ASEAN諸国の中では先進国とされるタイ。今年は、タイと日本との国交が開始されてから、130周年という節目の年でもあります。今回は、タイのスマートシティ化の事例についてご紹介いたします。
タイで加速する高齢化
タイでは、他のASEAN諸国に比べ、速いペースで高齢化が進んでいます。
(出典:「コラム タイ:早すぎた高齢化」https://www.dir.co.jp/library/column/20170220_011731.html より)
上図のように、タイは現時点で高齢化社会となっており、2025年までには、高齢社会に突入していくと予測されています。
スマートシティ・セーンスック市を訪ねて
今回、タイの中でもヘルスケアをIoT化することに注力している、セーンスック市を訪れました。
セーンスック市は、バンコクから車で南東に2時間ほどの場所にあり、チョンブリ県内の海沿いに位置します。
現地では、市長からお話を伺う貴重な機会に恵まれました。
「スマートシティ」と言うと、都市化、エネルギー、交通など、さまざまな部門があり、日本でも「柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)」や「電気自動車スマートシティ(豊田市)」に代表されるような都市が作られています。
市長のお話によると、セーンスックでは将来的に交通や防災、防犯など、市に関わるすべてのことにおいてIoT化を実現させていきたいそうですが、その中でも高齢化が進んでいることから、まずはヘルスケアに取り組んでいるとのことでした。
地元のチョンブリ大学がウェラブル機器の開発とデータ分析などを行い、IntelやDellなどの大手メーカーが、その他の周辺機器を無償で提供しているそうです。
そして、将来的には、各病院のカルテの情報や服薬情報などをIoT化することで、在宅で医療が受けられることを目指しているようです。
市長にお話を伺える機会に恵まれた
今回の市場調査を終えて
今回の現地調査では、「より幸せな老後を送るためにはどのような社会であればよいのか」という課題について、IoTの技術を活かしながら解決に向けて取り組んでいる様子を目の当たりにしました。
ASEAN諸国に対するイメージでは、イノベーションプロジェクトに取り組む前に、まずインフラが整っていない部分もあるのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回、実際にスマートシティ化に取り組んでいる現場を訪れてみて、インフラの整備と並行して地道に行っているスマートシティ化への取り組みが、最終的には実を結び、先進事例となっていくのではないかと感じました。
IoTの分野では、日本も技術協力ができる部分があるかもしれません。また、ASEAN諸国よりも深刻な「超高齢社会」に突入している日本では、このような事例から学ぶことをもっと早急に進めていくべきではないかとも思いました。
今回はセーンスック市のプロジェクトを紹介しましたが、このような先進的な取り組みを行っている地域は、他にも存在します。
どこでどのような取り組みが行われているのかを知るために、まずは現地に足を運び、視察や現地の方とのコミュニケーションを通じてより詳細な情報を得ることを、私たちプルーヴは重要視しています。
タイ以外のASEANにおけるその他のイノベーション事例についても調査をしていますので、関心のある方はお気軽にご相談下さい。