
海外の大型商戦は、海外進出を目指す企業にとって大きなビジネスチャンスです。しかし、海外では日本と異なる商戦が定着していることも少なくありません。国や地域ごとに文化的・歴史的な背景が異なるためです。
こうした違いを理解せずに商戦に参加しても、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。そのため、ビジネスパーソンにとって各国の商戦時期や特徴は押さえておくべき基礎知識と言えるでしょう。
本記事では、10月後半から11月にかけて注目すべき海外の商戦を紹介します。
10月後半の主な海外商戦
日本の10月後半の商戦と言えば、ハロウィンです。各地で様々なイベントが開催され、消費意欲が高まります。そのハロウィンは世界的な大型商戦の一つです。また、同時期にインドでは「ディワリ」と呼ばれる祝祭があります。ここでは、10月後半に注目すべき海外の大型商戦として、ハロウィンとディワリについて解説します。
ハロウィン:アメリカ
ハロウィンは毎年10月31日に行われる伝統的なイベントです。発祥は2000年以上前にアイルランドのケルト人によるとされています。特にアメリカのハロウィンが有名で、子どもたちが仮装をして「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」と言いながら家々を回り、お菓子をもらうのが習わしです。
また、仮装パーティーやパレードも行われ、大人も子どもも楽しめるイベントとして人気があります。ハロウィン商戦で人気の商材は、飾り付け用のインテリアや仮装用のコスチューム、キャンディなどです。
近年では日本をはじめ、世界各地にハロウィン文化が広がっています。例えば、中国では「万聖節(ワンシェンジエ)」として親しまれています。
中国のハロウィンについては、「中国で浸透するハロウィン!海外進出のヒントとなるトレンドをお届け」の記事をご参照ください。
ディワリ:インド
ディワリは「光の祭典」として知られるインドの伝統的な祝日で、毎年10月後半から11月前半にかけて行われます。街はイルミネーションで彩られ、ディアと呼ばれるオイルランプを灯すのが習慣です。期間中に、家族や親戚と贈り物を交換したり、夫婦間でプレゼントを贈ったりします。
そのため、一年で最も消費が活発になる時期です。特に、車などの高額商品やプレゼント用品、イルミネーション用品が人気です。ディワリの買い物は縁起が良いとされることも、消費を後押ししています。
また、ディワリはヒンドゥー教に伝わるラーマ王子が魔王ラーヴァナを倒し、帰還したことを祝う日です。ビジネスチャンスを活かすには、こうした宗教的・文化的背景を理解しておくことが重要です。
詳しくは、「ディワリとは何か?海外進出のためにインド最大のお祭りを押さえよう」をご参照ください。
11月前半から中盤の海外商戦

11月に入ると、海外では年末商戦に向けた大型セールが本格化します。ここでは11月前半から中盤にかけて、特に注目すべき3つの商戦について解説します。
ダブルイレブン:中国
ダブルイレブンは、毎年11月11日に行われる中国最大のオンラインショッピングイベントです。
もともとは「独身の日」を指す言葉でしたが、EC企業のアリババがこの日に大規模セールを実施して大成功を収めたことから、世界的な大型商戦に成長しました。2024年の売上高は1兆4,400億元に達し、前年比で26.6%増加しています。
この日はECサイトが活況を呈し、衣料品や家電、日用品、化粧品などの幅広いジャンルの需要が高まります。この商戦は主にオンライン中心であることから、越境ECにとっても大きなビジネスチャンスです。
また、主なターゲット顧客が独身の若年層であることから、SNSやライブ配信を活用したマーケティングが消費者の購買行動に大きく影響します。そのため同商戦で成果を上げるには、単に値引きを行うのではなく、ターゲット顧客に合わせたキャンペーンの設計が重要です。
ダブルイレブンの詳細については、「中国市場に進出するなら必見!ダブルイレブンと日本企業の成功事例」をご参照ください。
コリアセールフェスタ:韓国
コリアセールフェスタは、韓国政府と民間企業が連携して開催する韓国最大の大型商戦です。毎年11月上旬から中盤にかけて行われ、家電やファッション、食品など幅広い商品がお得な価格で販売されます。多くの消費者に人気があることから、海外企業にとっては韓国への進出や販促活動を行うための絶好の機会です。
ベテランズデー:アメリカ
ベテランズデーは、毎年11月11日に祝われるアメリカの祝日です。第一次世界大戦終結の休戦協定に由来し、アメリカの退役軍人を称える日として、パレードや記念式典が各地で開催されます。
この日は小売店がセールを行うことが一般的です。また、チャリティイベントや退役軍人への募金活動といったプロモーションも効果的です。このように、退役軍人への敬意を示しながら販促活動を行うことで、ブランド認知度の向上や顧客育成につながります。
11月中盤から後半の海外商戦

11月中盤以降は、年末商戦に向けた大型商戦が始まります。特にアメリカでは、ブラックフライデーやサイバーマンデーが定着しており、他の国や地域にも広がっています。
ブラックフライデー:アメリカ
アメリカのブラックフライデーは、11月第4木曜日の翌金曜日に行われる世界最大級の大型商戦です。感謝祭(Thanksgiving Day)の翌日に行われる在庫一掃セールが起源です。現在では、小売業者にとって「黒字になる日」という意味で呼ばれており、毎年多くの消費者が買い物を楽しみます。
ブラックフライデーは今や世界的な商戦となり、日本でもオンライン・オフライン問わず、多くの店舗でセールが実施されています。世界各地で盛り上がるこのイベントは、11月後半の年末商戦のスタートとして位置づけられ、海外市場での戦略に重要な商戦です。
ブラックフライデーの詳細については、「ブラックフライデーとは?由来や歴史、世界各国の現状を紹介」をご参照ください。
サイバーマンデー:アメリカ
サイバーマンデーは、ブラックフライデーの直後の月曜日に行われるオンラインセールです。家電やIT製品、ファッションなどが人気で、ECサイトを中心に大規模な割引が行われます。かつてはブラックフライデーが主にオフライン、サイバーマンデーがオンラインとされていました。しかし、近年ではその境界はあいまいになっています。
日本でもサイバーマンデーは徐々に広がっていますが、知名度ではブラックフライデーのほうが高い状態です。
海外進出に大型商戦を活用しよう
10月後半から11月にかけて、海外では国や地域ごとに特色ある大型商戦が展開されます。各イベントには文化や歴史的背景があり、消費者の購買行動や人気商材も異なります。
海外進出を目指す企業にとって、これらの商戦は新規顧客獲得や売上拡大の絶好のチャンスです。文化や習慣を理解し、現地に合わせたマーケティング戦略を立案して海外進出を成功させましょう。
プルーヴでは、市場調査や海外法規制調査など、海外進出を支援するサービスを提供しています。進出先の詳しい情報について関心のある方は、ぜひお気軽にお問合せください。
