タイでのビジネスに求められるローカルフィットの重要性とその理由

2018年の一人当たり名目GDPが6992ドルと成長著しい国であるタイ。これまでも日本からは製造業を中心に企業の進出があり、依然として注目すべき国の一つです。
今回は、そんなタイで感じたローカルフィットの重要性とその理由について紹介します。

タイへの進出企業の変遷とこれから

タイへ進出する日本企業は、かつては製造業が中心でした。そして現在は、すでに進出している日系企業のITインフラをサポートするためにIT企業が進出するというケースが多く見られます。現在タイの製造業はIoT化が進んでおり、またタイの各都市は近年スマートシティ化に力を入れていることから、今後はフィンテックやサイバーセキュリティの分野での需要がより一層高まると考えられます。

これからのタイへの進出に求められる「ローカルフィット」

このように、今までにタイへ進出した企業は、日系企業を対象にした事業を行なっているケースが圧倒的多数でした。そのため日系企業を対象とするビジネスはやり尽くしてしまったという印象が強く、今後のビジネスチャンスを考えると、タイのローカル企業と取引をしていく必要に迫られるでしょう。

 
それでは、果たして日系企業はタイの現地企業にローカルフィットできているかというと、まだまだという印象を強く受けます。

 
そこでまずは、なぜタイのローカル企業とビジネスをする際にローカルフィットが求められるのかをお伝えします。

タイでのビジネスでローカルフィットが求められる理由

礼儀正しさが求められる文化

タイは仏教から発生した礼儀作法を持つ国であり、礼儀正しい振る舞いが好まれます。また、タイ語は5段階に別れた敬語を使い分ける言語であり、敬語のレベルを間違うと敬意を示さなかったと捉えられるそうです。そのため、ビジネスの場でも相手やシチュエーションに応じた細やかな対応が求められます。

言語の壁

タイでのビジネスシーンでは、最低限英語で、可能であればタイ語で話すことが求められます。社長やCEOクラスはエリート層なので英語を話せる人も多いのですが、英語を話し理解するのは大変なので内心英語は嫌だと思っているビジネスパーソンが少なくありません。なので、英語は通じないわけではありませんが、タイ語の方が圧倒的に好まれます

 
このように、ローカルフィットが必要な理由を見てみると、タイの敬語や言語の壁といった点は日本と共通点があるように感じます。

プルーヴが体感したローカルフィットの重要性

タイを訪れた際にこんなことがありました。現地では日本人の担当者が英語でローカル企業に対して複数回ブレゼンを行なったのですが、あまりうまく進みません。

 
そこで、現地で人材を雇ってOJTを行い、タイ語によるプレゼンを行なったところうまくいったというケースがいくつかありました。これからは、タイのローカル企業にアタックをする際には、現地の人材をリクルートし、育成・教育していきながらプレゼンや商談をすることが求められるのではないでしょうか。

 
そして、ビジネスが進んでいくと社長やCEOなどローカル企業のトップが出てくるということもあるでしょう。そうなった場合、トップも含めたローカルの人材に現地でのビジネスを任せられるかの重要なポイントです。

 
もちろん、現地のビジネスをローカルの人材に任せてうまく行くのかという不安もあるでしょう。そこで、そんな場合に備えて以下の2つの方法を提案します。1つはローカルの人材に一旦日本に異動してもらい、OJTを経てタイに戻ってもらう方法です。もう1つはローカル企業を買収して買収先の社長はローカル人材のままにし、不安であれば副社長・相談役に日本人の人材が就任するという方法です。

 
後者の方法をとる場合に注意すべきは、ローカル企業の買収後に日本人を社長にしてしまわないことです。そうしてしまうとどうしても軋轢が生じてしまい、最終的に撤退してしまったというケースをこれまで数多く見てきました。

 
ビジネスのためとはいえ、海外の商習慣や事情を理解し、それにフィットさせることは大変な時間やコストを要します。プルーヴは豊富な海外での調査経験から、海外のローカル企業とのビジネスにおいて、商習慣をや事情を理解した上で事前調査から実際の事業構想・実行までサポートいたします。海外進出をお考えの担当者の方は、ぜひご相談ください。


【参考資料】
基礎的経済指標
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/stat_01.html

日本語の敬語とタイ語の敬語
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3/38677/20151225143127540720/ReportJTP_30_76.pdf

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