2022年、日本の出生率は1.26で過去最悪を記録し、ニュースでも大きく取り上げられました。
実は、このような少子高齢化は日本に限った話ではなく、世界各国が抱えている問題でもあります。
本記事では、世界の超高齢社会と注目されるシニアビジネスについて紹介します。
きたる世界の超高齢社会とは?
そもそも超高齢社会とは、65歳以上の高齢者が21.0%以上を占めるようになった社会のことです。
日本では2007年に超高齢社会に突入しており、2025年には高齢化率が約30%、2060年には約40%になると見込まれています。
一方、世界では2020年の高齢化率は9.3%ですが、2060年には17.8%に達すると予想されています。
つまり、日本だけではなく、世界でも高齢化が進んでおり、世界が超高齢社会に突入するのも時間の問題といえるでしょう。
超高齢社会が懸念される国は ?
世界では今後、数多くの国が超高齢社会になると懸念されています。
また2022年時点で、すでに多くの国が超高齢社会に該当しています。その証拠に、世界の高齢化率のトップ10は以下のとおりでした。
順位 | 国・地域 | 65歳以上の割合 |
---|---|---|
1位 | 日本 | 29.1% |
2位 | イタリア | 24.1% |
3位 | フィンランド | 23.3% |
4位 | プエルトリコ | 22.9% |
5位 | ポルトガル | 22.9% |
6位 | ギリシャ | 22.8% |
7位 | マルティニーク | 22.8% |
8位 | ドイツ | 22.4% |
9位 | ブルガリア | 22.4% |
10位 | クロアチア | 22.4% |
このようにトップ10すべてが21.0%を超えています。
世界の主要国の高齢化率も確認してみましょう。
国・地域 | 65歳以上の割合 |
---|---|
日本 | 29.1% |
イタリア | 24.1% |
ドイツ | 22.4% |
フランス | 21.7% |
イギリス | 19.2% |
カナダ | 19.0% |
韓国 | 17.5% |
アメリカ | 17.1% |
中国 | 13.7% |
主要国はすでに高齢化社会・高齢社会・超高齢社会のいずれかに該当し、今後も右肩上がりに増えていくと予想されています。
主要国の2065年までの高齢化率を算出したのが以下のグラフです。
引用:総務省統計局「統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
グラフより2065年になると、アメリカで26.4%、中国で36.3%など現在よりもさらに高齢化が進むことがわかります。
超高齢社会における日本のシニアビジネスの有効性について
日本は、世界で初めて超高齢社会になってから、その後も高齢化ランキングでトップを走り続けています。
そのため、高齢者をターゲットとしたシニアマーケティングが盛んです。
なぜなら国内の約3割を占めるユーザーに訴求することで、多くの利益を生み出せるためです。
例えばサプリメントや健康食品の販売といった、健康の意識が高い方向けの商品販売や、介護サービスの提供が挙げられます。
現在世界で注目されているシニアビジネスとは?
高齢化が進むなか、世界で注目されているシニアビジネスは以下の3つです。
- 認知症ケア
- 高齢者みまもり
- 高齢者の生活を支える
このような加齢とともに発生する問題は日本だけではなく、世界共通の問題です。
この章では、各分野で注目されているシニアビジネスの事例を紹介します。
例①認知症ケア:SingFit
引用:SingFit
認知症の発症を予防したり、進行を遅らせたりするために、様々な企業や医療機関が日々研究をしています。
そのなかでも今回は、歌うことに注目した認知症ケアサービス「SingFit」についての紹介です。
現在「SingFit」はアメリカで、以下の3種類のサービスを提供しています。
・SingFit PRIME
介護老人ホームなどの入居者を、グループに参加させるための歌のプログラムです。
・SingFit STUDIO Pro
リハビリ向けのプログラムで、1対1で認知症ケアを行うプログラムです。認知機能の低下がみられる高齢者を対象としたサービスとなります。
・SingFit STUDIO Caregiver
音楽療法士が設計した、プレイリストを使った認知症患者とその介護者のための認知用ケアです。
これらのサービスを利用することで、以下の効果が期待されています。
・脳への刺激
歌は脳の様々な部分を使うため、脳への刺激や運動になります。
・気分のリフレッシュ
歌うことは気分をリフレッシュしたり、楽しいというポジティブな感情になったりするため、生活の意欲を向上させるのがメリットです。
・コミュニケーションツール
他のメンバーと一緒に歌うことでコミュケーションが活発になり、社会的なつながりの構築に役立ちます。
また、2023年の秋には英国でもサービス提供が開始される予定です。今後の動向が注目されているサービスといえるでしょう。
例②高齢者みまもり:Care Hub
引用:Amazon
離れて暮らす高齢者の家族を見守るために、日本でもカメラや家電製品を使ったサービスが登場しています。
そのような「高齢者みまもり」サービスとして、Amazonはアメリカで「Care Hub」の提供を開始しました。
Care Hubはスマートスピーカー「アレクサ」を利用したサービスで、以下の機能・特徴があります。
・Care Hubアラート
高齢者の家族が指定した時間までに、アレクサを利用していなければ、登録した連絡先に自動で通知する仕組みです。通知があることで、異変に早く気づきやすくなります。
・プライバシーに配慮
高齢者の家族がアレクサを活用すると、活動していると伝わりますが、具体的に何をしているのかはわかりません。プライバシーに配慮した設計なので、高齢者は普段通りアレクサを使用できます。
・緊急連絡
Care Hubは緊急連絡機能を搭載しています。家族に緊急連絡して欲しいときは、「アレクサ、助けを呼んで」と言うだけです。
「転倒して動けない」「急に体調が悪くなった」など、不測の事態で動けなくなっても声で助けを呼べるのはメリットといえます。
・利用料は無料
Care Hubはアレクサを必要とするものの、サービスの利用料は無料です。費用をかけずに、高齢者を見守れるサービスとして注目されています。
例③高齢者の生活を支える:BuddyHub
引用:BuddyHub
高齢になるとできない部分が増えてくることもあるため、他の人やサービスにより生活を支える必要があります。
また、一人暮らしなど孤独や孤立を感じながら生活をしている高齢者は少なくありません。
そのような高齢者の生活を支えるために、イギリスのロンドンで提供されているサービスがBuddyHubです。
BuddyHubは簡単にコミュニティーに参加したり、輪を広げたりできるサービスです。
例えば、ボランティアを探したり、同じ趣味を持つメンバーを探したりといった使い方ができます。
高齢者のコミュニティーを広げることで、寂しさの緩和や社会的なつながりの構築、生活意欲の向上などが期待できます。
まとめ
少子高齢化は日本だけの話ではなく、世界各国で進行している大きな問題です。2065年までには、主要国を始め多くの国が超高齢社会に突入するとみられています。
そのため、世界でもシニアビジネスに注目が集まっています。
日本の企業は最も進んだ超高齢社会を経験しているからこそ、海外向けのシニアビジネスでもチャンスを掴みやすいといえるでしょう。
海外進出を検討されている方は、ぜひプルーヴまでお気軽にご相談ください。