており、弊社プルーヴでも中国進出の要所の1つとして進出支援のため何度となく訪れたことがある場所です。今回は武漢の産業的な課題や政府の取り組み、そこに住む人々の実態についてご説明させていただきます。

武漢は中国国内でも有数のメガシティ

中国の交通の要所

武漢は中国の内陸、湖北省の東部に位置し、中国中部地方及び長江中流域唯一の人口一千万人を超すメガシティです。首都北京や上海、広州などの1級都市に次ぐ2級都市の中でも、「次の1級都市候補」として位置づけられています。

中国国内の鉄道網においてはちょうど中央付近にあり、沿岸部の産業都市である天津、上海、深センなどの都市と内陸部をつなげるターミナル駅として、中国の交通の要所となっています。

武漢駅※真ん中の「武汉」が武漢駅
出典:http://crh.gaotie.cn/CRHMAP.html

武漢を通る経済ベルト「一帯一路」構想

2013年には習近平国家主席によって現代版シルクロードといわれる経済ベルト「一帯一路」構想が打ち出されます。これは中国内陸部から、海路や空路に頼らず鉄道貨物路を利用して直接ヨーロッパまでつなげてしまおうという一大構想です。

一帯一路出典:「一帯一路」構想とASEAN・ミャンマーとの親和性

この構想のともに、中国では内陸部の発展にも力を入れています。

例えば貴州省貴陽市はデータセンターに適した気候のためビッグデータ産業のモデル都市として指定を受け、ビッグデータを用いたさまざまな実証実験の場となり世界からの注目を受けるまでになりました。

参考記事
海外事業における積極的な情報収集の重要性 —中国国際ビッグデータ産業博覧会の視察報告会で感じた2つの驚き—

また四川省成都ではHuawei Technologies(ファーウェイ)によって5G向けマクロ基地局と電柱型基地局、屋内向け小型基地局などを設置し、世界屈指のハイテク都市として整備をすすめる計画となっています。

貨物鉄道「中欧班列(チャイナ・レールウェイ・エクスプレス)」は、2011年に重慶とドイツ・デュースブルク間で運行を開始しました。現在は重慶に加え、成都や西安、鄭州、武漢などにもルートを拡大。開設当初、年間運行本数はたった17本でしたが、2018年には6,300本となり、この数年で中国の海外貿易に占める鉄道輸送の割合を大きく伸ばしています。

産業的にテコ入れされる中国内陸部とヨーロッパをつなぐものとして、今後ますます鉄道網の利用頻度はあがっていき、それに伴い、武漢の位置づけもさらに重要度を増していくと考えられます。

優秀な大学生の多い都市

中国では1950年代にソ連の大学システムを手本として、大規模な大学統廃合が行われました。教育の国営化が行われ、大学では工業や化学などの理系人材の育成に力を入れていくことになります。

多くの私立大学が姿を消し、大学数を減らす沿岸部の大学が多い中で中、重工業が盛んで内陸部のアクセスの要所である武漢はむしろ大学数を増やすべきだという判断がされました。

北京、広州、武漢3市の大学生数の推移北京、広州、武漢3市の大学生数の推移
出典:https://news.163.com/19/0111/00/E56SBGAK00018M4D.html

近隣に大都市がないからこそ、中国国内7位にランキングされる武漢大学をはじめとしてハイレベルな大学が市内に集まっています。

武漢のかかえる課題と解決に向けて取り組み

学生数は中国国内でも一二を争う同市ですが、大学卒業後に沿岸部の都市へ流出していく若者が多いことが現在の課題となっています。

これは武漢には重工業以外に採用枠の多い企業が少なかったため、若者に人気のIT系をはじめとした外資系や有力スタートアップのような、高給の企業への就職を希望する優秀な学生ほど就職を機に別の大都市に移り住んでしまうことが大きな原因です。

そして家賃相場が高騰してきており、同市付近の平均収入に対して家賃割合が高く、若年層にとっては住みづらい都市となってしまっています。

この対策として、武漢では卒業から5年以内の若者には2割引きで家を購入・賃貸できる優遇策を実施しはじめました。

その影響か、徐々に武漢周辺ではスタートアップから有力なユニコーン企業も生まれ始めています。

例えば中国No.1のゲーム実況配信サイト「Douyu」を運営する「斗鱼直播」、医療機器を製造する「安翰光电」、ECサイトプラットホームを運営する「卷皮网」、輸送業の「斑马快跑和药帮忙」などがあります。

Douyu斗鱼直播「Douyu」

 

安翰光电「斗鱼直播」安翰光电「斗鱼直播」

 

卷皮网「卷皮」卷皮网「卷皮」

 

斑马快跑和药帮忙「药帮忙」斑马快跑和药帮忙「药帮忙」

また、政府が武漢でのITデジタル産業創業支援策を打ち出していることもあり、優秀な人材の獲得とヨーロッパ諸国との貿易展開を見据えて、スマホや家電で有名な企業、小米科技(シャオミ。創業者の雷軍CEOは湖北省出身で、武漢大学卒業)などをはじめとした大企業の第二本部を武漢で設立する動きが相次いでいます。

武漢の今後は

武漢の現在の産業としては重工業がメインのためリモートワークに適しておらず、新型コロナでの都市封鎖は経済的にも大きな痛手となりました。
しかし、これを契機に、上述のようなITデジタル産業を産業の主力とする機運がさらに高まるかもしれません。

中国でのスタートアップは世界の投資家からの投資熱がひと段落した感がありますが、それでも2019年末時の世界のスタートアップ企業(評価額10億ドル以上)の数はアメリカについで世界第2位。若い世代による新しい企業が次々に生まれています。

武漢では、中国国内各地とヨーロッパまでつながる交通網の利便性の恩恵を受けられ、大学に集まる優秀な人材と研究設備が揃っています。そしてここ数年で若者への支援策や、企業環境も充実してきており、今回のことをむしろ糧として、今後武漢から新しい世界企業が生まれてくる可能性を十分に秘めていることを、そして、若者を中心とした大きな経済圏になっていることを忘れてはいけません。

参考:

「一帯一路」構想とASEAN・ミャンマーとの親和性
相手国とWin-Winのプロジェクト構築
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/ba94b673d5d1e479.html
ファーウェイと中国移動、「成都を5Gシティーに」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/05912/
「中欧班列」で中国から欧州へ
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/b88c335d51649295.html
JETRO武漢スタイル
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2018/b39e40751b805f5b/9-r.pdf
2019年世界スタートアップ企業数 過去最高の430社
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2020-01/03/content_75575895.htm</ dd>
Xiaomiが武漢市に日本人設計の巨大な第二本社をオープン。工期はわずか1年
https://telektlist.com/xiaomi-new-wuhan-hq/

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