
2023年7月下旬頃、インドネシア・ジャカルタへの4日間の出張を実施しました。本出張の目的は、家庭用品の新規参入国検討にあたって、インドネシアにおける当該製品の受容性を検証する事です。当該製品を実際に使用している家庭に訪問して、使用実態や入手経路、日本製の製品の購入可能性に関して聴取しました。
インドネシアは新旧・異なる宗教が複雑に重なりあった国に見えます。高層ビルが乱立するジャカルタ都市部、郊外にも点在する大型モール・スーパー、新興住宅地。その一方で、伝統的な市場、出店なども混在し、まだまだ活気があります。宗教的にもイスラム教を筆頭にキリスト教、仏教が混ざり合い、人種もマレー系、中華系、アラブ系、インド系が同じ生活空間の中で共生しているように見えます。
ただし、家庭訪問を通じて、宗教・人種・世代によって暮らし方や価値観、情報共有ルートが異なる事も見えてきます。今回訪問したご家庭は郊外に住むマレー系・イスラム教徒の家庭ですが、こうした都市部・郊外の家庭においても親戚づきあい・ご近所づきあいの密度が非常に高い事が印象的でした。金融互助組合であるアリサンは婦人会としての機能を持っており、毎月誰かの家に集まってパーティーをします。この催しを楽しみに、もてなしの内容を考えたり、インテリアを整えたりします。また、親戚同士の繋がりも強く、同居する事も多いうえに、離れて住んでいる場合も定期的な集まりがあるようでした。こうした繋がりを通して、感度が高いご近所さんや義姉などの同世代から最新の情報を仕入れています。祖母世代は伝統市場での購買を好み、母親から子供へと新製品の情報が伝えられることは少ないようです。一方、現地のアテンドに協力いただいたコーディネーターの話を聞いていると、華僑の家庭は、日本の都会での環境に近いように感じました。

このような環境の中で、問題の家庭用品はどのように使われているのか?この家庭用品は、日本では一般的なものでどの家庭でも日常的に使用されています。しかし、インドネシアにおいては、実際の日常生活で利便性・機能の中で使われているというよりは、生活の丁寧さ、高級感を示すためのある種のアイデンティティに位置づけられている事が見えてきました。日常使いの機能は、別の製品が既に普及してしまっています。インドネシアでの普及を目指すのであれば、この壁を超えていく必要があります。

今回の出張で、今後の事業展開に向けて以下の洞察を得ました:
●店頭視察の結果、当該製品は高級スーパーにはおかれていますが、コンビニや伝統市場など身近な店舗では取扱いがなく、普及率が低い事が見受けられます。
●当該製品は日常使いの商品ではなく、生活の丁寧さ・高級さを見せるための製品であり、既に導入している家庭においても使用量が極端に少ないです。現地の所得に対し価格が高いため、高級路線で少量を販売するか、廉価版を製造して普及を目指す必要があります。
●親族・ご近所での繋がりが強く、ご近所さん・義姉等が新製品利用のきっかけになりえます。
インドネシアでの普及率が低い事がわかり、東南アジア・南アジアの市場を先に検討する事になりました。