ブラックフライデー(Black Friday)は、アメリカの11月の感謝祭(第4木曜日)の翌日に行われるセールです。アメリカで始まったセールで、近年では世界中に広がっており、多くのビジネスチャンスがあります。本記事ではビジネスパーソンに向けて、ブラックフライデーの由来や歴史、世界各国の現状を紹介します。
ブラックフライデーとは
11月の第4木曜日は、アメリカの祝日である「感謝祭」の日です。そして、感謝祭の翌日の金曜日に開催されるアメリカ最大級のセールをブラックフライデーと呼びます。この章では、ブラックフライデーの由来や歴史、感謝祭について解説します。
ブラックフライデーの由来
ブラックフライデーの由来は、売れ残った感謝祭用のプレゼントを売るための在庫一斉セールです。ここで、「なぜブラックフライデー(黒い金曜日)と呼ぶのか?」と、不思議に思う方もいるでしょうが、その理由は歴史が関係しています。
ブラックフライデーの歴史
1950年代、アメリカでは感謝祭の翌日に仕事を休むことが定着しつつありました。その影響から、感謝祭の翌日は買い物客であふれ、警察官が休めないほど警察への要請も増加します。そのような状況から、フィラデルフィアの警察署内では、感謝祭の翌日を最悪の日という意味で「ブラックフライデー」と呼んでいました。
次第に、その呼び名が浸透し、同日のセールを指すようになります。そして、1981年にフィラデルフィアの地元新聞が「小売業者が黒字になる日」という解釈を発表したことで、ブラックフライデーは「黒字の金曜日」と呼ばれるようになりました。
感謝祭とは
「アメリカの感謝祭とは、どのような祝日なの?」と疑問をお持ちの方もいるでしょう。そこで、アメリカの感謝祭について簡単に紹介します。
感謝祭は、収穫と前年の祝福に感謝と犠牲を捧げる日です。アメリカではThanksgiving Day(サンクスギビングデー)と呼び、親族や友人と家で祝うのが一般的です。アメリカの感謝祭では、七面鳥の丸焼きが定番料理となっているため、「七面鳥の日」と呼ぶこともあります。
感謝祭が終わると、ブラックフライデーやサイバーマンデーなどの年末セールが始まります。サイバーマンデーとは、感謝祭の翌週の月曜日にECサイトで行われるセールのことです。感謝祭の連休後の月曜日は、ECサイトの売上が高まることからセールが開催されるようになりました。
アメリカのブラックフライデーの市場規模
アメリカのブラックフライデーの市場規模は年々拡大しています。eMarketerの「US Black Friday and Cyber Monday Sales,2019-2022」によると、2022年の小売売上高は98億1,000万ドルとのことです。同社の調査によると、2019年から2022年の小売売上高の推移は以下のとおりです。
参考:eMarketer「US Black Friday and Cyber Monday Sales,2019-2022」
また、Adobeでは、2024年のブラックフライデーのオンライン消費額を108億ドルと試算しています。
参考:Adobe「アドビ、2024年の米国ホリデーシーズンのオンライン売上が過去最高の2,408億ドルに達するとの予測を発表、ブラックフライデーの成長はサイバーマンデーを上回る見込み」
各国のブラックフライデー
ブラックフライデーは日本でもおなじみのセールです。そして、日本と同じように世界の多くの国でも11月のセールイベントとして広がっています。そこで、この章では世界各国のブラックフライデーの現状を紹介します。
日本
日本では、2014年に「日本トイザらス」が初めてブラックフライデーを開催しました。日本では、11月の祝日「勤労感謝の日」に合わせて開催されることが多く、アメリカより1週間程度早く始まるのが特徴です。また、イオングループやユニクロ、楽天などの大手企業が開催したことにより、知名度が高まりました。2016年から開催しているイオングループは、2024年のブラックフライデーに向けて過去最大の2,000品以上のお買得商品を用意しており、前年比5%増を目指すとのことです。このように、日本ではブラックフライデーが浸透しており、大きなビジネスチャンスを生み出しています。
参考:流通ニュース「イオン/「ブラックフライデー」11/22開始、防寒用品など充実し売上5%増目指す」
イギリス
イギリスの大規模なセールイベントは、クリスマス翌日のボクシングデーです。その約1カ月前から始まるセールとして、ブラックフライデーが浸透しています。Statistaの「Black Friday: expected spending in the United Kingdom (UK) 2016-2023」によると、イギリスの2024年のブラックフライデーの市場規模は90億英ポンドの見込みです。
カナダ
カナダでは、2010年ごろよりブラックフライデーが広がり、アメリカと同様に年末商戦のスタートとして定着しています。しかし、カナダの感謝祭は10月の第2月曜日に行われるため、感謝祭と関係はありません。また、イギリス同様、クリスマスの翌日にボクシングデーが開催されます。
フランス
フランスでは、2013年に初めてブラックフライデーが開催されました。2020年には、市場規模が59億ユーロに達したとのことです。このようにブラックフライデーが浸透する一方で、フランスでは大量消費・大量廃棄につながるとして反対運動も活発に行われています。
ドイツ
ドイツでは、2006年にApple社によってブラックフライデーが広く知られるようになりました。多くの企業は、11月の第4金曜日の前後1週間に、「ブラックフライデーウィーク」と題したセールをしています。Statistaの「Black Friday and Cyber Monday spending forecast in Germany 2016-2023」によると、2023年のドイツにECサイトにおけるブラックフライデーとサイバーマンデーの市場規模は、58億ユーロと見込まれています。
オーストラリア
ブラックフライデーはオーストラリアにおいても浸透しています。その証拠に、ニールセンの2022年の調査によると、オーストラリアの買い物客の70%(前年比22%増)がブラックフライデー、又はサイバーマンデーに参加する予定とのことでした。
参考:ニールセン「オーストラリアの買い物客、ブラックフライデーのバーゲンを記録的な数で追いかけそうだ」
中国
中国では、11月11日に「独身の日」と呼ばれる大規模なセールイベントが開催されます。その独身の日において成功を収めているのは、EC企業のアリババです。同社は2021年に、「独身の日」のセールで845億ドルの売上を達成しています。これほど大規模なセールが同時期に開催されることもあり、中国ではブラックフライデーは浸透していません。
参考:ITmediaマーケティング「「独身の日」 vs. 「ブラックフライデー」「サイバーマンデー」 米中の爆買い力に迫る」
韓国
韓国では韓国版ブラックフライデーとして、「コリアセールフェスタ」が浸透しています。コリアセールフェスタは、政府主導のもと2015年に始まった韓国最大規模のセールイベントです。2024年は約2,600社が参加し、11月9日から30日まで開催される予定です。
ブラックフライデーを商機にしよう
ブラックフライデーはアメリカで始まったセールイベントで、11月の第4木曜日の翌日に開催されます。そのブラックフライデーは日本を始め、世界中に広がっています。海外への事業展開を検討している経営者様は、ブラックフライデーを1つの商機にしてみてはいかがでしょうか。