タイの少子高齢化の現状とその背景にある価値観

あまり知られていないことかもしれませんが、タイでは少子高齢化が進んでいます。そこで、プルーヴがタイで女性にヒアリングをしたところ、彼女たちが子どもを持たないという選択をした背景の一端を垣間見ることができましたので、紹介したいと思います。

タイの少子高齢化の現状

日本や欧米のみならず、アジア各国では現在少子高齢化が進んでいます。その中でもタイは、ASEANの中で最も少子高齢化が進んでいる国であるといわれています。以下にそのことを示すデータを2つ紹介します。

 
タイの少子化の現状グラフ

出典:Fertility rate, total (births per woman)

 
東アジア各国の出生率のデータです。これを見ると、タイの少子化は1970年頃から始まっていることがわかります。

 
タイの少子化の現状グラフ
 
タイの少子化の現状グラフ

出典:Population Pyramids of the World from 1950 to 2100
 
インドネシア・フィリピン・ベトナム・タイの4カ国の人口ピラミッドを比較したものです。タイは2018年の時点で、すでにピラミッドが少子高齢化が進んだ国特有の釣鐘型をしています。2030年にはこの傾向がより一層強まると見られています。

バンコクの女性が子どものいない人生を選ぶ理由

それでは、タイの少子高齢化に関する定性的なデータはどうでしょうか。私たちは今回、タイでバンコク出身の20代後半の女性を中心に、自身と周囲の女性たちのライフスタイルや価値観に関するヒアリングを行いました。

 
その中で一番印象的だったのは、「結婚はするけど、子どもを持つことは考えていない」という考えを持つ女性が多いということでした。彼女たちは皆、日本でいうと東大のような名門大学を卒業して働いており、自分の力でキャリアを作り上げてきたという自負があります。そのため、彼女たちは人生において仕事におけるキャリア形成の優先順位が高く、相対的に出産や育児といった事柄が優先されなくなります。

 
また、タイはASEANの中でインフラや都市環境が一番整っており、なおかつアジアの中でも異国情緒を感じられる国でもあります。したがって、欧米を中心とした海外から人や企業・モノの流入が古くからありました。そのため、バンコクの中心街ではハイレベルなカフェやレストラン、富裕層向けのコンドミニアム、外国人向けの施設など物質的に豊かな面がある一方で、農村部を中心にはまだまだ貧しい地区もあり、タイはアジアの中でも格差を感じる都市の一つです。今回ヒアリングで会った女性たちは前者の暮らしを享受しており、中にはタイの平均月収の約4倍の給与を稼ぎ、30代でコンドミニアムを購入したという女性もいました。

 
このような豊かな生活に少しでも接点を持っているタイの人々は、その暮らしを維持したい、もっと豊かな暮らしをしたいという欲求が非常に強いのです。自分の力で今の人生を切り開き、豊かな暮らしを手に入れている人は、たとえ自分の子どもであっても、外部的な要因によって現在の生活を失いたくない、諦めたくないという強い気持ちを持っていると思われます。

少子高齢化が進むタイの子育て環境

それでは、タイの子育て環境はどのようなものなのでしょうか。

 
まず、前提として日本と大きく違うところは、日本でいう「保育園」という施設の利用がまだまだ少ないとのことです。幼稚園に入る前の子育てに関しては、家庭で面倒を見ることが一般的で、特に一歳未満の子どもを預ける場所はほとんどありません。

 
そして、保育園(現地ではDay Care Centerという名前の施設)の多くが、余り信頼できる環境ではなく、一般の一戸建ての家を改造して個人が運営していたり、ボランティア団体が低所得層向けに無料で運営するところなど、そもそも安心して子供を預けられる保育園があまりないという現状があります。さらに、タイでは「子どもの面倒は家庭で見るもの」という価値観もまだ根強いので、出来るだけ実家の親、親戚のおばあちゃんなどからサポートを受ける家庭が伝統的に多いです。

 
そして、バンコク出身の女性たちによると、タイではその家庭の所得によって、子育て環境が違うようです。

 
中間層以下~低所得家庭では家族や親族(親戚の叔母さんなど)のサポートで保育を行うのが一般的です。親が近くに住んでいる場合は日中は親に預けて、夜迎えに行くケースもあれば、家に一緒に家に済んでいながら子どもの面倒を見てくれることも多いようです。今回取材で会った、バンコク駐在の若い夫婦は平日は郊外に住んでいる夫の親の家に預け、週末は自分らの家に連れてくるということでした。

 
数は多くありませんが、地方政府やボランティア財団が低所得層向けに運営する保育所も存在しているので、共働きで親族に預けることも出来ない環境の人はそういう施設を利用するようです。

 
所得に余裕がある家庭はベビーシッターを雇うことが一般的です。人件費がまだまだ安いタイは住み込みのベビーシッターを月1万~2万バーツ(日本円に換算すると約3.5万~7万円)の費用で雇うことができます。

 
高所得者層ではお金に余裕があることから、一部家族/親族のサポートを受けながらも子どもの面倒を見るベビーシッターと家事を行うメイドを別途雇うケースが多いです。家庭によってはメイド兼ベビーシッターの人材を雇うこともあり、各家庭のニーズに合わせて、子育て(と家事)をアウトソースすることが普通となっています。

 
ある程度所得があるタイの女性にとって、タイのデイケアセンター(保育園)は「お金がない人が行く場所」「信頼できないので、子どもがいても預けようとは思わない」という場所として認識されており、その代わり、近年は英語教育を中心とするプリスクールが人気を得ています。プリスクールは言葉通り、就学(小学校)前の保育と幼児教育を担っている外資系の施設の通称です。主に英語での教育を行うため、タイに居住している駐在員及び親の片方が外国人である家庭がメインターゲットでしたが、デイケアセンターに比べて設備がよくで質の高い教育を受けられるとのことで、最近はタイ人カップルの利用も増えてきているようです。一日1〜2時間預けらるところもあれば、フルタイムのところもあります。

 
中でも、アメリカ発祥のフルタイムプリスクール「KIDO」は、英語とタイ語で教育や保育を受けられるとあって、タイの働くママや高度な教育を受けさせたいと考える家庭をに好評だそうです。

 
フルタイムプリスクールKIDO

https://kido.school/en/

 
少子化が進んでいる中で、高所得の家庭では子どもの教育にお金をかけたいという価値観があるため、日本と同じようにこの傾向は今後も強くなるのではないでしょうか。

まとめ

少子高齢化は、もはや日本だけの問題ではありません。この問題に関連している教育や保育、サービス関連の業界であれば、世界で最初の少子高齢化を経験した国である日本が先行して、これまでに行ってきた事業を輸出できるのではないでしょうか。

 
例えば、日本で東京都を中心に保育園や一時預かり施設を展開する「アソシエ・インターナショナル」がバンコクに英語と日本語で教育や保育を行う「アソシエ インターナショナル キンダーガーデン バンコク35」を進出させています。

 
アソシエ インターナショナル キンダーガーデン バンコク35
http://www.aikb35.com/ja/

 
また、日本を見れば分かる通り、少子化の流れはそう簡単に止められるものではありません。そこで、これからはタイにおいて独身の人やカップル・夫婦向けのサービスや事業も展開できる可能性があります。

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