FMCG商材における競合ビジネス実態把握及び分析支援
業界 : 消費財メーカー
対象国・地域 :ポーランド
クライアント企業は消費財メーカーとして既にグローバルで事業を展開していましたが、製造拠点のひとつであったポーランドにおいて、現地事情により事業継続および拡大に障壁が発生していました。そこで、リスクヘッジおよび継続的な成長のための輸出先拡大に向けて、ベンチマークとなる競合企業のビジネス実態把握及び分析の支援をさせていただきました。
課題
クライアントはFMCG商材での海外展開において、ポーランドで製造販売を行っていますが、様々な現地事情により、事業継続とその拡大においての障壁が発生していました。
今後の事業リスクヘッジと事業規模拡大のためには、別の国(隣国と想定)への輸出事業拡大が検討優先事項として挙がっていました。
対象国でのグローバルSCMの構築と売り上げ拡大という2点を実現に向けて、生産拠点からどのような事業拡大の可能性があるかを検討するため、他社戦略も考慮した製品優位性の分析、進出検討優先国の選定を行う必要がありました。
しかし、課題は明確である一方で、自社だけでは十分な情報収集、分析、仮説設計、戦略検討ができるような状態ではないと判断され、外部への委託を検討します。
一般的な視点からの調査だけではなく、M&Aの知見を活かした深いレベルでの競合企業分析が可能である点を評価をいただき、プルーヴに支援を依頼されます。
支援内容
具体的な支援策は以下の通りです。
- 組織体制分析
- 輸出事業に関する人員体制(輸出事業部門、マーケティング支援部門、SCM管理)
- 製品供給以外での事業支援内容 など
- 輸出事業戦略分析
- 輸出事業における経営方針(選定基準や思想含む)
- 新規輸出国の選定において、ベンチマークしている企業 など
- 売上実績分析
- 輸出事業における主要国と構成比
- プロダクトポートフォリオにおける重点製品(カテゴリー、利益率)など
- 候補となる輸出先国の実態とトレンド把握
- 主要業態や重点企業とその理由
- 当エリアで拡大ができた要因ときっかけ
- 自社のポジショニング認識(強み・弱み) など
競合他社に対して直接ヒアリングを実施し、具体的かつ戦略構築のために重要な情報を網羅的に取得しました。調査対象が多岐にわたり取得する情報が増え続ける中で、候補各国のマーケット情報よりも、競合企業がどの国において、どのような戦略に基づいて事業を行っているか、その実態及び背景を深く捉えることを優先しました。
また、特定地域内におけるSCM構築および販売戦略においては、他社先行企業があり、かつその企業と事業ポートフォリオでの競争優位点を模索する場合は、マーケットサイズから分析に入るのではなく、先行企業の事業実態や市場シェア感から市場を捉える方がより有効であるという点に注意しながら調査を行いました。
数値や経緯といった一般的な情報だけではなく、事業戦略やその戦略決定に至った背景・思想、事業を実現している組織体制など、M&AのBusiness Due Diligenceに近い視点で深い分析を行うことができるというPROVEの強みが生かせた事例といえます。
結果
ポーランドから欧州、アフリカを網羅して供給するという戦略は、ポーランド市場の不安定さを考慮すると良い打ち手ではなく、特に安定性の高い欧州と未成熟なアフリカをターゲットにする場合はそれぞれの環境発生要因リスクを考慮して、大小のバランスを取った生産~供給拠点網の構築が必要であるということが明らかになりました。
社内での重要な意思決定に役に立ったと評価をいただき、その後も継続的に案件の相談をいただいております。
案件や目的によっては、市場規模など大きな切り口からではなく、特定の企業分析を行うことが効率的な手段となり得るということを踏まえ、今後も調査を実施していきます。