COP30とは?気候変動対策の「再スタート」となる世界会議

2025年11月10日から21日にかけて、ブラジルのベレンでCOP30が開催されます。今年は京都議定書の発効から20年という節目の年で、気候変動対策の再スタートとなる重要な世界会議です。世界情勢を把握する上でも、押さえておきたいイベントと言えるでしょう。本記事ではCOP30の基礎知識と主要テーマ、注目ポイントについてわかりやすく解説します。

COPとは

COPとは「締約国会議」の略称で、多くの国際条約における最高意思決定機関として設置されています。その中でも特に有名なのが、今回紹介する「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」です。この会議は毎年10月から12月にかけて約2週間開催され、各国の代表が地球温暖化対策について議論を交わします。なお、COPの後につく数字は開催回数を示しており、例えば「COP30」は第30回の意味です。

初めての開催は1995年で、これまでの中でも特に注目された会議には次のようなものがあります。

・COP3(1997年):京都議定書の採択

・COP15(2009年):コペンハーゲン合意

・COP21(2015年):パリ協定の合意

COPの最大の目的は、温室効果ガスの排出を抑制し、地球温暖化を防ぐことです。

京都議定書ではその目的を達成するために、先進国に対して温室効果ガスの削減率を設定し、期間内の実現を求めました。しかし、それだけでは不十分として、コペンハーゲン合意では、次のような内容が盛り込まれました。

・地球の平均気温の上昇を2度以内に抑える

・先進国が温室効果ガスの削減目標を提出する

・途上国の温暖化対策として、2020年までに年間1,000億ドルを支援する

さらに一歩進んだ取り組みとして採択されたのが「パリ協定」です。その主な合意内容は次のとおりです。

・世界全体の長期目標として、気温上昇を2度より十分低く抑え、1.5度以内に抑える努力をする

・すべての締約国が自国の削減目標を策定・提出する義務がある

このような経緯を経て、先進国だけでなく、途上国を含むすべての締約国に対しても取り組みが求められるようになりました。

COP29の結果

前回のCOP29は、2024年11月にアゼルバイジャン共和国のバクーで開催されました。主な決定事項は次のとおりです。

・先進国が主導し、2035年までに年間3,000億米ドルを気候資金として拠出すること

・パリ協定の詳細な運用ルールを決定し、すべての締約国が2025年2月までに2035年の排出削減目標(NDC)を提出すること

※気候資金とは、気候変動対策のために先進国が発展途上国へ行う資金支援のことです。

これらの決定は、国際社会がより具体的な行動へと踏み出す重要な一歩となりました。

COP29の詳細については、「COP29の概要とテーマ、日本の気候変動に関する取り組みを解説」の記事をご参照ください。

COP30とは

COP30とは、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議のことで、2025年11月10日から21日にかけて、ブラジルのベレンで開催されます。

COP30の開催意義

COP30は、気候変動対策の再スタートとして注目されています。その背景として、次の2つの開催意義が挙げられます。

・節目の年に開催する意義

京都議定書が採択されたのは1997年、発効は2005年でした。そのため、2025年は京都議定書の発効から20年という節目の年です。さらに、パリ協定の採択から10年という重要な節目を迎えます。このような歴史的なタイミングの開催であることから、新たな段階に進むことが期待されています。

・開催地の意義

ブラジルは世界最大級の熱帯雨林アマゾンを有する国です。その地で気候変動に関する議論を行うことは、自然環境の保全と人類の持続的発展の両立を象徴しています。

これらの背景から、気候変動対策の議論が進むことに期待が寄せられています。

COP30で焦点となる主要テーマ

ここからは、COP30で特に注目されるテーマについて解説します。

テーマ① 気候変動対策の強化

一つ目の焦点は、各国が気候変動対策をどのように強化していくかという点です。2025年は、すべての締約国が2035年までの排出削減目標(NDC)を提出する期限の年にあたります。どのような数値や戦略が提示されるかに、世界の関心が集まっています。

ただし、期限である2月10日までに提出した国は、195カ国中わずか13カ国でした。開催までに、提出する国がどの程度増えるのかも注目ポイントです。なお、日本は2013年度比で2030年までに46%、2035年までに60%の削減目標を掲げ、2月18日に提出済みです。

テーマ② 気候資金目標の増加

COP29では、気候資金の目標額が年間1,000億ドルから3,000億ドルへと大幅に引き上げられました。さらに、公的資金と民間資金を合わせて、年間1兆3,000億ドル規模まで拡大することを求めています。

一方で、新興国や途上国からは、「これまで多くの温室効果ガスを排出してきた先進国こそ、より大きな責任を負うべきだ」との不満が相次いでいます。そのため、気候資金の増額や負担のあり方は、COP30でも主要な議題の一つとなる見込みです。

先進国は新興国に対して資金の拠出を求める一方で、新興国・途上国は先進国の拠出額が依然として不十分だと主張しており、双方の間には大きな溝が生じています。こうした立場の違いをどのように埋め、合意形成を図るのかに注目が集まっています。

テーマ③ 途上国支援の強化

開催国であるブラジルの大統領は、COP30で森林保護を目的とした途上国向けの基金を創設する構想を発表しています。ブラジルの地理的・環境的特性を生かした提案として注目されていますが、一方で気候資金目標の引き上げ自体が難航すると予想されるため、この基金がどのような形で合意に至るのかが焦点となっています。

テーマ④ 世界目標(GGA)の指標の選定

パリ協定では、適応に関する世界全体の目標(GGA)として、次の3つの実現を目指すことが定められました。

・適応能力の向上

・強靭性の強化

・脆弱性の減少

これらの目標の達成は、持続可能な社会の実現に貢献するとされています。

しかし、その進捗をどのように測定・評価するかについては、これまで明確な基準がなく、議論が続けられてきました。COP30では、このGGAを定量的に把握するための指標が選定されるかに注目が集まっています。

指標が確立されれば、各国の気候変動の取り組みをより具体的に比較・評価できるようになる可能性があるためです。

COP30の注目ポイント 

COP30の注目ポイントは、各国の排出削減目標(NDC)と、気候変動への適応を測る世界目標(GGA)の進展です。NDCの提出率やその実効性が問われる中で、GGAの指標選定が進めば、各国の取り組みをより具体的に比較・評価できるようになる可能性があります。

一方で、トランプ政権による2度目のパリ協定離脱が国際社会に波紋を広げています。世界有数の温室効果ガス排出国であるアメリカの離脱は、気候資金や気候変動対策の実効性の確保に影響を及ぼす恐れがあるためです。

こうした中、日本では高市首相がCOP30への出席を見送る方針を示しています。首相が欠席する中で、気候資金目標や国際協調をどのように前進させていくのか、日本の役割が問われるでしょう。

COP30は気候変動対策の再スタートとなる世界会議

COP30は、節目の年に開催されることから、気候変動対策の「再スタート」として期待されています。また、アメリカのパリ協定離脱は議論に大きな影響を及ぼすとみられ、主要テーマの行方にも注目が集まっています。今後の世界情勢を見据える上でも、COP30での議論に注目しましょう。

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